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うじむし14 しでむし02




 俺がこの世界に昆虫として転生して数日。

 色々分かったことがあった。


 まずは俺の名前。

 俺には元の世界の記憶があるが、どうやら名前は引き継いでいなかったらしい。


 なので、名前を設定しておいた。

 勿論、元々の自分の名前だ。

 少しばかり調子にのって、ドイツ風とか、フランス風な名前を考えたけど、すぐに止めた。

 もしも今後その名前で呼ばれることが万に一つでもあれば、俺はきっと羞恥に悶え死ぬだろう。


 とにかく、名前を決めると《ステータス》とやらが見られるようになったのだ。


 これで俺はこの人外転生が、異世界転生でもあることを確信した。

 いや、まぁ、レベルアップした時点で気付けよ、という話なのだが、念には念を入れて、信じきらないようにしていたのだ。


 だって、あまりにも普通の昆虫なんだもの。


 とにかく、ステータスはこんな感じだった。




 《ステータス》


名前:虹川にじかわ 颯太そうた

レベル 5

種族:キャリオンビートル・ベイビー


HP:10

MP:5

SP:15


攻撃力:12

防御力:8

素早さ:10


スキル



称号



※進化待機中です




 肉団子を食べているだけでレベルアップ出来たのだが、なんとも侘しい能力値だ。

 進化待機中、というのが非常に気になる。


 俺はただの昆虫なのかもしれない、と思っていたのだけど、もしかしたらモンスターなんだろうか?

 それとも、異世界では動物や昆虫でも簡単に進化できるものなのだろうか?


 周囲の仲間の中でも、ちらほらと進化できる奴が増えてきていた。

 進化の仕方は実に興味深い。

 眠ったように動かなくなると、しばらくして光に包まれ、そして一回り大きくなっているのだ。


 進化というよりかは成長だよな。


 まぁ、いきなり巨大化して火を吐き出しても困るもんな。主に俺が。


 で、俺の進化先なんだが、正直、名前だけでは訳が分からない。


 こういうのは弱そうな選択肢が実は後々の強キャラに繋がっているんだと、友達は力説していたな。

 だけどなぁ、ここで弱めの奴に進化して、肉団子争奪戦から落ちれば、強くなる前に親虫のディナーになってしまうのだ。


 それが悩ましい。

 早く進化するに越したことは無いんだけどね。

 さて、どれに進化しようか……?



・キャリオンビートル・ベイビー


→ キャリオンビートル

→ スカベンジャービートル

→ グレイブビートル



 ……困ったな。

 これじゃどの進化先が強いのか弱いのか、さっぱりだ。


 俺が悩んでいると、周囲の仲間達が心配そうに俺を覗き込んできた。


 最初の仲間が親に食われてから、俺は誰も食われないように肉団子を食う順番を回してきた。

 強い個体には良い顔をされなかったが、弱い個体には非常に感謝された、という訳だ。

 昆虫でも、思いは伝わるんだよな。


 今俺の側にいるこいつは、中でも一番弱かった奴だ。

 仲間からもすぐに弾き出されて、今にも親虫に食われそうになっていたから、俺が場所を譲り、事なきを得たのだ。


 あんまり懐いてくれたので、俺はこいつのことを心の中でハンちゃんと呼んでいた。


 ハンちゃんだけじゃなく、最初は気色悪いだけだったこいつらも、今では一人一人の性格や癖なんかが分かってきて、愛嬌さえ感じるようになってきた。


 小さな昆虫が、このまま全員生き残るなんて、きっと難しいと思うけど、できれば仲間達とずっと一緒に居られたらいいよな。



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