罠を張る狼(ロウ)
「相棒。 敵の位置をレーダーに表示してくれ。」
俺は味方と障害物以外表示されていないレーダーをみてそう言った。
「ホウコク。 ネツゲンセンサー ハンノウナシ。 オソラク テキハ ダンネツシートノヨウナモノデ カラダヲオオッテイルモノトオモワレマス。 サキホドノヨウニ モクシシナイカギリ ホソクフノウデス。」
「了解。 目視すればいいんだな?」
俺はレーダーを頼りに下に降りる。 そして『もし俺が隠れるとしたら』という場所に向かって走る。
コンテナの角を右に曲がる。 同時に射撃する音が聞こえた。 鎧に何かが当たった感覚がしたが対していたくない。
「みぃ~つけた」
俺は敵に恐怖を与えるようにホラー映画に出てくる奴のような声を出し、撃たれた方向に突っ込んで行く。
「来るな! 来るなぁぁぁぁ!!」
敵は3人いたらしく うち一人は背中を向けて逃げ出し、後二人は俺に向かってアサルトライフルを撃ちまくる。
当たってもちょっと痛い程度なので止まらずに走り続ける。 そしてクローで2人の身体を切り裂く。 死なない程度に抑えながら。 しかし戦闘不能にするため片腕を切り落とす。
「うがぁぁぁぁ!」
「俺の腕がああああ!」
時々だれかが撃っている銃声に負けないくらいの大声を上げながら叫び、のたうちまわる。
落ちていたトランシーバーから声が聞こえた。
「化け物だ! ライフルが効かない化け物が現れた! 2人やられたぞ!」
化け物とは俺の事だろう。 俺はトランシーバーの音声を送るボタンを押し、2人の悲鳴を聞かせる。 しばらくの間聞かせたあとスイッチを離し、トランシーバーを持ってその場から逃げる。
この『餌』に食いついてくれるといいんだが・・・ 正直敵の装備を見る限りそこまで強いとは思えない。 アサルトライフルが効かないならグレネ―ドでも投げてその場から逃げだせばいいものをアサルトライフルをその場で乱射するなんてな。
「大丈夫か!」 「助けに来たぞ!」
さっき1人逃げた方から6人くらいがやってくる。 これで指示してる人間を除けば壊滅だ。
予想以上のアホだ。
俺はその6人の命を刈り取るためにコンテナの上に飛び乗り、上から奇襲を仕掛ける。
あと少しで敵にクローを突き刺せる。 そんな距離に来た時、 あと少しで当たる敵がこう呟いた。
「かかったな? 変身!」
敵と俺の間に見えない壁があるかのように俺の攻撃が強制的に止められる。 そして敵が急に光りだす。
光が収まるとそこにはさっき戦った全身タイツの集団が立っていた。
「我ら『セインツ』 昨日のような不覚は取らん! 覚悟しろ! 狼男め!」
目の前に立っていた金色の奴が同じく金ぴかな双剣を俺に向かって振るった。
罠にかかったのは俺の方か! 俺は奥歯を強くかみしめた。
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