暴れる狼(ロウ)
突入したと同時に俺の方に『何か』が飛んでくる。 俺は慌ててバイクから飛び降り、回避する。
バイクは音を立て、乱戦の中に消えて行った。 帰る時どうするか一瞬悩んだが、そんなことを考えている暇はなかった。
「ゼンポウカラ テキセッキン。 チュウイ。 ケイコク。 ロックオンサレテイマス。」
次々に警告が聞こえてくる。 耳元で警告音が鳴りっぱなしだ。 俺はクローを展開し、目に映った敵を切り刻む。
確かにセインツと比べると弱い。 反応してくる速度なんかは遅すぎる! と叫びたいほどだった。
それでもこちら側の戦闘員にとってはキツイのか赤い丸がポツポツと消えていっている。
一か所を除いて。
他の丸よりも一際大きく表示されている丸の周りではドンドン灰色の丸が消えて行っている。 他の赤い丸の周りにいた灰色の丸が一際大きな丸の方に向かって動いていっている。
「あっちに強いのが居るぞ!」
「左翼が壊滅寸前だ! 応援頼む!」
「何だコイツ! うわあああああ!」
という声が聞こえる。 多分オロチが暴れまわっているのだろう。
「オロチが左翼で暴れるっていうなら俺は右をつぶしに行きますかね。」
俺はボソリとそう呟いて今左翼の造園に行こうとしている集団の前に立つ。
「お前達、 こっからさき通りたいなら好きにしな。 ただし。」
そう言って俺は先頭にいた1人を切り裂く。
「通行料は手前達の命だ。」
俺はそう言ってクローから垂れている血を見せつける。 切られた奴の後ろに居たやつらが震えて叫ぶ。
「化け物だ! 狼の悪魔がでたああああ!」
「に、逃げろおお!」
目の前は急に後ろに下がろうとした奴が転んだり、ぶつかったりと大惨事になっている。
そこに恨みを晴らそうとこちら側の兵士が集中したから余計にごちゃごちゃになる。 そして俺の所に通信が入る。
「ロウさん。 先行した部隊の支援に向かって下さい。 機動小隊はほっといてもこの場の敵の殲滅が終わりしだいすぐ再編成しますから。」
というナギさんの指示が入る。 先行したと言ってもいつの間に行ったのだろう。 その答えはすこし進んだ先にあった。
少し進んだ場所には10tトラックと、ひきつぶされた死体があった。
恐らく俺達が突破した後、強引に抜けてきたのだろう。 トラックにはあちらこちらぶつけた後があった。
「さてお手伝いしに行きますかね。」
俺はそう呟いて走りだした。
多数対多数の乱戦を書いたのは初めてなのでよくわかりません。 いろいろ考えることが多すぎて頭がパンクしそうな俺でした。