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裏話2_夢の主

 とても、悲しい感情を見つけた。


 気ままにあちこちフラフラしては人の想いや感情を感じて暇を潰してると、偶にこういった感情に出くわす。別に放っておいても構わないんだけど、本当に困っているのなら力を貸してあげようと思うじゃない?

 でも僕が出て行って色々とやるのは問題があるから、やることといったら夢を見せるだけ。でも、いい夢を見れるだけでも人は立ち上がる気力が湧いてくるものなんだ。そういった人達を見るのが、僕は嬉しくてたまらない。

 だから今日もいい夢を見れるように力を貸そうと思う。まずはどんな夢がいいか探らなくっちゃあいけないんだけど、心の中に問いかけて自問自答しているように感じさせるのが僕のやり方。自分に問いかけている時にはなかなか嘘がつけないものだから。


 まずは失礼ながらこの子の記憶から過去を読み取って・・・ひどいねこれ。人間って寿命が短いせいか精神的に未成熟な連中が多いんだけど、この子はそういった連中に出くわしまくった感じだね。そんなこの子にピッタリの夢は何だろう? 精神的な支柱はあるみたいだけど、やっぱり自分で立ち直ったと思える方が強くなれるんだ。

 それでは問答を始めよう。まずは心理的に自問するよう導いた。どうして、私はうまく進めないんだろう?ってね。


 神官を目指したからだろうか?

 これは違うみたいだ。それにしても今隣にいる女の子のことをとても尊敬しているみたいだね。この女の子は龍の精霊みたいだけど、人間の間では精霊の存在なんて知られていないから正体は知らないみたいだね。


 邪魔をしてきた人達のせいだろうか?

 微妙にかすった感じかな。全部人のせいにしないのは偉いと思うけど、そういった人に限って思いつめちゃうこともあるから難しいよね。


 じゃあ、運が悪かったのかな?

 これも違ったな。人間の中には運命なんてものを信じて悲観にくれている連中もいるけれど、この子はそんなものを真っ向から否定する力強さを持っている。正直言ってこういう子はとても好感が持てるね。だれかにおんぶに抱っこの連中を見ていると呆れるよ、本当。


 なら力があれば、よかったのかな?

 これが正解みたいだ。自分がこれまでに体験したことに基づいた結論なんだろうね。悪い連中に出会ってしまってさあどうしよう、なんて時に必要なのは、何よりもまず力がわかりやすい。いくら頭が良くても相手が話を聞かなかったり準備が出来なかったりじゃあ意味ないし、ましてやこんな女の子に英知を求めるほうが馬鹿げてるよね。


 それじゃあ、君に力があったならば、という世界を見せてあげよう。夢から覚めた時にガッカリするかもしれないけど、たぶん少しずつ世界が違って見えてくるはずだから。君ならきっと、とても強い人になれるはず。



 それなら、力を貸してあげよう。

 少しでもいい夢が見れますように。



 ・・・あれ、暴走した?






 ど、どどどどうしようっ!!

 なんでこうなったの!? 今まで一度もこんなことなかったのに!! ああっあの子制御が効かないし、他の2人も効かないし、一体どうすればいいのっ!?


 「なあぁぁぁにやってるのかなああぁぁぁぁぁ?」


 「げっ、魔王!!?」


 グチャッ


 「ふざけたことやってんじゃないわよ、殴るわよ!?」


 「・・・踏み潰してから言わないでよ。」


 ああ、やっぱり魔王が来た。この世界の管理人だもんね、異常があったら察知するに決まっている。


 「そっ、それよりもっ!! 今の状況をなんとかしないと!! 何故か暴走しちゃうし、周りの人間は避難させたけど操れない連中もいるし!!」


 「ああ、あの2人の魂は異界のものだからね。精神の根本的な部分が違っているからアンタが操れなくても無理ないわ。」


 「え、異界? なにそれ聞いてないんだけど。」


 「私もまさか言うことになるとは思わなかったわ。」


 まあ、別に知らなくても不都合があるわけでもないんだけどさ。それにしても僕の力って結構限定的なんだね。でも、それじゃあどうしようかな。僕が直接乗り込んで鎮圧しようとすると確実に巻き添え食らわしちゃうし・・・。

 魔王は戦いの様子を見て何やら考えているようだ。


 「・・・ったく、仕方ないわね。あの男の子の方に加護を与えるわ。それで暴走した子の方はなんとかなるでしょ。アンタがどうにか出来ないんじゃあもとに戻すことも出来ないでしょうけど。」


 魔王が加護を? これはまた珍しい。というか今まで一度もなかったんじゃあないのかな。


 「なんでそこまでするの? やっぱり異界の住人だから?」


 「それもあるわね。移住者をこんなことで死なせるなんて赤っ恥もいいところよ。それに時間もないし。」


 魔王が乗り込んで行ったら、それこそ何もしなくても皆死んじゃうしね。鎮圧のための戦力を呼ぶ暇も無いか。


 「あとね、あの男の子は創造神の力を受けている可能性があるわ。」


 創造神ってゆうと、魔王をこの世界に創り出して管理者としての役割を担わせた後どっか行ったっていう、あれだね。


 「まだ可能性があるかもしれないとしか言えないけど、もしあの子を介して創造神と連絡が取れるようになったらしーちゃんの悩みも解消できるかもしれないでしょう?」


 「母様の悩み・・・か。創造神との繋がりなんてはっきり言って可能性薄そうだけど、今はそれしかすがる物が無いって感じかな。」


 「そういうこと。それじゃあ加護を与えるから、決着が着いた後あの暴走した子の魂を回収しなさい。こうなった責任をとってアンタが面倒見るのよ。いいわね?」


 面倒なんて何すりゃいいのかよくわからないけど、とりあえず了承しておいた。





 「決着・・・着いたみたいだね。」


 「そうね。何とも後味の悪い結果だわ。アンタのせいよ。今後1万年はこれでいびってやるんだから覚悟しなさい。」


 ううう・・・なんでこんなことに・・・。


 「・・・まあ、それはさておき、それじゃあ回収を」


 グシャッ


 「お別れくらいさせてあげなさい。」


 「・・・はい。」





 「よし、回収できたな。傍から見たらいきなり消えたように見えるからおかしく感じるかもしれないけど、まあ大丈夫たろうね。」


 回収した魂はとても真っ白だった。今までいろんな魂を見てきたけど、これは一番綺麗かもしれないな。強く生きた魂は磨かれて綺麗になるみたいだけど、これはその結果なのかな?


 「ああ、魔王は近付かないでね。魂に傷が付いちゃうから。」


 「しょうが無いわね。」


 「・・・さて、この魂どうしようかな?」


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