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【完結】アカシックレコード  作者: 白黒羊
第伍章 宇宙大戦篇 Part2

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EP37 自由と平等の衝突

男は大きなコクレアを平らげた。

「ご馳走様」

「最後の晩餐のお味はいかがだったかな?」

「不吉なことを言うのはよせ。最高の晩餐だ」

――――――――――――――――――――

「これが作戦の概要でございます。我が王」

「なるほど。ふむ。ん、これは?」

アレク王は作戦の最後を指差した。

「はい。是非とも軍団の先頭に立ち、勝利宣言をして頂きたいのです」

「素晴らしい!流石ユスティーツァだ。これでいこう」

「は。お褒めにあずかり光栄でございます」


アレク王は透明の保護ケースから一本の剣を取り出した。

「ついにこの剣を振るう時が来たか。王家に伝わるこの森羅光封剣(オールハトゥーム)で刃向かう奴らは皆殺しにしてくれようぞ」

――――――――――――――――――――

惑星サントデラントに建国されたリベルタ共和国。そこでメレッド統領のキプルス・タルタニッドによる演説が行われていた。

「リベルタ国民の諸君、そして、自由の為に命をかけるメレッドの同志達。聞いて欲しい。今我々は、最後にして最大の佳境に立たされている。先日発足したオルディネイトは、まもなく我らに牙を向くだろう。しかし、恐れることはない。自由の為に命を賭して戦う我らに敵は無い!今こそ決戦の時だ!全勢力をもってして、我らの障害を殲滅せよ!この戦いに勝ち、我々は真の自由を獲得するのだ!」

「「「おおお!!!」」」

――――――――――――――――――――

オーバーワールド内、サントデラント付近。

「まもなく作戦を開始する。まずは立ち塞がる宇宙船を破壊、着陸後は首都マラデの陥落を目指す。陥落後は次に人口の多い西の地域に進軍。確認した通りに動け」

『『『了解』』』

――――――――――――――――――――

サントデラントでの戦闘が始まった。宇宙空間での戦闘を断念していたリベルタ側は、あっさりとオルディネイトに防衛戦を突破された。



「見えたぞ!敵機だ!撃ち落とせ!」

マラデは完全に武装され、要塞都市と化していた。三方を壁で囲み、北は急斜面の山々が連なっていた。

レーザー砲でオルディネイトの戦闘機を迎え撃つ。

男はレンズに息を吹きかけ、サングラスをかけ直した。

最終決戦という文字が、脳裏に浮かんだ。

「一機落としたよ〜、メニコット」

「よし。そのまま撃ち続けろ」



『パクチュがやられました!』

「ああ。決して許すな。一気に方をつけるぞ。ミサイル投下!」

40の戦闘機からミサイルが放たれる。



ミサイル警報が鳴り響く。

「総員撤退!訓練通り地下に逃げろ!」

あとは上手く撃ち落とせるか…か。

迎撃弾が発射されるのを見届けると、メニコットも地下に逃れた。

双方のミサイルは、マラデ上空で衝突し爆発した。



迎撃ミサイルだと…!?なるほど。敵もかなりの戦力があるらしい。

「体勢を立て直す。マラデ上陸は断念し東西に分かれて包囲する。プラン一六開始だ」

『『『了解』』』

セデルは東に航路をとった。



マラデ南東の都市、ダモン。

「焼夷弾隊。爆撃開始!」

『『『了解』』』

この都市は、一瞬で火の海と化した。

北には山脈がある。ここはいいか。

「降りるぞ。宇宙空間のトランスポーターに通達。場所を確保した。行動を開始せよ」

トランスポーターのハッチが開き、戦車大隊が現れる。

戦車は周囲の家屋や施設を破壊しながらマラデを目指した。



「騎士長、マラデの壁が見えてきました」

「どこかに門があるはずだ。そこを集中砲火で狙う。まずは門を探せ」

「了解」


ドォォォォン


突如、先行する戦車が吹き飛んだ。吹き上がった土が柱状に巻き上げられた。


ドォォォォン、ドォォォォン


土の柱が次々に上がっていく。

「地雷か…!」



『地雷の起爆を確認。地上チーム、行動開始』

「いけ!みんなでぶっ殺せ!」

「おおおおおおッッッ!!」

右往左往するオルディネイトの戦車隊の背後から、メレッドの兵士が奇襲をかける。

戦車にロケットランチャーを発射する者、手榴弾を投げつける者、ライフルで急所を狙う者、数の差は圧倒的であった。

地雷の位置を完全に把握しているメレッドの兵士たちは、徐々にオルディネイトを壁へと追い詰める。



戦車側も、搭載された砲台で負けじと応戦する。

「何よりもまず門を見つけろ。見つけ次第、スーツで突っ込む」

『騎士長、見つけました!320メートル先です!』

「了解した。総員戦車を捨てろ。対人戦用意だ」

『『『了解』』』

先頭が門を破壊する。その直後、その戦車は爆発した。

しかし爆風を避けながら、飛行する騎士達はマラデ内に侵入した。



「まずい、奴らに入られた。急げ急げ!大丈夫だ。壁付近にも兵士は待機している。そこで追い詰めるぞ!」

「おおおおおおおッッッ!!」



壁付近で待機していた兵士達。

「来たぞ!発砲開始!」

彼らはオルディネイトを迎え撃つも、騎士達は数々の修羅場を潜り抜けてきた歴戦の猛者である。

弾道の間をすり抜けながら飛び、目にも止まらぬ速さでメレッドの兵士を殺していった。

「ここは片付いた。中央を目指すぞ」

「「「了解」」」

騎士達の足下には、数多くの骸が倒れていた。



メニコットは骸を見つめていた。

「一足遅かったか。友よ、すまない。全軍、全速前進だ!この無念を忘れるなッッ!」

「おおおおおおッッッ!!」



「第一、第二防衛線が突破されました。非戦闘員は緊急退避。繰り返します。第一、第二防衛線が突破されました。非戦闘員は緊急退避」

マラデ内部で警報が鳴り響いていた。

「あの建物だ。やれ」

「「「はっ」」」

騎士らは高層の建物に次々とロケット砲を撃ち込む。

破壊された建物は崩れ落ちていった。



「そんな…ビルが…」

「メニコット、見えたよ。あそこを飛んでる」

「ああ。発砲開始!奴らを撃ち落とせ!」



追いつかれたか。だがあらかた高層の建物は破壊した。これで爆撃の際に撃ち返されることも減った。

「このまま北を目指すぞ。山の合間をぬって敵を撒く」

「「「了解」」」

「爆撃隊、オールグリーン」

ん?爆撃隊…?



「あいつら、どこ行く気だ?どうして北に進んでいる?」

北。この先は山脈だぞ。まさか、山で撒く気か。

「急げ!このままだと逃げられるぞ!」

『了解。敵を捕捉したわ。攻撃を開始する』

この声は!

メニコットは小窓から空を見上げた。

そこには艦隊が君臨していた。

『敵は小物よ。腕のある者から先に高度を下げて』

『了解。クレダント隊長』

やっぱり、ヴィリーノだ!



爆撃隊が応答しない。

「騎士長!あれを!敵の艦隊です!」

何!?どこからそんなものが。…ッ!爆撃隊はやられたのか!?アイツらに!?

敵艦隊からの集中砲火に、騎士達はやられていく。

「敵はまだ正確には狙えない。散らばれ!何としてでも生き残るんだ!」

俺達は!負ける訳にはいかないんだ!

荒野の中に、小さな民家の群を見つけた。

「あそこだ。あそこに逃げるぞ」

「「「了解」」」

騎士達は住民を殺し、家々を占拠した。

「はぁ、はぁ、はぁ。爆撃隊がやられるとは」

「どうします、騎士長」

「ここもいつ見つかるか…」

「死体は外にないな?奴らも気付かぬうちは仲間の家を破壊したりはしないだろう」

「不意打ち…ですか」



「敵はどこに行った?」

『悪いわね、こっちも土煙で見失ったわ』

「メニコット。居住区が見えてきたよ」

「よし、敵の行方を尋ねよう」


コンコンコン


メレッドの兵士が家の戸を叩く。

「メレッド兵だ。開けてくれ。敵の行方を知りたい」

扉が開いた。しかし人が出てこない。

「入るぞ?」

兵士が家の中に足を踏み入れた途端、何者かに手を引かれた。扉が閉まる。

「俺達はここだ」

セデルは兵士を殺した。



「出てこないですね」

「そうか。敵はあの家の中だ。突入するぞ。武器を用意しろ」

『『『了解』』』


『準備完了です』

「よし。突入!」

兵士達が、扉を蹴破り家の中へと入っていく。


ババババババババ


すぐさま発砲する。だが、敵の姿が見えない。

「どこに行った」

「見ろ!天井だ!」


パン!パン!


天井に張り付いていた騎士に射殺される。

騎士達が飛び出す。

「飛行部隊。もういい。家を破壊しろ」

『了解』

ヴィリーノら飛行部隊はレーザー光線で家々を破壊していった。

「メニコット!後ろ!」

メニコットは突き飛ばされた。

メニコットを庇った仲間はセデルに斬られて死んだ。

「許さねぇ」


パン!パン!


メニコットの放った弾はセデルの両足に命中した。

セデルは落下する。

「覚悟!」

メニコットは剣を抜き、セデルに斬りかかる。

セデルもブレードでそれを受け止める。そしてメニコットを弾く。

「よく見たらお前、オルディネイトのトップじゃねぇか!」

再び斬りかかる。

セデルは飛ぼうとするもスーツが故障して出来ない。

二人の刃が擦れる。

「お前を殺して、この戦いに勝利する!」

メニコットがセデルの腹を蹴る。

セデルが後ろに倒れる。

「オルディネイト騎士長がそう容易くやられてなるか!」

すぐさま起き上がり、メニコットに斬りかかる。

「俺はタルタニッドの最高傑作だ。舐めてんじゃねーぞ!」

「タルタニッド…!?」

メニコットの太刀筋を受け止めたものの、一瞬の気の緩みの隙に顔面を殴られる。

セデルは倒れた。立ち上がろうとするも、ふらついて倒れてしまう。

「メレッドの勝利だ」

メニコットが剣を振り上げたその瞬間、メレッドの戦車が爆発した。

『メニコット、すまないわね』

空を見上げると、飛行部隊より多くの船がそこにはあった。

「そんな」

メニコットは飛行部隊が撃沈されていく様子を目にした。

「メニコット!前を見ろ!」

北から、何かが向かってきていた。



「ハハハハハハハ、我が騎士達よ、この私に続け!敵を殲滅するぞ!」

「「「おおおおおおおおッッッ!!」」」

スピーダーに乗ったアレク王と騎士達が、メレッドの軍勢に突撃する。

「私の障壁となる忌まわしき者どもよ、我が剣の前に朽ち果てるがいい!」

アレク王は剣を抜いた。スピーダーで進みながら、メレッドの兵士に剣を振り下ろす。

「ユスティーツァ!」

アレク王は倒れたセデルを発見した。

「わ…我が王!」

「なんでこうなる…!俺は自由になりたいだけなのに!」

メニコットがアレク王目掛けて剣を振り上げて駆け出す。


ズシャッ


剣先は腹から頭頂へと進み、メニコットを裂いた。

メニコットは崩れ落ちた。

「そ…そんな…俺は…自由に…なりたかった…だけなのに…」

メニコットは倒れた。

彼のサングラスはブリッジが割れ、転がり落ちた。


「セデル、友よ、立てるか?」

アレク王はセデルに手を差し伸べた。

「は、はい!光栄です。我が王!」

セデルはその手をしっかりと掴み、起き上がった。

「皆の者聞くが良い!」

アレク王は剣を握った右手を空に突き上げた。

「遂に私は自らの手によって己の障壁を打破した!私こそがこの宇宙を統べる王、アレクだ!」

「「「おおおおおおおおッッッ!!!」」」

――――――――――――――――――――

「突入!」

その後、宇宙全域に散らばるメレッドの残党達は、宇宙警察によって一斉に検挙、逮捕された。

シュリンターによるガルディオ襲撃から、メレッドの結成、リベルタの建国、メレッドによるシェニー・アグリアの発生、そしてサントデラントでの決戦までを、僅かの間だが人はこう呼んだ。

宇宙全域での暴動と鎮圧の争い、宇宙大戦と。

――――――――――――――――――――

「どうなっている!?何故王のもとにガルディオの騎士が集まっているというのだ!」

「遂に我らに反旗を翻したということか」

「ご安心下さい皆様」

「何を言っているタルタニッド」

「既に新しい、いや、真の王がいらっしゃいます」

「ここにか?」

「ええ。お入り下さい」

扉が開き、デトルートが姿を現す。

その瞬間、タルタニッド以外の11人は体を刻まれて死んだ。

「今までご苦労であった、タルタニッド。よく私の命令に忠実に従ってくれた」

「お褒め預かり光栄でございます」

「だが、どこを探してもアカシックレコードは見つからなかった。タルタニッド。お前が提示した星々の中にな」

タルタニッドは這いつくばった。

「も、申し訳ございません。今後はそのような失態は犯さぬよう…」

「今後とな?何を言う、最後まで生かしてもらえたことに感謝するがいい」


ブシャッ


タルタニッドは全身から血を噴き出して死んだ。

「長かった。戻ってくるのに、とてつもない時間を要した。だが私は戻ってきたのだ。今度こそ必ず、全てを奪ってやる」

第伍章 宇宙大戦篇 Part2 完


この話はフィクションです。実在する個人、団体、出来事などとは一切関係ありません。

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