表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
後方腕組み師匠面(ししょうづら)しているだけの俺が、実は世界最強の剣聖だった件  作者: 街角のコータロー
2章 北限の聖域

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

39/56

第8話:鋼の巨鬼、黒龍の炎

北の国境、永久凍土が広がる断崖。


吹き荒れる雪嵐の中、北の魔王軍四天王が一人――


『巨鬼将』ゴルドは、愛用の巨大斧を肩に担ぎ、悠然と地平線を眺めていた。  


彼の胸元には、アルドから贈られたばかりの世界樹のお守りが揺れている。


「……アルド殿。アンタに『心配だ』なんて言われちまったら、俺様はここで一歩も退くわけにはいかねえんだよ」


 その時、天を割るような咆哮と共に、漆黒の流星が地上へと叩きつけられた。


 雪煙を上げ姿を現したのは、西の四天王、黒龍将ガルドス。


漆黒の龍鱗を纏ったその姿は、まさに天災そのものだった。


「……不純物め。貴様がこの地の守護者か? 龍皇様の進軍を阻む矮小な命、我が龍炎で灰すら残さず焼き尽くしてくれよう」


 ガルドスが片手を掲げると、周囲の雪が瞬時に蒸発した。凝縮された超高熱の龍炎が、彼の手のひらで太陽のように脈動する。


「死ね!!」


 解き放たれたのは、山をも容易に貫く極大の火炎放射。


すべてを焼き尽くす龍の息吹ブレスが、ゴルドを真っ向から飲み込んだ。  


轟音。爆炎。


大地は一瞬で溶岩の沼へと変わり、周囲の空間が熱で歪む。


 ガルドスは勝利を確信し、冷笑を浮かべた。だが。


「……おいおい、焚き火か?」


 炎のカーテンを強引に引き裂き、無傷のゴルドが飛び出してきた。  


龍の炎を、彼はただの「気合い」と、極限まで練り上げた「魔力障壁」のみで撥ね除けたのだ。


「な……!? 我が龍炎を真っ向から受け、生きて……だと!?」


「アルド殿に『怪我をするな』と言われたんだ。だったら、掠り傷一つ負うわけにはいかねえだろうが!!」


 ゴルドの瞳に、野生の猛りを超える、守護者としての意志が宿る。  


彼は斧を両手で握り、大地を蹴った。雪原がクレーター状に陥没し、その巨躯が弾丸のように加速する。


「行くぜトカゲ野郎! 俺様の全力――喰らいやがれ!!」


 ガルドスは慌てて漆黒の爪を繰り出し、龍の膂力で迎え撃とうとした。


だが、振り下ろされた斧に込められた「力」の密度が、龍のそれを遥かに凌駕していた。


「『爆震・焔魔割り』!!」


 雷鳴のような衝突音。  


ガルドスが誇る最強の龍鱗は、ゴルドの純粋な怪力の前に、ガラスのように脆く砕け散った。  


衝撃波が天の雲を吹き飛ばし、断崖の一部が崩落する。


ガルドスは自身の腕がひしゃげる感触に目を見開いた。


「ぐ、あぁぁぁ!? ただのオーガが……龍の力を、力でねじ伏せるだと……!?」


「勘違いするな。俺様は『北の四天王』だ。北の大地の平和を乱す不審者は、俺様がその根性ごと叩き潰す!」


 地に叩きつけられ、満身創痍となったガルドスを見下ろし、ゴルドはフンと鼻を鳴らした。


「……さあ、命を拾いたけりゃ今のうちに失せな。」


 ガルドスは屈辱と恐怖に震え、折れた腕を抱えて這いずるように空へと逃げ帰った。


 ゴルドはそれを見送ると、再び気の良い笑顔に戻り、首から下げたお守りを大切そうに服の中に仕舞い込んだ。


「……ふぅ。腹が減ったな。今日はアルド殿、猪肉のシチューだって言ってたな。冷めねえうちに帰らねえと!」


 最強の巨鬼は、家族の待つ聖域へと意気揚々と歩き出した。  


その背中には、一切の傷も、煤すらもついていなかった。



もし「面白い」「続きが気になる」と思っていただけましたら、ブックマークや評価、感想などをいただけると執筆の励みになります! よろしくお願いいたします

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ