奮戦する狼(ロウ)
どのぐらい戦っていたかわからない。 しばらくするとAIが俺が期待していた報告をする。
「セントウイン イチメイ セントウフノウ。 テキ イッタイセッキン。」
このこう着状態が崩れる事。 本当ならこっちが1人倒すことがベストだが一体減ってしまった。 しかし十分だ。
「リーダー。 加勢します!」
緑色をした絶対リーダーにはなれそうもない雰囲気をした奴が合流する。 さてこっちも動くとするか。
「相棒! スモーク射出!アンカー スタンバイ!」
「リョウカイ スモークシャシュツ。 アンカースタンバイ。」
AIの復唱と同時に視界が白く染まる。 レーダーを頼りに一番近い仲間が戦っている敵の位置を予想する。 そしてそこにアンカーを打ちだす。
腕の下から先端にフックが付いたワイヤーが打ち出される。 それは目標に向かって真っすぐ飛んでいく。 直後、『目標』にささった手ごたえを感じる。
直後、ワイヤーを巻き戻す。 俺の身体は『目標』の方に向かって飛んでいく。
煙幕が貼られていた場所から飛び出す。 俺はワイヤーの先があるはずの部分を見る。 『狙い通りの目標』に刺さっている事を確認する。
俺はそのままクローで『目標』を切り裂いた。
煙幕がはれ、金色の奴と緑色の奴が俺が立っているところを確認する。 それと同時に2人は叫び声をあげた。
「ブルー!」
俺の足元で転がっている青い奴に向かってそう叫んだ。 深く切り裂いたせいかすぐに戦闘に復帰できそうもない傷を負わせたようだ。 出ている血の量を見ると早く医者に見せないとまずいかもしれない。
俺は金色と緑の奴がパニックになっている隙に通信回線を開き近くの味方に『指示』を出した。 味方は小さく「了解」と返事をする。 さて作戦開始だ。
「お前らああああ!」
金色の奴が冷静さを失って突っ込んでくる。 正直目で追うのがやっとなスピードだ。
俺と金色の奴の間に戦闘員が割り込む。 俺はまだ下を見てぶつぶつ言っている緑色のやつに向かって照準を定める。 そして再びアンカーを射出し、切り裂く。
「2人目! 次はどいつだ!」
俺が雄たけびを上げる。 直後俺に通信が入る。 博士からだ。
「そろそろ撤収の時間だよ。」
「2体倒したんだぞ!? もうすぐ全滅・・・」
俺の言葉を遮るようにAIの報告が入る。
「ミカクニンブッタイ サラニカクニン。 ゴフンゴにホウイサレマス。」
「僕のセリフ取られちゃったね。 アンカーを上に打ち出してくれ。 ヘリで回収する。」
通信がきれたとたん俺の視界が白く染まる。 だれかがスモーク弾を撃ったようだ。
俺は命令に逆らうわけにもいかず、レーダーに映ったヘリに向かってアンカーを打ちこんだ。
最初の戦いにしては強引過ぎたかな? ちょうどいい幕切れっていったいどのくらいなのだろうか?