表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

27/30

緊急SS 小人さん、勝手にでてきたんだが!? ~白髭小人さんのプレゼント~

臨時のショートストーリーです。

本編のラスト(あとがき)に、皆様への重大発表がございますので、ぜひぜひ最後の最後までお見逃しのないようお読みください!

それは、まだ春を待つ冬の頃。寒風が容赦なく吹きすさぶ、エド村。


「今日も寒いですねぇ~~ブラン様ぁ~~」


「そうだな、リナ。今日は館にこもるぞ」


領主館の暖房でぬくぬくだから……あんま外には出たくない。


村のボロ家を新居に建て替える作業がようやく終わった。

俺の魔力も枯渇しているし、とりあえず数日のあいだ休むことに決めたのだ。


ゴロゴロ……

ゴロゴロ……


「ブラン様、この村の娯楽はなにかございますか?」


俺がリビングの真ん中で転がっていると、ソファに上品に腰掛けていた元公爵令嬢のアクシラが、呆れたような、でもどこか微笑ましそうな視線を向けながら声をかけてきた。

彼女がこの村にやってきてから、それなりの時間が経った。最初の頃の緊張感を思えば、今やこうして俺の「リビング全開ゴロゴロ姿」を晒せるくらいには、だいぶ打ち解けてきた気がする。


「娯楽?」


俺はゴロゴロと転がるのを止め、その場であぐらをかいた。


「んん~~そう言われてみれば、これといって何も無いな……」


今まで忙しかったから気にならんかったが……そういえばなんもないな。


数日休んだら、なんか作ってみるかぁ~~と思っていたら……


フワァ……と、目の前のフローリングが光を放ち始めた。


「えっ……!?」


アクシラが驚いて、ソファから身を乗り出す。



むくり、ぴょこ。  


ぴょこぴょこ。


ぴょこぴょこぴょこ。



なんか小人さんたち出てきたんだが!?


え? なにこれ? 俺、【設計図】発動した?? もしかして無意識のうちにまだ新築建てようとしているの? 自動発動ってこと? それはヤバいぞ……


などと焦っていたが。


「わぁ~~ブラン様ぁ~小人さんちっちゃい角つけてる~~♪」

「こっちの小人さんは鈴がついてるです!」


んん? これって……


「……こちらの小人さんは白髭をつけてますね。それに赤い服ですか」


なるほど……なんとなくわかってきた。


「よし、みんな飯くって寝るか!」


俺たちが早々に寝床につくと、小人さんたちは小さな体に白くて大きな袋を担いで、教会のほうへとぴょこぴょこ向かっていった。



翌朝。



目を覚ますと教会のほうから、子供たちの割れんばかりのはしゃぎ声と、大人たちの歓声が聞こえてきた。


「ブラン様、おはようございます……何やら、教会の方が大変な騒ぎになっているようですが、一体何があったのでしょうか?」


着替えを終えたアクシラが、不思議そうな顔をしてリビングにやってくる。


「ムフフ、決まってるだろ。ちょっと見に行こうぜ」


俺たちは領主館をでて、教会の扉をあける。

するとそこには綺麗なリボンがかけられた、色とりどりのプレゼント箱が山のように積み上げられていた。


「サンタさんが来たんだな」


理由はよく分からんが、小人さんたちが自動発動して村へとプレゼントを届けてくれたらしい。

子供たちは木で作られたおもちゃの剣やお人形を抱きしめてキャッキャと飛び跳ねて喜んでいるし、大人たちも負けないくらい大興奮で奇妙なおもちゃに群がっていた。


まあ頑張ったエド村へのプレゼントなんだろう。


うんうん、楽しそうだな。


「おい見ろ! この紐がついた木の玉をこっちの受け皿にカツッと乗せるの、めちゃくちゃ難しいぞ!」

「貸してみろ……ああっ、惜しい!  畜生、もう一回だ!」


けん玉か……なんかドハマりしているようだ。


別の場所では十字の形をした金属の塊を指先で弾き、凄まじい勢いでシャーッと回転させて遊んでいた。


ハンドスピナーか。なんとなく手癖で永遠に回し続けちゃう中毒性があるんだよな。


そんな風に村全体がお祭り騒ぎになっている中、俺はプレゼントの山の隅っこに誰の手も付けられずにポツンと残されていた、大きな平べったい箱を見つけた。


ボードゲームか。


ちなみに小人さんマニュアルは誰でも読むことができるという、超便利文字である。

よって村人たちもボードゲームの文字が読めるはずだ。

だが、そもそも意味がわからんのだろう。けん玉や輪投げなど直感的にわかるものの方がうけているようだ。


「んじゃ、俺たちはこれもらってくか」



さっそく領主館に戻った俺たちは、テーブルの上にボードゲームを広げた。


「ブラン様、それはどのような娯楽なのですか?」


「ふふふ、人生を体験するゲームだよ。アクシラ」


このボードゲームは、ルーレットを回して自分の駒を進めていくド定番のやつだ。

止まったマスで、職業に就いたり、給料もらったり、株を買ったり。

子供の頃にめちゃくちゃやった記憶がある。


「なるほど、この歯車ルーレットを回して出た目の数だけ進むのですね。では」


カラカラカラ……とアクシラがルーレットを回す。出た目だけ駒を進めたアクシラが、止まったマスのテキストを朗読した。


「ええと……『結婚マス。お祝い金を全員から1000ゴールドずつもらう。さらに、自動車の隣の席に配偶者のピンを刺す』……。ブ、ブラン様、わたくし、結婚してしまいました……」


「お、おう……おめでとう。というか、最初から結婚マスかよ、ご祝儀払わなきゃ」


「では、次は私ですね~♪ それぇ~」


リナがルーレットを回す。


止まったマスは就職マス。


「え~~と、メイドになる。ですって! やった~~♪」


ゲームでもメイドになるとは……そういう星に生まれているだろうか。

そんな感じで、ゲームは順調に楽しく進んでいったのだが……中盤に差し掛かった頃から、異様な偏りが発生し始めた。


カラカラカラ……。


「ブラン様……子供ができました」

「ブラン様……子供ができました」

「ブラン様……子供ができました」


アクシラ、子供マスに止まるの多くないか……


「ふっふ~ん、ブラン様は責任取らないとですねぇ~~♪」


おいこらリナ、意味深な発言をするんじゃない。


だがそこそこ奥の深いゲームゆえに……結果的としてアクシラがボードゲームにめっちゃハマった。

「やはり株にいくべきですか……」とか常になにか呟きながらも、顔がいきいきとしている。ま、だいたい子供マスにとまって家族が増えるのだが……


ロネが淹れてくれた温かいお茶とクッキーを口に放り込みながら、なんだかんだで俺たちはボードゲームを楽しんだ。


「楽しかったです、ブラン様。こんなに素晴らしい遊びがあるのですね」


「ああ、喜んでもらえてよかったよ……さて、それじゃあ夜も遅いし、そろそろ寝るか」


「はぁ~~いブラン様ぁ~~。あ、寝室のベッドを整えておきますねぇ」


リナがトコトコと先行して二階の寝室へと上がっていく。俺とアクシラもそれに続いて階段を上り、各自の自室へ行こうとしたときだった。


「あれぇ~~~? ブラン様ぁ~~これ~」


リナが俺の部屋から声をあげた。 何事かと、俺とアクシラが慌てて部屋の中を覗き込む。


「ブラン様……これは、本ですね」


そうアクシラの言う通り、本が山のように積まれていた。


「うわぁ~~なんかこの本の絵~ブラン様とアクシラ様にあたしみたい~~♪」


みたいっていうか……俺たちだ。


「これは……この村の出来ごとが書かれているようです」


ペラペラとページをめくったアクシラが顎に手を当てる。


うん、俺が追放されたシーンから始まってるな。


「これはラノベだな」

「らのべ? ですか?」

「ああ、誰でも気軽に読める楽しい本だ」


そう、サンタの小人さんたちが最後に残していった最大のプレゼント。


それは俺たちがこのエド村で紡いできた、笑いあり、涙あり、そしてかわいい小人さんたちの活躍ありの物語が、一冊の素晴らしい本として結晶化したモノだったのだ。


「まさか、自分たちの物語がラノベになるなんてな……。サンタ小人さんの粋な計らいに、心から感謝しないとな」


俺はベッドの上に腰掛け、山積みの本の中からアクシラとリナの分を配り、自分も一冊を大切に開いた。


暖房が効いた寝室の中俺たちはベッドに並んで寝そべり、自分たちの足跡が刻まれたその輝かしいページを、一頁一頁、とても愛おしそうにめくり続けるのだった。


いつも読んで頂き、ありがとうございます。作者の「のすけ」です。

なんと、なんと、ハズレ魔法【設計図】の書籍化が決定しました~~!!

やた~~小人さんが、紙の本になって本屋さんに並びます♪


これもひとえに読んで応援しくださっている、みなさまのおかげです!

本当にありがとうございます!


これからも引き続き応援よろしくお願いします!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ