鎧をまとう男(ロウ)
「そんな君に早速『仕事』だよ。」
博士が俺に向かってそう言う。 そして指を鳴らして上からスクリーンを降ろす。
「今回君はこの建物を壊してくれればいい。」
そこにはひとつの立派なビル。 何階あるのか数えるのもめんどくさいくらいでかい。
「君一人にやってもらうわけではない。 正確に言うと破壊作業の妨害に来る敵の排除・・・とでも言った方が分かりやすいかな?」
確かに俺一人でビルを破壊するのは不可能だ。
「俺以外にどのくらいの数が来る?」
「破壊作業は別の部隊がやるから僕は知らないね。 僕の部隊からは君と戦闘員を5人くらい出すよ。 今回のリーダーは君だ。」
博士はそう言ったあと俺に向かって何かを放る。 俺はそれを慌ててキャッチした。 何かと思って確認したらそれは普通のデジタルウォッチだった。 その時計を見た瞬間一瞬頭が痛くなった気がした。
「それはパッと見、普通の腕時計だがそれは『ウォッチ』と呼ばれる道具だ。 君の武器であり鎧になる。 右上の出っ張りを押した後、『変身!』と言ってみてくれ。」
俺は『ウォッチ』の右上の出っ張りを押す。 そして言われたとおりに叫んでみる。
「変身!」
叫びを合図にして腕時計から黒い糸のようなものが噴き出し全身を包む。 1~2秒後 俺の身体の周りには黒い全身タイツのようなものが付いていた。 耳元で音声がこう告げた。
「マスター カクニン。 ナマエトセイベツヲイッテクダサイ。」
「言い忘れたけどAIの指示に従って。 君をそのウォッチのマスターとして登録するから。 登録が済んだら最適化されるからまた見た目変わるよ。」
俺は博士の言った通りに行動する。
「名前は『ロウ』 性別は男だ。」
「リョウカイ。 マスターロウ。 トウロクカンリョウ。 サイテキカ カイシ。」
音と同時に再び糸が溢れ出した。 先ほどと違うところを上げるとしたら糸の色が銀色と言うところだ。
また1~2秒したとき糸が収まる。 身体を見渡すとさっきの全身タイツのようなものの上から中世の騎士が付けていそうな胴当てとガントレット 足には膝から下を覆うように鎧が付けられていた。 俺が鎧を確認し終えると博士がこう言った。
「君に『ロウ』という名前を付けて正解だったよ。 顔が狼みたいになったからね。」
博士はどこから取り出したかは分からないが全身が映りそうな鏡を置く。 俺は顔を確認する。 そこには狼の顔をして鎧をつけた男が立っていた。
「これが俺の鎧か。 悪くないな。 頼むぞ。 相棒。」
「リョウカイ。 コチラコソヨロシクオネガイシマス。 マスターロウ。」
AIの声も楽しそうに聞こえた。
「鎧もできたことだし『仕事』の時間だね。 僕に付いてきて。」
博士はそう言って歩き出した。 俺はそのまま走ってついていった。
なんか納得いかない。 自分に文才がないのが悔しいです。 感想や指摘がありましたらお願いします。