うじむし12
朝起きて、灰色の肉をかじりながら、早速 《ステータス》を開いていてみた。
簡単に開けました。
良かった。システムさんはもう治ったみたい。
《ステータス》
名前:白氏 瑠璃
レベル 10
種族:ベイビーリトルマゴット
HP:20
MP:50
SP:20
攻撃力:10
防御力:10
素早さ:10
スキル
N:『警戒』
R:『酸性血』『酸耐性』『氷魔法』
HR:『魔術知識』
称号
『システムを愛する者』『共食い』『神肉食』
カルマ値:0
※ 進化待機中です。
あれ? なんか少し変わってる?
レアスキルに『氷魔法』ってのが入ってる。それに、称号に『神肉食』? 神肉って何? かみにく? じんにく?
たぶん、どっちも例の変身に関係あるんだろうな。『氷魔法』なんて思いっきり使っちゃったもんね。
虫を殺すなら冷凍スプレーでブシューッとやればいいってイメージだったんだけど。
冷凍スプレーはゴキブリだろうと、でっかいムカデだろうと氷付けにしてくれるから、害虫退治に重宝するのよ。
『神肉食』は多分、これか、現在進行形でもぐもぐしてる灰色の肉か。
まっずいんだよなぁ、これ。
取り合えず、効果はしっかり見ておこう。もしかしたら何か凄い効果があるかもしれないし。
・スキル
『氷魔法』
魔力で氷を作り出し、操るスキル。範囲や効果によって必要な魔力は増大する。
・称号
『神肉食』
その名の通り、神の肉を食らった者に贈られる称号。一部の特殊進化先を解放する。
何これ、称号がロマン!
特殊進化先って何よ、心が踊るじゃない! あのくそ不味い灰色肉を食べた甲斐があるってもんだよ!
そういえば進化待機中なんだっけ。
早速進化しちゃいましょう。なに、進化が終わってお腹がぺこぺこでも、灰色肉があるからね。一部の肉に穴を掘って、そこでゆっくり進化するとしよう。
それではシステムさん、進化先を教えてください!
『現在、白氏 瑠璃 が進化先で選択できる一覧は、こちらになります』
・ベイビーリトルマゴット
→ラージピューパ
→リトルマゴット
→ストレンジマゴット
進化先は三つ、というのはあまり変わらないんだね。大きいサナギ、小さなウジムシ、そして変わったウジムシ、か。
明らかに最後の選択肢は異質な気がする。
今までの流れからして、そこは本来ならベイビーマゴットか、ラージマゴット入るはずだったんじゃないだろうか?
これはもしかしなくても、『神肉食』の効果なのかな?
システムさん、何か聞ける?
『気になるのはストレンジマゴットであるようなので、そこを中心にお教えいたしましょう。確かにその選択肢は『神肉食』の効果にて出現した選択肢になります』
それはいったいどういうものなのか、教えて貰っても大丈夫?
『限定神化後の廃材とはいえ、その肉体が一時的に協力な力を持っていたことは確かです。絞り粕のような力しか残っていないとはいえ、瑠璃様には過剰な経験値となるでしょう』
ふーん、やっぱりこれが特殊進化先なのね。
これを選んだ場合、どうなるかとか教えてもらえるのかな?
『申し訳ありませんが、私はそこまでの権限を有しておりません』
ううん、いいよ。流石にそこまで分かっちゃったら、チートってレベルじゃないもんね。
というか、システムさん、なんか凄くフレンドリーになったね、私はとても嬉しいよ。なんで私には録音機能が付いてないんだよ、がっでむ!
『これもまた【システムを愛する者】の効果です。私も、ここまでこの称号のレベルを上げたものを担当するのは初めてです。瑠璃様とは末永いお付き合いを御願いしたいですね』
えぇっフゥ! マジか、普通に嬉しいわ。これでシステムさんがいる限り、私は孤独に苛まれることは無いと思って良いね!
システムさん、マジ愛してる。
『それでは、ストレンジマゴットに進化致しますか?』
あ、ごめん、そこは少し待って下さいな。
サナギは有り得ないとして、リトルがストレンジか、これが問題なのよ。
今までの推論通りだと、弱い進化を辿っていくと、いずれは最強になるっていうのがテンプレなんだよね。
亜種というか、希少種というか、そっちの方面も強くなるにはバッチリだと思うんだけど、予想の付かないアグレッシブな進化ルートが現れる恐れもある。
それに、今までと違って、スキル、耐性なんかもどうなるか不安だ。
まだまだ弱いけど、今後強くなれそうなリトルマゴットのルートか、それとも博打要素の強いストレンジマゴットのルートか……。
いや、待って。
ここで一回、初心に帰って考えてみよう。
私が最終進化で狙っているのは、暴食の悪魔王『ベルゼブル』。魔王に進化するのに、通常ルートで辿り着けるものなのだろうか?
出来るとしたら、世の中魔王で溢れ返ってないか?
この世界がどんなもんか知らないけども、簡単に選択できる進化ルートで魔王とか英雄とか勇者とか、そういうのになれるとは思わない。
そこはシステムさんに聞けるかな?
『残念ですが……情報の開示を許可されていません』
そうか……、残念。
結局私は自分の判断で決めるしかない、ということ。
だったら、やっぱりもう答えは決まっている。
システムさん、私、ストレンジマゴットに進化するよ。
『白氏 瑠璃の意思を確認しました。これより進化を開始します』
進化の合図のように、急激な眠気に襲われる。
奇妙なウジムシ、なんてどんなものか分からないけど、見た目がこれ以上グロくなることも無いでしょ。
灰色の肉片の中で、私はゆっくりと意識を手放すのだった。




