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追放された悪役令嬢は、辺境の村で美食の楽園を創り、やがて王国の胃袋を掴むことになる  作者: 緋村ルナ


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第7章:困難に立ち向かう知恵と絆。確かな信頼が王国に轟く

 ルミエール村を襲う困難は、次々とエリアーナの前に立ちはだかった。隣村からの妨害行為に加えて、未知の病害や、何日も続く干ばつが、エリアーナが築き上げてきた畑を脅かす。村人たちの間にも、少しずつ不安な空気が流れ始めた。


「エリアーナ様……こんな病気、見たことがありません。もう、諦めるしかないのでしょうか……」

 ミリア婆さんが、葉に斑点が出た作物を指差しながら、沈痛な面持ちで言った。

 エリアーナは、夜を徹して病害の原因を突き止めるために奮闘した。前世の知識では対処できない異世界の病気。しかし、よく観察すれば、その病気が発生する場所には共通点があることに気づいた。特定の土壌、特定の風通しの悪い場所。

「これは、きっと、この世界の土壌菌が原因なのよ! なら、対策は……!」

 エリアーナは、ミリア婆さんが教えてくれた薬草の知識を思い出した。特定の薬草の根には、土壌を浄化する力があるという伝承。半信半疑ながらも、彼女はいくつかの薬草を煎じ、水で薄めて畑に散布する、という実験的な方法を試みた。


 一方、深刻な問題となっていた干ばつには、エリアーナは効率的な水利用の仕組みで立ち向かった。前世で学んだ『点滴灌漑』という技術を思い出し、穴を開けた土管を地中に埋め、そこから作物の根に直接水を供給する簡易的な装置を考案したのだ。

「これなら、少ない水でも効率的に作物に水分を届けられます!」

 村人たちは最初は懐疑的だった。しかし、エリアーナの言葉を信じ、カインが先頭に立って、村中の男たちが協力し、日中に照りつける太陽の下、汗だくになって土管を埋める作業に励んだ。

 カインは、自身の元騎士としての統率力と、冷静な判断力で村人たちをまとめ上げた。隣村の妨害に対しては、村の男たちと共に夜警を行い、畑への不審者の侵入を未然に防いだ。

「俺は、お前を信じている。お前の努力が、必ずこの村を守ると」

 カインがエリアーナに告げた言葉は、彼女の心を奮い立たせた。彼との信頼関係は、ビジネスパートナーとしてだけでなく、魂の奥底で繋がる確かな絆へと深まっていた。


 そして、エリアーナと村人たちの「共闘」は、実を結んだ。

 薬草散布のおかげで病害は沈静化し、簡易点滴灌漑のおかげで、干ばつの影響を最小限に抑えることができたのだ。

 枯れかけていた作物が、再び力強く葉を広げ、瑞々しい実をつける様子を見た村人たちは、歓喜の声を上げた。

「やった! エリアーナ様、本当にありがとう!」

 リリーがエリアーナに抱きつく。ミリア婆さんも涙ぐんで、エリアーナの手を握りしめた。

 苦難を共に乗り越えたことで、エリアーナは完全にルミエール村の一員として、いや、それ以上の存在として受け入れられた。村人たちからの彼女への信頼は、もはや揺るぎないものとなっていた。


「これで、もう誰にも、この村を貶めることはできはしない」

 カインが、確信に満ちた目でエリアーナを見つめた。

 ルミエール村の奇跡的な成功と、エリアーナのレストラン「エリアーナの台所」の評判は、やがて国中の商人や貴族たちの耳にも届き始めた。辺境の貧しい村が、なぜこれほど短期間で豊かになったのか。そして、そこにある、見たこともない珍しい作物と、誰もが唸る絶品の料理の噂。


 それは、まるで囁きのように、しかし確実に、王都の上流階級にも届き始めていた。

 エリアーナを貶めた者たちが、その噂を耳にするのも、もはや時間の問題だった。物語は、いよいよクライマックスへ向かう、新たな局面を迎えるのだった。

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