表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
俺、元ヒーローっす。  作者: 仙崎 龍牙
2/21

無力な英雄(ヒーロー)

ダンボールを片手に通勤、通学ラッシュでにぎわっている大通りをフラフラと歩く 


(次の仕事、どっかに転がってねぇかな・・・)と思いながら公園のベンチにドカッと座り込む。 目の前には迎えのバスを待っている幼稚園児がじゃれあっている。 後ろのとおりには会社に遅れないように早足で歩いているサラリーマン


「俺、なにやってるんだろ・・・」


無意識のうちに昔、ヒーローのときに使っていた腕時計型変身道具 ウォッチをいじっていた。 


「なぁ! 昨日のアレ! みたか!?」


「みたみた! レインボーレンジャーだろ!? かっこよかったなぁ!」


子供同士の無邪気な声が耳に届く。


(俺みたいな人間になるなよ) 


心の中でつぶやいてベンチから立ち上がろうとしたと同時に後ろからビルが崩れる音がした。


そしてあちらこちらから悲鳴や血の匂い。


「誰か助けてくれ! 悪の組織が攻めてきた!」


誰かが叫ぶ その声も悲鳴にかき消されていった 


「誰か! 誰かああ!」


「わあああああああああ!」


俺の前をどんどん人が走り去っていく。


(俺もにげねぇとな) 


俺はダンボールをインドの人のように頭に乗っけて器用に人ごみを避けて走っていく。


逃げる集団の最前列を走っていく俺が目にしたもの それは絶対に思い出したくない光景だった。


人がカラスについばまれたゴミ袋のようにバラバラにされて転がっている そしてまだ形が残っている死体にたかって食らっている複数の黒い人型の化け物 悪の組織の一つ、プレデターの戦闘員であった。 


俺は路地裏に逃げようとした。 


「お母さん どこ~?」 


と言う子供の声を聞いて足を止めた。


(あーあ また俺の悪い癖が出ちまったな) 


俺はダンボールを投げ捨て走り出す。 そして数秒後、背中に痛みが走った。


(俺、ヒーロー辞めたはずなのに何やってるんだろ・・・) 


俺は心の中でぼやいた


俺は無意識のうちに目の前の子供を抱きしめて守っていた。 


「坊主、悪いやつ倒したらすぐにお母さんを探してやる。 それまであっちに隠れてろ。 すぐにヒーローが助けに来てくれるぞ」


俺は満面の笑みで子供に話しかける。 子供は素直に従い、俺の後ろの路地に逃げ、顔を少しだけ覗かせていた


「少しだけ、お仕事させてもらいますかな」 


俺はウォッチの出っ張りを押し、右手を前に突き出した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ