神様のバレンタイン
我が娘の登園付き添い。
空は寒空鰯雲。
僕「空……雲が、シワシワだねー」
娘「今日の空はおばあちゃん神様が担当なんじゃない?」
僕「……バレンタインだもんな、いつもの若い神様は休み取ってんのか」
娘「神様にもバレンタインってあるん?」
僕「人間の女の子が騒いでるから……女の子神様とかが、気になって人間に変身して」
娘「ふんふん」
僕「『好きな相手にチョコレートをあげるイベント?……で、チョコレートって何?』……みたいな」
って話をしながら登園してたら
娘「じゃ、行って来まーす!パパ、帰るまでに続き考えといてねー!」
僕「おーう、いってら……えっっ⁉」
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女神「好きな相手にチョコレートをあげるイベント?」
女神「人間って妙なこと考えるのねー。寿命あるんだからバッと告白してバッとくっついちゃえばいいのに。……で、『チョコレート』って何?」
女神「ああ、食べ物なんだ。……ふーん。一口にチョコレートっつっても色々あるわけね。人間の食と性に関する飽くなき探究心には、ほんと頭が下がるわ。あ、これなんか可愛いな。……よくわかんないけど、値段とかもすごくピンからキリなのねー。高いのと安いのと、やっぱ味とか違うのかしら?
……ちょっと、食べてみたいな
後学の為にも、人間に変身して味見してこようかしら。服務規定違反だけど……なんだかんだ言ってみんなやってるし。一回だけ……一回だけのチョコっとだけよ」
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【人間界】
女神「寒!…身体おもっ!感覚せまっ!人間ってこんな苦痛の中で毎日暮らしてるわけ?……なんでアマンダリアとか毎週のように下天するのかしら?しんどいだけじゃない。あれ?……なんかお腹の辺りに違和感が。あ、そうかこれが『空腹』って奴ね。これまた……モヤモヤするなー。人間って全く……」
店員「っしゃいませー」
女神「えーと、チョコレート、チョコレート……と。
げ⁉ なにこれ?これ全部チョコレート?どんだけ種類あんのよ……。ってか何が違うの? ……えーい、とりあえず適当に!」
【ガサガサ…】
「なにこれ……色々形は違うけど基本茶色のペーストを固めたものじゃない。えらい手抜きね。重量単位の立方ブロックにしとけば計量も流通も販売もずっと楽なのに。やっぱ人間って……バカ?」
【ぐぅ……きゅるる……】
「お腹が……もう。ま、とにかく食べてみるか。いただきまーす!」
【もぐ……もぐ……】
「……うまっ‼」
【もぐもぐもぐ】
「なにこれ⁉ おっ……美味しいっっ‼ 」
【もぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐ!】
「うまっ!……こえ……何……やば……」
【もぐもぐもぐ……ごくんっ‼】
「え……もう……無くなっちゃった」
「……」
「も一回だけ、買ってこようかなー……」
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女神「……」
「美味しかった……チョコレート……」
「まさに奇跡の食べ物だわ……アマンダリアはきっと毎週チョコレートを食べる為に下天ばかりしてたのね……気持ち……分かる」
「これを……好きな相手にあげるのか」
「今なら……なるほど、と思えるわ……」
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【天界】
男神「エリザベルテさん……雷雲の配置が天候表と違いますよ。もっと西です」
老神「あらやだ。でもこの図だと……」
男神「これ明日のファイルです。今日のは……これです」
老神「あら、ほんと。いやねぇ歳を取ると」
男神「いいんです……気をつけて。次は302時6852分ジャストに雷雲をオンですよ」
老神「ええ」
男神「ふぅ……ま、あいつならこんなポカはしないんだろうけど」
女神「……ねぇ」
男神「なんだか知らないけど珍しく休みとか取ってるしな」
女神「……ねぇ」
男神「さて僕のほうは……そろそろ東95365区の温帯低気圧を……」
女神「ねぇってば!」
男神「うわ⁉びっくりした!どうしたんだよ……お前、休みじゃ……」
女神「……はい、これ」
男神「なんだ……これ」
女神「あなたに……あげる」
男神「おまっ!これ⁉ 人間界のもんじゃないか!まずいよ!」
女神「まずくない!それは保証する。みんなやってることよ。あとで、食べてみて。人間の身体になって」
男神「あ!ちょ……」
【ビーッ!ビーッ!】
老神「あらあらあら、大変。誰か、誰か来てー」
男神「ああ……もう!」
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【男神の部屋】
男神「これが人間界の食べ物か……」
【ガサガサ】
「ハートの形に固めた茶色のペースト?重量単位の立方ブロックとかにすれば計量も流通も販売も楽だろうに。やっぱ人間って…バカ?」
【クンクン】
「匂いは……ほのかに甘いような…1香ばしいような……ま。毒ではあるまい」
【ひょいパク】
【もぐ……もぐ……】
「……うまっ⁉」
【もぐもぐもぐ】
「うまっ……これ……やば……うまっっ‼」
【もぐもぐもぐもぐもぐ…!】
「あー美味かったーっ!アンブロシアなんて……人間の食べ物に比べたら腐った粘土だな。あいつには感謝しないと。今度お礼しよっと」
「あいつ……しょっちゅう下天してるんじゃないだろうな…?」
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友神「え!昨日あの子から人間界の食べ物を貰った⁉」
男神「ああ」
友神「どんな?」
男神「え?」
友神「どんな食べ物だったのよ⁉」
男神「なんか……茶色のペーストを型に嵌めて固めたような。甘くてほろ苦い……」
友神「チョコレートね」
男神「ちょこれ……何?」
友神「やるわね、あの子。真面目一本槍だと思ってたけど」
男神「は?」
男神「……え⁉ に……人間界に、そんな風習が⁉ 」
友神「そうよ」
男神「だって……好きな相手って……え?……それってつまり……え?」
友神「そういうことでしょ」
男神「また……ラグナロクの時みたいに嘘教えて担いでるんじゃないだろうな?」
友神「んな事してなんの得があるの?疑うならgodleで検索すんのね」
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【男神の部屋】
「……本当だ」
【カチャカチャ】
「godleでもwisepediaでもほぼ同んなじ記述……特定の地域だけみたいだけど、二月十四日、確かにそういう風習がある。こ……好意を寄せる男性に……」
【もわもわー……】
「ば、バカ俺!なに想像してんだ……あーもう!」
【ぷるるる……ピッ】
友神「もしもーし!」
男神「あアマンダリア?俺だけど……なんだ?えらく騒々しいな」
友神「なーに?聞こえなーい!」
男神「えらく!騒々!しいな!あ……お前また人間界だな⁉」
友神「……え?ああ、勤め先の同僚」
男神「誰と一緒に……お前⁉ 人間と遊んでるのか⁉」
友神「ちょっと待って。移動するわ」
友神「はいはい。で、何?」
男神「お前、下天してるだけじゃなくて人間と遊んでんのか?ばれたら減俸じゃすまないぞ……」
友神「うっさいわね。勝手でしょ。で、何よ?用がないなら切るわよ」
男神「ま!待て待て待て‼……ば、バレンタインのチョコレートのことなんだけど、さ」
友神「ええ。それが?」
男神「どうしたらいいと思う?」
友神「あんたはどうしたいのよ」
男神「……俺?」
友神「当たり前でしょ。チョコ貰ったのはあんたでしょうが」
男神「そ、それは……そうなんだけど」
友神「とりあえずお返しはしたら?人間界の三月十四日に、なんとかっていうお菓子を返すのがスタンダードらしいわよ」
男神「なんとかって……なんてお菓子だよ」
友神「そんなの一々憶えてないわよ。自分で調べるのね。ああ、あとあの子、変に傷つけたりすんじゃないわよ。んな事になったら一生許さないから。じゃ、切るわよ」
男神「あ!アマンダリア!ちょっと待っ……」
【ピッ!ツー……】
「人間界の三月十四日?……すぐじゃないか!」
【ダッ】
「エリザベルテさん!ちょっと出て来ます!」
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【人間界】
男神「身体おもっ!感覚せまっ!人間ってよくこんな不便な身体で暮らして行けるなー。あれ?なんかお腹の辺りに違和感が……あ、そうか。これが話に聞く『空腹』って奴だな。なるほど。これはストレスだ。食い物で戦争までする人間の気持ちも分かる気がするわ」
店員「っしゃいませー」
男神「えーとメモメモ。あーこれだ。マシュマロ、マシュマロ……と。げ⁉ なにこれ?これ全部マシュマロ?どんだけ種類あんだよ……。ってか何が違うの? ……えーい、とりあえず適当に!」
【ガサガサ……】
「なにこれ……糖質を発泡させて固めてあるのか?軽っ!体積を増やして量を多く見せようって工夫かな?」
【ぐぅ……きゅるる……】
「お腹が……。ま、とにかく味見はしておかないとな。うん。得体の知れない物を人にはあげられないし。……いただきまーす!」
【もぐ……もぐ……】
「……うまっ‼」
【もぐもぐもぐ】
「なにこれ⁉ おっ……美味しいっっ‼ 」
【もぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐ!】
「うまっ!……こえ……チョコと同じか……それ以上じゃんか……やば……」
【もぐもぐもぐ……ごくんっ‼】
「え……もう……無くなっちゃった」
「……」
「……もうちょっとだけ、味見しとくかなー」
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男神「……」
「マシュマロ……美味しかった……」
「きっとアマンダリアはチョコレートとマシュマロ食べる為に繰り返し下天してるんだな。そりゃそうなるわ」
「これを……あいつに……か」
「なんて言って渡そう……?」
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女神「反応棒、000082から562376番まで挿入。反応スタート」
男神「気温上昇。毎日0.23イグニ。チェック」
女神「反応進行中。コロナ温度1502万イグニ」
男神「ちょっと高いな」
女神「了解。制御棒を入れるわ。四千五百くらいでいい?」
男神「ああ。いい見積もりだ」
女神「制御棒挿入」
男神「チェック」
女神「コロナ温度安定。1256万イグニ」
男神「上等だ。1200から1300を保て。抜き差しは任せる」
女神「了解」
男神「ふいー……こっちも安定した。一息つけるな」
女神「お疲れ様。ネクタル入れるねー」
男神「頼む」
男神「……なぁ」
【コポコポ……シュボ】
女神「んー?」
男神「今日さ。その……人間界で何の日か……知ってるか?」
女神「え?何?もっと大きい声で言ってー?」
男神「今日!人間界で!何の日か!知ってるか⁉」
女神「お待たせー。人間界がなんですって?」
男神「人間界で今日がなんの日か知ってるか、って言ったんだ」
女神「人間界基準点の日付けは、と……三月十四日?セント誰かの誕生日?」
男神「違うよ。いや、そうかも知れないけど俺が知らないだけで……じゃなくて!『ホワイトデー』って言うらしい。基準点周辺じゃ」
女神「ホワイトデー?人間がお互いを白く塗るお祭りでもやるの?面白そうね」
男神「ああなんかありそうだなそんな祭り。光の神役に選ばれた村の代表とかが身体を白く塗って……じゃなくてだな!その、例の……ほら、バレンタインと対になるお返しを渡す日なんだそうだ」
女神「あ……ああ!バレンタイン。バレンタインね……うん………で?」
男神「はい……これ」
女神「これ……何?」
男神「マシュマロ……ってお菓子だ。これを返すのがスタンダードらしくて、さ。 あ……味見はしてみたけど、美味かった。人間も……あれだよな、その……結構、うまいもん、食ってるんだ、な……」
女神「ねぇ……これって……」
男神「え!あの…勘違い、するなよ?」
女神「勘違……い?」
男神「俺はその……そんなつもりは……」
女神「そんなつもり……って?」
男神「あ!アマンダリアの奴がさ、とりあえずお返しはしたらとか言うもんだから、そりゃそうだよなー、と思って……」
女神「アマンダリアに……言ったの?私のチョコのこと……」
男神「え⁉あ。いや!言ったっていうか…」
【ポロ(泣)】
男神「……おい」
女神「ひどい」
男神「あ……あの……」
女神「ひどいよっっ!」
【ダッ】
男神「あ!ちょっと待っ……」
【しゅんしゅん……ピィ〜〜】
男神「ああお湯!……ぅあっちぃっ‼……ああもうっ‼」
【ぴぽぱぷ……ぷるるる……ガチャ】
老神「はい。エリザベルテです」
男神「ああエリザベルテさん?俺です。居てくれて良かった。実は……」
男神「……と言うわけで。ちょっとここをお願いしたいんです」
老神「追いかけるのね?あてはあるの?」
男神「はい……人間界じゃないかと……」
老神「勤務中の神が二柱も下天したら……さすがにばれるわよ。そうなったら減俸や停職じゃ済まない。最悪、神の力の執行権を剥奪される……」
男神「……分かってます。こうなったのは……俺が変に体裁を取り繕うとしたからです。バカだった。あいつに謝って……きちんと気持ちを伝えないと……!」
老神「ひとつだけ聴かせて?」
男神「はい」
老神「彼女を……愛しているのね?」
男神「……はいっ‼」
【ドタバタドタバタ……】
神議官「やはりいない。お二人ともだ……エリザベルテ師!天候担当のお二人はどちらへ行かれました⁉」
老神「あらあらどうしたのそんなに慌てて……とりあえずお座りにならない?丁度沸いたお湯があるの。とびきりのネクタルを入れて差し上げるわ」
神議官「はい。はい。分かりました。ただちに。……エリザベルテ師。神威制御盤にコード入力を。あなたのIDで」
老神「……何を入力するの?」
神議官「天候担当のお二人の、執行権の停止です」
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【人間界】
チンピラA「よぉよ!人にぶつかっといて素通りはねぇだろ姉ちゃんよ‼」
女神「だから謝ったでしょ!どいて!私機嫌悪いんだから!」
B「つれねぇなぁ!謝って済んだら最後の審判で全員天国行きかぁ?あぁ?」
女神「安心なさい。あんたら煉獄の特A行きよ。どきなさいったら!死にたいの⁉」
【…………】
女神「あ……あれ……?」
A「俺たち暇なんだよー。遊ぼうぜ、姉ちゃん。へへっ」
女神「ち……力が……上にばれた?執行権……停められちゃった⁉」
B「あっちの店に仲間も沢山いるんだ。一緒にさぁ〜天国に行こうぜぇ〜」
女神「ちょっ、やだ!触らないで!離してよっ!いや……いやぁぁぁっっ‼」
男神「待てっっっっ!!!」
チンピラA「なんだぁ?てめえ」
男神「はぁっ、はぁっ、はぁっ、んぐ。その子は、はぁっ、はぁっ、俺の、はぁっ、はぁっ、大事な、人だ……離してやってくれ」
チンピラB「はいそうですか……って言うわけねーだろ!能天気野郎がっ‼」
【ドカッ】
男神「ぐうっ……!」
男神 ( やっぱり……飛べないからもしかしてと思ったけど……執行権剥奪か……)
チンピラA「どーした?正義の味方するんじゃなかったのか……よっ!」
【バシィッ!】
男神「ぅあっ!」
女神「やめて!」
【むくり……ふら……】
男神 ( ケンカなんか……したこと……ない……けど!)
男神「うおおおおっっ‼」
チンピラA「おおっと!危ねえ危ねえ。なんだそのヘッピリ腰は……おめえ、ケンカ初めてだな?」
男神「ああそうだ……悪いか!」
チンピラB「面白れえ……ちょっと遊んでやんよ。ヒャハッ!」
【30分後】
女神「お願い!もうやめて!充分でしょ⁉……私、あなた達と一緒に行くわ。だからもう、これ以上この人に手は出さないで!」
男神「……だ……め……だ……」
【む……くり……ふらぁっ】
女神「起きちゃだめよ!殺されちゃう!」
男神「君に……きちんと、言わなきゃならない……ことが……それまでは、死なない……死ねない……」
チンピラA「ぜぇっ、ぜぇっ……しつこい野郎だぜ!おらぁっ寝ちまいなっ‼」
女神「やめてぇっ‼」
【パリパリッバシッ‼】
チンピラA「ぎゃっ!な⁉なんだ今のは……電気?」
女神「今の……ち、力が……」
【パリパリ…バリバリバリバリ…!】
女神「戻った……⁉」
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【天界】
神議官「エ……エリザベルテ師!何をなさっているんです⁉」
老神「あらあらあら……こうすると二人の力が戻っちゃうんだったかしら? 手が滑って。だめねぇ歳を取ると」
神議官「すぐに再停止を……」
老神「えい!」
【ガチャン!】
神議官「ぎゃ……!」
【バタリ】
老神「あらあら大変。今度は身体全体が滑ったわ」
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【人間界】
女神「よくも……」
【パリパリッパシッ】
女神「散々に……」
【ゴロゴロ……ピカッ……】
女神「いたぶって…」
【ぽつっ……ぽつぽつ……ザァァ……】
女神「くれたわねっ‼」
【ガラガラガラッ!ピシャァァァン……ン!!!】
チンピラA・B「ひ!ひいいいいいっっ‼」
女神「天誅ぅぅっっ!!!」
【ちゅどどどどおーんっ‼】
チンピラA・B「うぎゃぁぁぁぁぁっっ……!!!」
女神「ちょっと……しっかりして」
男神「あ……あぁ……無事か……怪我は……?」
女神「あなたの方がずうっと重症よ。……酷い顔……馬鹿ね、ケンカなんて。およそ争い事にかけては人間の方が神々より優れてるに決まってるじゃない。ああもう、どうしたらいいの?私が治癒と回復の術理担当だったら良かったのに!」
男神「……いいんだ」
女神「え?」
男神「君は……天候担当でいいんだ。じゃなかったら出会えなかった」
女神「……黙ってて。唇からも血が出てる」
男神「君の涙を見て分かったよ。さっきはごめん。この時空で一番、君が好きだ。……愛してる。……心から」
女神「…………」
女神「……本当、馬鹿ね。血を拭うものがないわ。悪いけどこれで……我慢して」
【チュ♡】
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老神【ぱちぱちぱちぱち】
老神「やったわね、あの二人。さて雨はもういいわ。ここは、これね。『虹』の……」
【ピッ】
老神「明度彩度ともに『最大』、サイズは『特大』…っと」
【ピッ】
何時の間にか上がっている雨。
抱きしめ合う二人。
空には、ありえないほどのはっきり輝くありえないほど大きな大きな虹ーー。