表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/7

休暇

GF後の2週間の休養中、少しずつ心の距離を詰めるエルメスとメリル。休暇明けに挑戦される予定だった強敵とのGFは、エルメスの一存で破棄されており暫くはゆっくり出来るはずだった。だがGF以外でも剣神メリルを狙う挑戦者の影が近付いていたのだ。

 初戦を勝利で飾ったメリルは、エルメスの元で休養を取っていた。


 GFを終えた眷族達には漏れなく2週間の休暇が与えられ、その間は新たな挑戦を受けなくても良いのだ。


 とは言え本来の主人の守護が免除される訳ではないので、神に危害を加えるのであればこの時期、護衛の眷族がGFで疲弊しているこの時期を狙うのが定石である。


 実際、高位神族同士でも憎み合っている神や、相性が悪い神同士もいる。


 エルメスは、高位神の中でも評価は高く妬まれることが多かったため、油断は出来ないのだ。


 今回メリルについては、怪我も無ければ、せいぜい少しだけ多くの神聖力を消耗したと言う程度だ。


 現在エルメスとメリルは、復興したエリシオンの東の大樹の根元に座り寄り添っていた。


 エルメスは竪琴をかなで、メリルは側で静かに聴き入っていた。


 「エルメス様の竪琴の音色・・・私大好きです。悲しい訳でもないのに涙が出ちゃいます。」穏やかな表情はしているがその頬は涙に濡れている。


 「メリル?何か悲しい事でもあった?」


 「いいえ。今回私を選んでくれたのがエルメス様でよかった・・・そう思ってるんです。他の神々だったら、ヒト族に良い感情を持たない神様が多いから、今頃酷い目に会っていたでしょうから・・・」

俯きながら小声で答えるメリル。


 「そうかもな。だから、ずっと私の傍にいて離れないでね。私が、私だけは君を愛し続けるからね・・・」


 「はい・・・ずっと傍に居たいです。」メリルは可愛らしい頬を真っ赤に染めてこたえる。


 「そうだ、また休暇明けにまたGFで挑戦者が現れたらしいが、相手が悪かったから断っておいたぞ。」


 エルメスの膝枕からメリルは飛び起きてエルメスを問いただす。


 「だ、ダメですよ!エルメス様の神格が落とされてしまいます。相手は誰ですか?」


 一方、微笑みながら静かに答えるエルメス。「勝利の女神ニケだ・・・。曲がりなりにも序列6位のアテナの懐刀だ。流石のメリルもタダでは済まないからな。」


 プンプンと怒ってメリルは言い返す。「私の為にエルメス様が神格を堕とされるのは我慢できません!」


 エルメスは、優しく桃色に染まったメリルの、頬に手を添えた。興奮して紅潮した頬にエルメスの手の冷たさが心地よい。メリルも冷静さを取り戻して聞きかえす。


 「ニケ様の条件はなんだったのですか?」


 「うん、ニケはメリルの剣術に興味を持ったらしい。手合わせしたいそうだ。」


 ニケは最強の聖槍術の達人であり、衝撃波の使い手でもあるが、メリルとて剣神の称号を持ち、クリティカルを自在に操る・・・剣豪である。


 GFともなればお互いにただでは済まないだろう。


 「まぁ、今回GF断っても序列も6位に落ちるだけだから大して変わらないからね。メリルが少しでも傷つくのは見たくないんだ。」


 エルメスは、元々出世欲も無いが、自らに属する物をこよなく愛する性格なのだ。


「んっ、だれです?ここは、楽園エリシオン。血で汚して良い場所では無いのですよ。」突然の殺気察知したメリルが細剣を抜き構える。


 「気配を消して接近した筈なのに、もうバレましたか。このまま気付かないなら、首をはねてやろうかと思いましたが、残念。」


 「もう、貴女の隠業は見破りました。名乗りなさい!貴女は誰?」


 「私は、ヘパイストス様の眷族、神速のセリカ。そのスカしたエルメスの婚約者を傷モノにしてあげようと思って参上したわ。」


 「GF以外で貴女が勝っても、主人の神格は上がらないわよ。」先程までは、腑抜けていたメリルだが、鋭い視線でセリカを睨む。


 「ヘパイストス様は神格には興味無いの!自ら作り出した武器のキレ味を試したいだけ。剣士としては格下の私が剣神メリルに勝利できれば、間接的に主人の作品がいかに優れているか証明できるわね。」


 セリカは、魔神族の侯爵家出身の高位魔族で、ゴールドブロンドの巻き髪に、深いエメラルドグリーンの瞳が美しい魔法剣士である。


 剣聖をも凌ぐ腕前、剣速もメリルと互角に渡り合えるほどで、剣の腕前も『閃空刃』と名付けられた、遠隔抜刀術を使いこなす達人であった。


 ここは、エリシオン最奥の神木の前である、メリルが本来得意としている高出力・広範囲の魔法が使えないのだ。


 「やはり、剣術で退けるしか無いか・・・」


 メリルとセリカは剣撃を交わすが、セリカの方が戦い慣れている印象だ。


 セリカの立ち位置は常にメリルを挟んで、エルメスの立ち位置と一直線上になる様に移動しては、メリルが避けるとエルメスに当たる様に剣圧を放っているのだ。


 メリルはセリカの放った剣圧を避けると、エルメスの方向に飛ぶ事を知っているため、避けずに受けるようにしていたが、それが不味かった。


 メリルの細剣は、ミスリル製だが、魔法剣を重視していたため、耐久性に問題があったのだ。


 しかしながら今までは、耐久性の無さをメリルが技術的に補っていたのだ。


 しかし、今回の戦闘相手は何よりも鍛治の神であるヘパイストスの作った最強のロングソードである。程なくメリルの細剣はボロボロになっていた。


 「こっこのままだと私の細剣が折られてしまうのは時間の問題っかな・・・」


 メリルは決心したかのように、急激に防御から攻撃に転じてセリカとの間合いを詰めてクリティカルを浴びせかける。


 「ちっ、まだ本気じゃなかったのか?」的確な神速剣がセリカを追い詰めるが、不運にもメリルの細剣が先に限界になってしまう。


 「パキキッィィン」メリルの細剣がへし折れ破片が宙を舞う。


 セリカはここぞとばかりに近距離でメリルを切り伏せた。

投稿の間隔が開いてしまいすみません。出来るだけ頑張って投稿しますんで御閲覧お願い致します。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ