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追放された悪役令嬢は、辺境の村で美食の楽園を創り、やがて王国の胃袋を掴むことになる  作者: 緋村ルナ


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第11章:白日の下晒される真実。私の居場所は、ここ

 王宮での再審が開かれた。厳かに整えられた広間には、王国の高位貴族たちが集まり、固唾を飲んで事の成り行きを見守っていた。中央には、私、エリアーナ・フォン・ヴァレリア。そして、その対面には、顔を青ざめさせたレオンハルト王子とセレスティナが立たされていた。


 私の代理を務める公爵家の老執事が、カインが命懸けで集めた証拠の数々を、淀みなく読み上げていく。

 レオンハルト王子がセレスティナの甘言に乗り、私を陥れるためにいかに虚偽の罪を捏造したか。

 セレスティナが、その地位を我が物にするために、どれほどの謀略を巡らせたか。

 ルミエール村への妨害工作、流通の遮断、不法な土地の買い上げ、悪質な風評被害……。

 完璧な証拠の前に、レオンハルトとセレスティナは、もはや一切の言い訳もできず、ただ打ちのめされた顔で、震えるしかなかった。


「ば、馬鹿な……こんなはずでは……!」

 セレスティナが、蚊の鳴くような声で呟き、その場に膝をついた。レオンハルト王子もまた、自らの保身のために犯した罪の重さに耐えかね、その場に崩れ落ちた。

 厳かな声が響き渡った。

「第一王子レオンハルト・クライストは、その地位と王位継承権を剥奪。辺境での謹慎を命ずる」

「侯爵令嬢セレスティナ・アルビオンは、その爵位を剥奪し、領地への無期限追放とする」

「そして、エリアーナ・フォン・ヴァレリア公爵令嬢の無罪をここに証明する! 名誉は完全に回復されたものとする!」


 悪役の断罪と、私の完全な勝利。

 広間には、ざわめきと、安堵の空気が入り混じって漂った。

 国王陛下が、慈悲深い表情で私に語りかけた。

「エリアーナ嬢。この度の功績、まことに見事であった。ヴァレリア公爵家の名誉も回復され、そなたの地位も元に戻る。王都へ戻り、以前の生活を送るがよい。あるいは、これまでの功績に鑑み、新たな役割を王家のために務めてはくれまいか?」


 王都での華やかな生活。貴族として、何の不自由もない暮らし。誰もが羨む、輝かしい未来。

 しかし、私の心は、揺らぐことはなかった。

 ゆっくりと顔を上げ、私は陛下に向かって、毅然とした態度で頭を下げた。

「陛下、お気遣いいただき、誠にありがとうございます。しかしながら、私は、このルミエール村で得た、かけがえのないものがございます。土にまみれる喜び、自らの手で命を育む喜び、そして何よりも、私を信じ、共に困難を乗り越えてくれた村人たちとの絆こそが、私の真の幸福でございます」

 私は、一切の迷いなく、王都への復帰を断った。


「私にとって、真の居場所は、華やかな王都ではありません。肥沃な大地に恵まれ、温かい人々に囲まれた、ルミエール村。あそここそが、私の帰るべき場所でございます」

 私の言葉に、陛下は静かに頷かれた。彼の目には、私の決断に対する理解と、かすかな敬意の色が浮かんでいた。

 私が法廷を後にしようとすると、カインが私の隣にそっと歩み寄ってきた。彼は、私をまっすぐに見つめ、その瞳には深い敬愛と、そして隠しきれない愛情が宿っていた。

「エリアーナ」

 彼が、私の名を呼んだ。その声は、いつもよりもずっと柔らかく、そして温かかった。

「お前が選んだ道ならば、俺はどこまでもついていく」

 彼は、私の手を取り、そっと握りしめた。その温かい掌が、私の心を包み込む。

 その瞬間、私は確信した。この人こそが、私の人生を共に歩むべき相手だと。

 私の名誉は回復され、私の心は、本当に求める幸福を見つけ出した。王都での喧騒から離れ、ルミエール村へと帰る道が、私には何よりも輝いて見えた。

 悪役令嬢として追放された私だったが、その場所で、真の「私」を見つけることができたのだ。

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