襲われる狼(ロウ)
時々道を間違えながら、なんとか2時間後に次の拠点にたどり着いた。 地図に示された場所を見ても掘立小屋ひとつ見当たらない。 まさか地図を見間違えたのか!? 俺は不安になって博士と通信しようとした。 そんな時後ろから声が聞こえた。
「あら? こんなところに一般人がいるわ。 どうするべきだと思う? リンクス。」
「機密保持の為に消すべきだと思います。 お嬢様。」
後ろからは少女と思われる声と40~50代くらいの低い男の声が聞こえた。 物騒な会話だと思う。 直後、嫌な予感がする。 同時にバイクのアクセルを全開にし、そこから逃れた。
「ちょろちょろ動かないでよ。 はずれちゃうじゃない。」
俺が居た方向から少女の声が聞こえる。 後ろをミラーで確認したらゴスロリとよばれる服を着た少女は両手にナイフをもって俺の方に飛びかかってきた。
「問答無用ってか? 俺もタダで死んでやれるような人間じゃないんだよ! 変身!」
俺はウォッチのスイッチを押し、バイクから飛び降りる。 右の方向に飛び出し、転がりながら体制を立て直す。
少女はバイクの上を通り過ぎて行き、そのまま木の方へ突っ込んで行く。
「クロー スタンバイ!」
俺の叫びの直後、AIが復唱し、腕にクローが展開される。
「いきなり攻撃しやがって!」
俺はそう言って少女の方に突っ込む。 少女は勢い余って木にぶつかってしまったらしく、木の下で伸びている。
あと5メートルで届くと言うところで何かが割り込んでくる。
「お嬢様に指一本触れられると思うな。 犬め。」
男はスーツの下にガントレットを仕込んでいたらしく、腕で俺の攻撃を受け止める。
「ぬうううん!」
そのまま雄たけびを上げ、俺を吹き飛ばす。
「ありがと リンクス。 チャンス作ってくれて。」
スーツを着た男の方をけって少女が突っ込んでくる。
「バラバラになっちゃえ!」
少女はどこから出したのか130センチほどの傘を振りかぶって突っ込んでくる。 アレに当たるのはまずい!
俺はそう思い、さっき少女がぶつかったのは別の木を狙ってアンカーを撃ちこむ。 幸いここは森なので木には困らない。
そしてそのまま枝から枝へ飛び移りながら逃げ出す。 逃げながら通信を博士につないだ。
「博士! 多分基地の目の前だと思う場所でゴスロリ女とスーツ着た男に襲われた! どっか別の入り口はないか!」
「ん? ゴスロリ女とスーツ着た男? そのゴスロリの子 スーツ着た人をリンクスってよんでなかった?」
博士はあいかわらずの緩いしゃべり方で聞いてくる。 たしかにそう言っていたはずだ。 そのことを博士に伝えると博士の方から机を叩きながら爆笑する声が聞こえた。
「おい! 何が面白いんだよ! こっちは殺されかけてるんだぞ!」
「ああ ゴメンゴメン。 その2人はウチの組織の者だよ。 コードネーム オルトロス。強襲部隊のエースだ。 すぐに伝えるからロウは元居た場所に戻って。 リンクスはしっかり者だから何とかなるよ。 あときっと変身してるだろうから変身は解かないでね。 変身後の特徴伝えとくから。」
博士はそう言って通信を切った。 俺は恐る恐る 地図を頼りに最初に着いた場所へと戻って行った。
さて 新しい仲間出してみましたがどうでしょうか。 自分で言うのもアレですが少女の方。 エースにしてはドジすぎますよね・・・ まあいっかと開き直りながら後書きを描いている俺でした