背を向ける狼(ロウ)
俺はそのまま斬られる訳にもいかずクローで受け止める。 重い一撃だ。 一瞬でも1000分の1でも力を抜くと斬られてしまいそうだ。
「くっ・・・」
「カクブカンセツ ゲンカイフカ。 チュウイ。」
というAIの声と共に警報音がうるさく鳴り響く。 腕の関節部分からは煙が上がっている。
「隙有り! フリーフォールクラッシュ!」
という声と共に上から赤い奴が斧を振りかぶり無駄に高いところから落ちてくる。 絶体絶命だ。 こうなったらもうヤケクソだ。
「脚部スラスター 緊急展開! 展開と同時に最大出力で起動だ!」
「リョウカイ。」
AIは復唱せずに脚部スラスターを展開。 そして起動する。 再びさっきと同じように景色がごちゃ混ぜになり、何がなんだか分からなくなる。 だがさっきと違い、何かにぶつかる感覚はあまりしない。 遊園地の絶叫マシーンなんかよりひどく回っているのは事実だが。
「脚部スラスター停止! 停止と同時に地面へ着地するための姿勢制御だ!」
「リョウカイ。 キャクブスラスター テイシ。 シセイセイギョ カイシ。 スラスターシュツリョク ゴパーセントデ サイキドウ。」
声と同時にグルグル回っていた景色は収まり、普通に見えるようになっていた。 そして今俺は倉庫の端の辺りの4メートルほどの高さを漂っていた。 目の前にコンテナがあった時はよくぶつからなかったなと胸をなでおろす。 そしてすぐにレーダーを確認する。 さっき俺が居たところに灰色の点が6つ。 敵は動いていないらしい。 直線距離は100メートル。 辺りにはコンテナだらけで奇襲するにはちょうどいい。 どうやってぶちのめすかの作戦を考えていた時、博士から連絡が入る。
「ロウ。 命令変更だ。 現時点を持ってこの拠点を廃棄することに決定した。 出口にバイクが置いてあるからそれを使って速やかに脱出してくれ。 集合場所への地図は転送する。 あとこの拠点は5分後に爆発するから敵を倒してから逃げようなんて考えない事。 じゃあ 次の拠点で待ってるよ。」
そういって通信が切れる。 せっかくいい作戦を考えたのに、何だかすこしもったいない気がした。
「キョテンジバクマデノ カウントダウンテンソウサレマシタ。 アト ヨンフンゴジュウビョウ。 サイタンダッシュツルートヲチズニヒョウジシマス。」
俺の地図に赤いラインが引かれる。 敵からはちょうど見えないように逃げる事になっている。 どうやら他の人間は脱出したらしい。 さて俺達も脱出するとしますか。
俺は地図に従って走りだした。
なんだかものすごい勢いでPVが伸びてる・・・ 学校から帰って確認して驚きました。 あとどーでもいいことかもしれませんが、個人的に好きなアニメ『ベン・トー』の小説版 買っちゃいました。 ちょうどいい事に一人称で書いてあるので参考にできたらいいなと思っています。 明日辺り半額弁当求めてスーパーに行こうかと思っている俺でした。