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後方腕組み師匠面(ししょうづら)しているだけの俺が、実は世界最強の剣聖だった件  作者: 街角のコータロー
第1章 勇者と聖女

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【幕間:運命の出会い(二年前)】

北の大陸の冬は長い。


だが、二十歳のアルドにとっての悩みは、寒さよりも「柵の修理代」だった。


「……またか。これで今月三回目だぞ」


 村の境界にある頑丈な丸太の柵が、まるで飴細工のようにへし折られている。


犯人は、魔界から迷い込んでくる大型の魔獣――『グランド・リザード』。通称、オオトカゲだ。  


村人たちが震え上がるその化け物は、アルドにとっては「やたらと頑丈な、大きなトカゲ」に過ぎない。


「よし、元から断たないとラチがあかないな」


 アルドは愛用の斧(薪割り用)を担ぎ、深い森へと足を踏み入れた。


「……おかしいな。少し、深く入りすぎたか?」


 気づけば、周囲の木々は禍々しい魔力を帯び、空の色さえも紫がかっている。


完全なる魔界の領域。


だが、アルドは「今日は霧が深いな」程度にしか思っていなかった。  


その時、地響きと共に、全長十メートルを超える巨大なドラゴンが姿を現す。


王国の騎士団が一個大隊で挑むレベルの災厄。それが、アルドを見下ろして咆哮を上げた。


「あ、いたいた。君か、うちの柵を壊してるのは。……悪いけど、倒させてもらうよ。」


 アルドが軽く地面を蹴る。  


次の瞬間、ドラゴンの巨体は**「縦に二つ」**に割れていた。魔法もスキルも使わない。


ただの「垂直な薪割り」の動作。


ドラゴンは何が起きたのか理解する暇もなく、絶命した。


「ふぅ。さて、帰りたいんだけど……どっちが村だったかな」


 アルドが首を傾げたその時、空間がガラスのように割れ、一人の女性が舞い降りた。  


赤髪のセミロングに、透き通るような肌。


そして、氷を編み込んだような美しいドレス。


「見事な一撃でしたわ。人間が我が領地の害獣を、あのように容易く……」


 アルドは驚いて目を丸くした。


こんな深い森の中に、お嬢様のような格好をした美女が現れたからだ。


「……えっと、あなたは?」


「ご挨拶が遅れましたわね。ワタクシはミラ。この一帯を……ええ、管理している者ですわ」


 ミラは優雅に一礼した。彼女は遠く離れた魔王城から、望遠の魔術でこの「不審な人間」を観察していたのだ。


そして、ドラゴンの脳天を叩き割るその理外の力に、興味を持った。


「貴方、お名前は?」


「俺……いや、私の名前はアルドと申します……」


「ふふふっ……そんなに畏まらなくても大丈夫ですわ。」


アルドは使い慣れていない敬語を使って答えたが、目の前の美女にはバレバレだったか、と恥ずかしくなり頬をかいた。


「アルド様。実はワタクシ、この不潔なトカゲどもに領地を荒らされて、大変困っておりますの。もしよろしければ、定期的に『間引き』をしてはいただけませんこと?」


「依頼……ですか? もちろんお受けしますが、この辺りにミラさんのような人が住む大きな家なんてあったかな?」


 アルドは訝しげに周囲を見渡す。


そこには、ただ不気味な森が広がっているだけだ。  


ミラは「ふふっ」と艶然と微笑んだ。


「認識を阻害しておりましたの。……少しだけ、お見せしましょう」


 ミラが指先を鳴らす。  


すると、霧が晴れるように視界が歪み、アルドの目の前に禍々しくも壮麗な、巨大な門が現れた。


魔界へと続く入り口。


そしてその奥には、村とは比較にならないほど巨大な居住区が広がっていた。


「……うわ、気づかなかった。こんな近くに大きな町があったんだ」


「そうですわ。……さあ、契約書を交わしましょう? 報酬は、貴方の望むものを」


 ミラの手を握った瞬間、アルドは「この人はすごく温かい(魔力が)」と感じた。  


これが、自覚ゼロの最強青年と、美しき魔王による「契約(両片想い)」の始まりだった。



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