表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
後方腕組み師匠面(ししょうづら)しているだけの俺が、実は世界最強の剣聖だった件  作者: 街角のコータロー
第1章 勇者と聖女

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

18/60

第18話:静寂の一撃、至高の残滓

王宮の練兵場。  


王国最強を自負する『白銀騎士団』の長、ガリアス団長と、村の青年アルドが対峙していた。  


周囲には、カイルやリナの新たな師匠が決まる瞬間を見届けようと、多くの騎士や貴族たちが集まっている。


「……抜くがいい。貴様がカイル殿たちに教えたのが『薪割り』だというのなら、その剣でも何でも振るってみせろ」


 ガリアスが大剣を構え、重圧プレッシャーを放つ。


対するアルドは、武器を持たず、ただいつものように自然体で立っていた。その瞳には敵意も、あるいは侮りもない。ただ、静かな湖面のような平穏があるだけだった。


「いえ、僕は武器はいりません。……団長さん、本気で来てください。怪我をさせたくないので」


「……どこまでも舐めた男だ。後悔させてくれる!」


 ガリアスが踏み込んだ。  


大地を揺らすほどの突進。放たれた大剣の横薙ぎは、鉄の門すら両断する王国最強の奥義――。


 ――だが。  


観衆の目には、ガリアスの剣がアルドに届く直前、アルドの姿が一瞬だけ「ブレた」ように見えた。


 次の瞬間、ガリアスは崩れ落ちた。  


何が起きたのか、誰にも分からなかった。


ただ、アルドが倒れゆくガリアスの背中を、汚れがつかないようそっと支えて地面に座らせる姿だけが、そこにあった。


「……怪我はしていません。眠っていただいてるだけです。」


 アルドが静かに告げると、場は静まり返った。


 観衆は、ガリアスが勝手に力尽きて倒れたのかと錯覚するほど、アルドの動きは「無」に等しかった。


 だが、観覧席の最前列でそれを見ていたミラだけは、優雅に扇を閉じ、小さく息を漏らした。


「……見事な一打でしたわ。ワタクシでなければ見逃しているところでしたわ……」


 ミラの瞳には見えていた。  


ガリアスの剣が届くわずか一瞬前。アルドが最小限の動きで懐に潜り込み、指先を揃えた手刀で、騎士の首筋に「呼吸を整える」かのような繊細な衝撃を打ち込んだのを。  


それは力による破壊ではなく、相手の意識の糸を、誰にも気づかせぬほど優しく断ち切る神業だった。


 四天王たちもまた、それぞれの場所で畏怖を抱いていた。


「……今の見えたか?」  


ゼクスが3人に問いかける。


「残像を追うのが精一杯。」  


シオンは自らの剣を握る手に力を込め、師への敬意をより一層深める。


「全く見えねぇな。」  


ゴルドはアルドの底知れない余裕に、心地よい敗北感を感じながら笑う。


「ワタシもよ。こんなに差があるなんてね……」  


ベラドンナは、その絶対的な強さの残香を楽しむように目を閉じた。


 アルドは立ち上がり、困惑する騎士たちに「すみません。しばらくすれば起きると思いますよ。」と、いつもの純朴な笑顔で告げた。


 王国最強が、その実力を見せつけることすら許されずに幕を閉じた決闘。  


カイルとリナは「やっぱりお兄さんは凄い!」と駆け寄り、アルドは「二人とも、あんまり騒いじゃダメだよ」と彼らを嗜める。


 その穏やかな光景の裏で、王都の重鎮たちはようやく気づき始めていた。  


勇者と聖女の背後に、世界を揺るがしかねない「静かなる巨峰」が立っていることを。



もし「面白い」「続きが気になる」と思っていただけましたら、ブックマークや評価、感想などをいただけると執筆の励みになります! よろしくお願いいたします

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ