表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
追放された悪役令嬢は、辺境の村で美食の楽園を創り、やがて王国の胃袋を掴むことになる  作者: 緋村ルナ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

6/16

第6章:豊穣の畑、そして広がる繋がり。忍び寄る影と新たな試練

「エリアーナ様! 今日も畑の手伝い、がんばります!」

 リリーが元気いっぱいの声で、エリアーナに駆け寄ってきた。その後ろからは、ミリア婆さんや他の村人たちも、鍬や籠を手に、エリアーナの畑へと向かう。

「ありがとう、リリー。今日は新しい苗を植えるから、優しくね」

 エリアーナは笑顔で応え、彼らと共に、以前は荒れ果てていた畑に立つ。そこは、もう見違えるほど豊かになっていた。瑞々しい緑の葉が風に揺れ、色とりどりの野菜が実を結び、ルミエール村の風景を一変させていた。


「エリアーナの台所」の評判と共に、エリアーナの農園は急速に拡大していった。彼女の的確な指導の下、村人たちも積極的に農業に協力するようになった。エリアーナは、前世の知識を惜しみなく伝え、栽培品種をさらに増やしていった。従来のこの世界にはなかった、病気に強く、収穫量も多い品種の導入や、輪作、連作障害の回避といった現代的な農法を取り入れた結果、畑はみるみる豊かになっていった。


「婆さんが若い頃は、この辺りは本当に何にも育たなくてねぇ。まさか、こんなに豊かになるなんてねぇ……」

 ミリア婆さんは、エリアーナが作った水路や、肥料の山を見ながら、感嘆の声を漏らした。

 村人たちは皆、エリアーナを「賢者様」と呼んで尊敬し、時には「エリアーナ先生」と呼んで農業技術を教えてもらっていた。子供たちはエリアーナに懐き、畑仕事の手伝いをすることで、土の恵みや働くことの喜びを学んでいく。

 食堂のメニューも、採れる食材が増えるにつれて、デザートや保存食、加工品など、その幅を広げていった。冬には採れたての根菜を使ったポタージュスープ、夏にはひんやり冷たい果物のゼリー。村の特産品として、干し野菜やジャムなども作られ、それがまた村の外の商人たちから人気を博した。


 ルミエール村には、日に日に活気が増していった。外からの客が増え、村人たちの暮らしは目に見えて豊かになっていった。

 しかし、順調な発展の裏で、異変の兆候が起こり始めていた。

「エリアーナ様、隣村の者が、こちらの農作物の評判をひどく悪く言っていると、商人から耳にしました」

 カインが、不穏な顔で告げた。

「え? そんな……」

「向こうも、自分の村に客が来なくなることを恐れているのだろう。そして、この村の豊かさを、快く思っていない者もいる」

 カインの言葉通り、村に不審な人物が出入りするようになったという報告が上がった。収穫前の畑が荒らされたり、作物に石が混入しているのを発見したりと、目に見える妨害行為も始まった。


 さらに、異世界特有の試練もエリアーナを襲った。

「エリアーナ様! 見てください! この葉っぱ、変な斑点が出てます!」

 リリーの声にエリアーナが畑に駆け寄ると、新しく栽培を始めた作物の葉に、見たことのない病害が広がっていた。前世の知識にはない病気だ。さらに、日照りの続く厳しい夏には、村の水源が干上がり始め、畑はカラカラに乾いていく。

「このままだと、作物が枯れてしまいます……!」

 村人たちが不安げな表情を浮かべる中、エリアーナは自らの知識だけでは立ち向かえない、異世界の厳しい現実を目の当たりにしていた。

 だが、エリアーナは諦めなかった。

「大丈夫、きっと、解決策はあるはずです!」

 彼女の瞳には、まだ闘志が宿っていた。

 カインは、エリアーナの顔をじっと見つめ、何かを決意したように深く頷いた。元騎士としての土地の調査経験や、危険から村を守る術。彼の力が、今こそ試される時だった。

 広がる豊穣の畑。深まる村人たちとの絆。そして、その背後に忍び寄る不穏な影。ルミエール村の快進撃は、新たな試練の局面を迎えていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ