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【完結】アカシックレコード  作者: 白黒羊
第陸章 森羅回帰篇

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EP41 未来へ

オルディネイトの戦艦はガルディオ本部施設付近に墜落した。そこから数キロメートル離れたノンラドン荒野にて、ガルディオの残党は再集結していた。団長の最後の命令、オルディネイトへの奇襲を実行する為に。



「惑星エウロパを完全封鎖。何人たりとも侵入も脱出も許すな」

『『了解』』

「残りは地上作戦を実行する。今ある全兵力を用いて敵を討つ。躊躇は不要だ。全て殺せ」

『『『了解』』』

通信機越しに、オルディネイト騎士長セデル・ユスティーツァの号令が響き渡った。

「敵の推定現在位置は?」

「本部の東、南方面はすでに攻略済みです。残るは北の山岳地帯と、西のノンラドン荒野です」

「また山か…。よし、北に四部隊を配置、ノンラドン荒野の奥に降り立ち北に誘導させるように囲みつつ進行する」

「了解」



「まさか本部の地下にこんな通路があったなんて」

「マークシオ班や元帥級の騎士にしか知らされていなかったらしいからな」

「それも今みたいな事態を見越してのことだろうな」

「ここまで備えられてるんだ」

「それに奴らの戦艦だって落とした」

「ああ。まだ勝機はある」

騎士達は武器を手に取った。



「騎士長、偵察パイロットからの連絡です。荒野に敵の姿は見当たらないと」

「いや、奴らはいる。全輸送船を予定地点に着陸させろ」

「セデル!?」

「大丈夫だ、アビラ」

オルディネイトの輸送船は、ノンラドン荒野の西端に着陸した。中から戦車大隊、歩兵大隊が姿を現す。

「全機停止」



「一個大隊全軍投入…総力戦というわけか」

「貸してくれ。おお、視界一面戦車がびっしりだ」

双眼望遠鏡を覗いた騎士が報告する。

「ん?どうして止まった?…まずい!今すぐ潜れ!」



「地上にいないなら、地下を探すだけだ。全機発砲開始」


ドンドンドンドンドン


オルディネイトの戦車が地中に砲弾を撃ち込んだ。

横一直線に土煙が上がる。

「戦艦で死んだ仲間の屈辱を、無念を思い出せ!全機進軍開始!」

戦車大隊が地中を攻撃しつつ動き出した。



『おい、おい!大丈夫か!?応答しろ!』

「…あ…あぁ。ワリぃ、判断が遅かった。何人か逝っちまった。俺も左腕がダメになったが、利き腕じゃないから問題ない。こっちは攻撃に出る。そっちも準備を進めろ」

『でも…お前…』

「作戦は分かってるだろ?まずは騎士長のセデルの野郎をぶっ殺す。そこで混乱した敵の隙をお前らが突く。大丈夫。この役は俺が志願したんだ。絶対成功させるさ」

『…あぁ、そうだよな。任せた』

「泣いてんのか?」

『悪いかよ』

「ふ、ありがとな。行ってくる」

『後処理は俺らに任せろ。幸運を』

「お前らもな」

男は通信を切った。

「ったく、どこまでやわなんだかエンテラルの奴は。でもまぁ、最後に生き残るのはああいう優しい奴なのかもな」

男は爆撃を逃れた騎士達に向き直った。

「いいかお前ら!お前らはガルディオの明日の為にここで死ぬ!でもそん時はオルディネイトのボス、セデル・ユスティーツァのクソったれと共にだ!一発かましてやろうじゃねーか!」

「「「おおおおおおおッッッ!!」」」

天井が揺れる。

「敵のお出ましだ。各自、触角爆槍(グロム・へニット)用意。槍穴を開けろ!」

「視認確認」

「こっちもだ」

「ガルディオの明日、未来のために。攻撃開始ッッ!」

「「「オオオオオオオオオオッッッ!!!」」」

ガルディオの騎士達が地中からオルディネイトの戦車に槍を突き刺した。


ドォォォォン


戦車に接触、貫通した槍が爆発する。

「まだ生きてる奴はいるかぁぁぁあ!」

「「「オオオオオオッッッ!」」」

「数は減らした。出るぞ!後ろから襲え!」

「「「オオオオオオッッッ!」」」

ガルディオの騎士達は地上に出た。

「あの最後尾のやつだ。あれを狙え!」

「「「オオオオオオッッッ!!」」」

騎士達は槍を投げた。地面に衝突し、爆発した。土煙の中を進み、敵の銃弾を避けつつ戦車に迫る。

「喰らえェェェッッ!」

一人の触角爆槍がオルディネイト最後尾の戦車に突き刺さった。


ドォォォォン


「最後尾がやられた。どうするセデル」

「我々戦車大隊はこのまま進む。作戦は敵の殲滅だ。ちょこまかと動く鼠は歩兵隊に始末させろ」



「粉塵を確認。やってくれたようです、エンテラル班長」

双眼望遠鏡を覗いた騎士が報告した。

「総員、パワードスーツと触角爆槍の用意はいいか」

「「「オオオオオオッッッ!!」」」

「ここにいる我々32人が最後のガルディオの騎士だ。私は一度挫折し、騎士になる夢を諦めた。しかし私は今ここにいる。あの時の私に足りなかったのは覚悟だ。君達に覚悟があるか!」

「「「オオオオオオッッッ!」」」

「我々の任務はこの戦いで命を散らすことではない。今日まで紡がれてきたガルディオの歴史を未来へ繋ぐことだ。その為にはここにいる全員が一人として欠けてはならない!武器を取れ!ここにある全ての触角爆槍を命中させられれば敵の戦車大隊など壊滅させることが出来る!今一度問う!君達に覚悟はあるか!」

「「「オオオオオオッッッ!!!」」」

「作戦開始!」

騎士達が飛び上がった。そして上空から触角爆槍を戦車目掛けて投げつける。


ドォォォォン!ドォォォォン!



「セデル、敵の攻撃が始まったぞ」

「怯むな!撃ち返せ!反撃開始だ!」

――――――――――――――――――――

ティナは目を覚ました。

ここは…ああ、敵の攻撃で。

ティナは体を起こし、辺りを見回した。

地面が抉られ、巨大なクレーターが形成されていた。海からは段々と塩水が流れ込んできていた。

私だけ…五体満足…。

「誰か!誰か他に生存者は!?」

ティナは叫んだ。

「誰か…誰か…」

ティナは地面に拳を打ちつけた。拳に雫が一つ落ちた。

ティナは土を掴んだ。そして立ち上がった。

日が少し動いたか。急がないと。

――――――――――――――――――――

「勝ったぞッッ!」

「「「ウオオオオオオオオォォォッッ!!」」」

「長かった。これでようやく…」

「生き残ったのは何人だ?」

「む、な、や…28人か」

「減っちまったなぁ」

「まずは生き残ってよかった、だろ」

「でも、リーダーの姿が!」

「大丈夫。彼の演説を聞いただろ。あの人は必ず生きている。今から探せば間に合うはずだ」

「そうね」


ドォォン


オルディネイトの騎士達が勝鬨を上げている時だった。突然手榴弾が投げ込まれ、爆発した。

「お、おい、目を覚ませ!」

「まだ残っていやがったのか!」

「どっからだ?」

「探せ!」

「ここよ」

荒野の中、パワードスーツを着た一人の少女が陽を背にして立っていた。

「ガルディオ第38619期生、ティナ・イ・オディオ。これより敵を殲滅する」

ティナは地面を蹴った。

ブレードで、立ち尽くす騎士達の腹を切り裂いていった。

「殺せ!」

「「「ウオオオオオオオオッッッ!!」」」

光線銃を避けつつ、ティナもブラスターで反撃した。

怒りに包まれたティナの前に、敵う者などいなかった。

ティナは一人一人を一撃で殺していった。


「これは…一体…?」

セデルが戻った時には、荒野には肉塊が散乱していた。

「待っていたわ、セデル・ユスティーツァ」

目の先に、一人の少女が立ち尽くしていた。

「ティナ・イ・オディオ!」

セデルは剣を抜いた。

「お前を殺す!仲間の無念を晴らす!」

「裏切り者は、オルディネイトは排除する」

互いの刃がぶつかり合う。どちらかが引き、斬り直しても、もう一方は必ず受け止めた。

力は共に拮抗していた。

「どうして仲間を殺した!」

「それはこっちの台詞よ。戦う必要は無かった!」

「そんなこと言って、体勢が整ったら攻めてくるつもりだったのだろう!その前に不安の種は潰す必要があったんだ!」

「アンタは何も分かっていない。ガルディオの事も、私の事も」

「黙れ!」

セデルは剣を振り下ろした。ティナは顔の前で受け止めた。

「ガァアアァァッッ!」

セデルは剣先に体重を乗せた。

「クッ…!」

ティナはしゃがんだ。剣先はセデルの腹を裂いた。

突然抜けた力によって、セデルの剣は振り下ろされた。剣先はティナの肩を裂いた。

二人は互いに反対方向を向きながら前のめりに倒れた。


ドンッ


激しい衝撃音が響き、土煙が巻き上がる。

「アブドを追ってに先回りして来たが、血肉のいい匂いだ」

男は深く息を吸い込んだ。

ティナが目を開いた。男の姿が目に入った。

「おや?まだ生きているのか。君、アブド・デ・へルートを見なかったか?」

「アブ…ド…?それより、アンタは?」

「ああすまない。俺はドミナード。どうしてもアブドに用があってね、知っているならば教えてもらいたいのだが」

ティナは立ち上り、剣を構えた。

「アブド…に、何の用ッ!」

「なるほど。そういうことか。それなら」


グシャッ


「ギャァ!」

地面から四匹の龍が現れ、ティナの四肢を咥え込んだ。


ドンッ


再び衝撃音が響き、土煙が巻き上がった。

「ティナを放せ。この化け物」

「おやおや、思っていたよりも早く会えたね。アブド…いや、ドラゴゲネシス」

アブドは森羅光封剣を構えた。地面を蹴り、ティナを押さえる龍に斬りかかる。

「無意味なことを」

その途端、アブドの両脚も別の龍に咥え込まれて引っ張られ、倒れたアブドは地面を引きずられた。

ティナとの距離が離れる。

「がぁぁぁぁぁ!」

龍が止まり、アブドを固定する。

アブドは顔を上げた。擦り切れ、傷から白い血が垂れていた。

「アブド!」

ティナは叫んだ。

「ティナ…!」

伸ばそうとした右腕も、別の龍に押さえられてしまった。

「ガァァァアアッ!」

「ドラゴゲネシス。そこで真の絶望を味わえ。そして俺のもとへ来い」

ティナを押さえていた龍達が、互いに反対方向に動き出す。

「い…いやぁぁ…」

ティナが両側へ引っ張られる。ティナの体の中心に力が掛かる。

「アブド…助けて…」

ティナの顔が苦痛に歪む。

「ティナ…!ティナ…!」


ミシ、ミシミシ


「あ…あぁぁ…」


ブチブチブチブチ、ブシャッ


ティナは二つに裂けてしまった。

「ティナ!ティナ!ティナァァァァァァッッッ!!アアアァァァァッッッ!!!」

「ハハハハハ、いい顔だぞ、アブド!」

龍が動き、アブドはデトルートの前で固定される。

アブドは項垂れたまま、何もできなかった。

「ティナ…ティナ…」

「いただきます」

デトルートが口を開いた瞬間、アブドの手に握られていた森羅光封剣が光輝いた。

そしてアブドと共に、光の速さで飛び去っていった。

「そんな…もう少しだったのに…。何故だ!」

デトルートの怒りによって生み出された龍達は、ティナの肉体を食い荒らした。残ったのは、原型も留めない見るも無惨な肉と骨の塊だった。

「まぁいい。次の手を考えよう」

「はい。ドミナード様。…おや?」

デトルートはセデルを発見した。

「君は、セデル・ユスティーツァか。タルタニッドから聞いていたよ。オルディネイトの騎士長」

「お前は…ダレだ…。ガハッ、ヘイワを…乱す者か…?」

セデルは白い血を吐いた。

「いいことを思いついた。よし、お前にしよう」

一匹の龍が地中からセデルの腹を貫いた。セデルはそのままデトルートの頭上で静止した。

「お前に俺の力を分けてやる。耐えられるかはお前次第だがな」

龍の口がセデルの口に触れる。

龍が抜け、セデルの体が落下する。そして痙攣を始めた。

「あ…あァアあッ…グァァアアアアッッッ!!」


バーーーーーン


セデルは爆発した。セデルの肉体は漆黒に染まっていた。

「おめでとう、セデル。いや、君は今日からクビラだ」

「は。デトルート様」

「…何を見ている?見せ物ではないのだぞ?」

岩陰から、一人の女性が姿を現した。そしてその場に平伏した。

「ようやく…ようやくお目にかかることができましたわ。ドラゴギヴィル様!私めはヴィリーノ・デ・クレダントでございます。あなた様にお会いすることだけが生きる目的でございました」

「ほう」

龍がヴィリーノをデトルートの前に引き寄せた。

「言え。お前の望みを」

「あなた様は全てを破壊するのでしょう?この退屈な宇宙の全てを。面白いではありませんか。そして新たな世界を作り直して、私は神になりたいのです。それがアカシックレコードを求めた本当の理由」

「強欲な女だ。気に入った。最後はお前だ」

デトルートの唇がヴィリーノの唇に触れた。ヴィリーノの体がみるみる黒く染まっていった。

デトルートが唇を離した。

「お前の名前はアンディラだ」

「ありがたき…幸せにございます」

デトルートはアンディラを投げ捨てた。

「集結せよ」

デトルートがそう言うと、彼を囲うように十二人の大将が片膝をついて集まった。

「君達は今から、裏十二神将だ」

「「「は」」」

「最初の命令だ。ドラゴゲネシスを捕まえろ」

この話はフィクションです。実在する個人、団体、出来事などとは一切関係ありません。

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