想いは胸の奥の奥に
お待たせしました!
次回もどうぞよろしくおねがいします!
あれから数秒間、ソフィアはルースの腕の中でじっとしていた
そのぬくもりが何故かとても安心できて心地よくて・・・
でも、ハッとして手に力を込めると無意識にルースの胸を押していた
それに瞬時に気づいたルースは「すまない・・」と、とても悲しそうな声で呟くとすぐさまソフィアを離す
申し訳なさと、先程までの温かい体温が無くなってしまい少し寂しさを感じるが
その感情はそっと胸の奥の奥に隠す
気づいてはいけない、もう決めたんだから・・この事がある程度落ち着いたときには・・
そうソフィアは自分に言い聞かせていた
この国のためになるように幼少期から今までこの国の事や隣国の事、ありとあらゆる事を学び教育されてきた
でも、王妃という座はこんな中途半端な気持ちでなっていいものじゃない
ましてや元々はこの関係を終わらせてこの屋敷で静かに暮らそうって決めていたのだ
[もういろんな事に振り回されたくない]その気持ちがソフィアの中でとても大きくなっていた
(もうこの国にいるのもダメかもしれないわね・・・最悪の場合は国を出る準備もしておこうかしら・・)
もうここまで巻き込まれているのだ今後この国に居続けるのも難しいだろう
心残りは沢山あるが出来るだけの事をして誰にも言わずにこの国を出よう
そうソフィアは自分の心に決めた
「ソフィア・・?」
気づかないうちに考えて込んでいたようで呼ばれてハッと顔を上げたときには使用人もルースも皆こちらをジッと見ていた
悟られないようにソフィアは口を開く
「すみません、少し驚いてボーっとしていたようです」
そう言葉にするとルースも他のみんなもなんともないように[よかった]と言って改めて顔を今机に広げられている書類に向ける
その様子をルースは確認すると話を続ける
「とりあえず、そんな事もあり君を守る為もあって近くに王族専用の別荘の名目を打って俺はしばらく事が落ち着くまではそこで仕事をする事になったんだ」
「え?でもそれでは今後のパーティーなどどうするおつもりですか?殿下がパーティーに出席されないなど可能なのですか?ここから王都までかなりの距離ですよ?」
いつまで続くか分からないこの不安定な状況の中で一国の王子であるルースがこんな辺境の地にいるなんて普通であればあり得ない
どんなにルースが王国随一強いと言っても守られるべきは王族だ、それに私はルースと婚約破棄をしようとしたのだ、むしろそうしてくれた方がこちらも安全なのでは?
冷静になりつつある思考回路であれこれ考える
「むしろ、婚約破棄をしていただいた方が私も安全なのではありませんか・・?」
ルースの言葉を待たず思い切って今先程まで考えていた事をポツリと口にする
するとなんだか一瞬にして部屋の空気が寒くなったように感じる
視線をルースの方に向けると顔は下を向いて見えず
周りを見れば使用人も全員目を伏せてルースの言葉を待っているかのような雰囲気だった
その瞬間私は先ほど言った言葉を後悔した




