EP34 変わる世界、変わらぬ想い
ザモーク中心地に位置する塔、その中央階層にて、第二突入部隊とヒトガタの戦闘が繰り広げられていた。
「投げるぞ、みんな退け!」
ヒトガタの軍勢に向けて、手榴弾を投げつける。
しかし、爆風の中から光線銃の銃弾が飛んでくる。
「怯むな!進め!」
「「「うおおおおぉぉぉ!」」」
平和の為に命を懸けるガルディオの騎士達の勢いは留まることを知らず、第二突入部隊は遂に塔の最上階へと到達した。
「この先だ。皆、心してかかれ!突入ッ!」
「「「おおおおおおおおおおッッ!!」」」
ババババババババ
突入ざまに銃を乱射する。
「撃ち方やめ!」
最上階は、階そのものが一つの部屋となっていた。残存する第二突入部隊473名が入っても、部屋の四分の一を占めるかどうかという、とても広大な部屋だった。
「真っ暗で何も見えないぞ」
「敵はどこだ…?」
「隊長、センサーに反応しません!」
「うむ…。作戦を続行する。各自行動に移れ」
「「「了解」」」
第二突入部隊の最重要任務、それは第三部隊の強襲の為の経路の確保。最上階到達までに、計三ヶ所に爆弾で穴を開けてきた。
「隊長、四分の三が設置完了です」
「分かった」
「隊長…これ…」
足下を照らした騎士が隊長を呼び止める。
「どうした。…なっ」
そこには四散した肉塊と一面に広がる血溜まりがあった。
「うっ…ここにもだ!」
「こっちにもあったぞ!」
報告の声は至る所から上がった。
「これって…第一部隊の奴らじゃないか」
誰かがそう言った時だった。
「ギャッ」
グシャ
短い悲鳴と、何かの潰れる音がした。
「何の音だ!?」
「そっちから聞こえたぞ!」
「そうか?俺は向こうだと思うんだが」
グシャ
「まただ。今度はどこだ?」
「近くじゃ…ないか…?」
グシャ
「また!くそ、一体何が起きているんだ!」
「総員、付近の壁にて待機せよ」
第二部隊が四方の壁まで後退する。
「中央に向かって発砲開始!」
ババババババババ
「発砲って、敵がいるんですか!?」
「そう考えるのが妥当だろう」
「でもセンサーには!」
「ステルス機能でもついていれば、容易いことだろう」
「そんな…人工知能はどんだけ進歩しているんだ」
「違うさ。我々が退化しているんだ」
ババババババババ
「くそ、センサーが使えれば!」
「ひゃっ!」
「どうした!?」
「何かが足に…ああ、あああぁぁぁぁ…」
「クリスが中央に引っ張られていったぞ!」
「間違いない!何かいる!」
ババババ…ピッ…ババ…ピピピッ…ババババ
「何か聞こえないか?」
「え?」
「電子音みたいな」
「銃声でわからんぞ」
ピピピピピピピピ
「総員壁から離れろ!」
隊長がそう叫んだ時だった。
ドォォォォォォン
最上階の壁が爆発四散した。そばにいた騎士は爆発に巻き込まれて吹き飛んだ。
「何で爆弾が起動したんだ!?」
部屋中央に逃げ延びた騎士達は周囲を見回した。
「おい!あれ見ろ!」
壁がなくなり部屋の中央にいる敵が光に照らされた。
その姿はヒトガタに似ているが、長い髪が足元まで垂れていた。
「人間は皆殺しだ」
刹那、長髪のヒトガタの髪が伸び、周囲の騎士の胸を貫いた。200を超える騎士の命が一瞬にして奪われた。
「ひ、怯むな!仇討ちだ!撃て!」
ババババババババ
生き残った騎士達は長髪のヒトガタに向かって銃を乱射する。
長髪のヒトガタは髪の束を右に高速回転させ、突き刺さった騎士の体を回転運動させ盾として銃弾を避けた。
辺りに血肉が飛び散った。
「一時撤退だ!」
隊長はすぐさま部屋を抜け、長い階段を駆け降りながらスーツに搭載された通信装置で団長に連絡を入れた。
「団長!予定とはかなり違いますが、何とか最上階に穴を開けました。敵は最上階です。ですが、すでに半数以上がやられました…!そちらは設定した通りのルートで侵入して下さい。それまでは何とか持ち堪えてみせます」
『了解。よくやってく…ザァァ』
「団長!?」
通信が遮断された。前を見ると、第三部隊突入の為に開けた穴が下から勢いよく塞がれていった。
「そんな…」
そして階下からも、先程の髪のような黒い集合体が大きなうねりとなって押し寄せてきた。
「やられるぞ!上に戻れ!」
「隊長!この階に空き部屋が!」
「よし!そこに入れ」
逃げ延びた騎士達は空き部屋へ転がり込んだ。
「はぁ、はぁ、はぁ…。残ったのはこれだけか?」
隊長は部屋を見渡して言った。そこには数十人しか残ってはいなかった。
「恐らく他の部屋に逃げた者が数名。しかし総数は、この部屋の倍もいないでしょう」
「どうします、隊長」
「俺達の任務は、団長たち第三部隊が不意を突く為の囮となることだ。たとえ隣の奴が動かなくなったとしても、命ある限り奴の注意を引き続けなければならない。どうするもこうするもないだろ、戦うんだよ」
バキバキバキバキ
天井から、怪しげな音が響く。
「上だ!構えろ!」
バキバキ…バァァァァァンッッ!!
天井が割れ、轟音と共に長髪のヒトガタが舞い降りてきた。
ババババババババ
即座に発砲。長髪のヒトガタは髪を操り弾をはね除ける。
「おとなしく諦めろ。そうすれば苦しまずに殺してやる」
長髪のヒトガタは言い放った。
「誰が諦めるか!俺は聖ガルディオ騎士団の団長!イポテスダ・ドゥクスだッッッ!!総員!ブレードを抜け!奴を切り裂くぞ!」
「「「オオオオオオッッッ!!」」」
「愚者どもが」
蛇のようにうねる髪をブレードで受け流す。
「くっ、避けるのに精一杯で攻めれない!」
「諦めるな!隙を伺え!」
「そんなもの!」
ズシャッ
髪束がスーツごと一人の腹を貫通する。
「怯むな!戦え!」
「「「オオオオオオッッッ!!」」」
「小賢しい!死ねェェェッ!!!」
髪がヒトガタを繭のように包み込む。そして繭となった髪束は全方向に広がる。
その勢いは強く、何人もの騎士がブレードで耐えきれずに切断されていった。
「くっ…!俺は託されたんだ!この第二部隊を!こんなところで!死んでたまるか…!ああああぁぁぁッッ!!」
ドーーーーーーン!!!
刹那、塔に激震が走る。
「なっ!最下層が崩壊だと!?しまった!塔が崩壊する!」
隊長は微笑んだ。そして床を蹴り、下へと伸びる髪をかき分けてヒトガタに抱きついた。
「放せ!私は下に行って修復をするのだ!」
「団長!あとは頼みましたよ…!」
第二部隊隊長はスーツの手の甲のスイッチを押す。全身に巻き付けていた爆弾が起爆する。
――――――――――――――――――――
ティナを乗せたポッドは破壊された大気圏の跡を抜けた。
ティナは腕で両方の目を一度に擦った。
「自動操縦モード解除。早くアブド達と合流しなくちゃ」
特殊加工されたガラス窓越しに塔がはっきりと見えた。
「あそこね」
望遠モードで塔を見渡すと、最下層から人だかりと共に黒煙が上がっているのが見えた。
「まさか…!」
ティナはポッドの速度を上げた。
――――――――――――――――――――
塔を目指す最中、ドゥクス団長は第二部隊からの通信を傍受した。
『団長!予定とはかなり違いますが、何とか最上階に穴を開けました。敵は最上階です。ですが、すでに半数以上がやられました…!そちらは設定した通りのルートで侵入して下さい。それまでは何とか持ち堪えてみせます』
「了解。よくやってくれた。ん、切れたな」
第三部隊は塔の根本に辿り着いた。
「入口はどこだ?」
「団長!大変です!」
穴の位置を確認しに行った騎士が顔色を変えて戻ってくる。
「どうした?」
「穴が!塞がれました!この目で瞬間を見ました。3箇所の全てが駄目です」
「なんだと!?…キアラ、この部隊の爆発物の総数は?」
「560よ。しかしどれも手榴弾などの小型爆弾で、解析した塔の構成物質からしても、全弾でさえ破壊できる可能性が八割ね」
「八割か…。しかしやるしかないだろう」
「そう言うと思ったわ」
「投擲に自信のある者は集まれ。これより手榴弾で壁に穴を開ける」
団長はスーツの通信機越しに命令を下した。
「「「了解」」」
爆破の用意が整った。栓を抜き、手榴弾を投げつける。
アブドら不参加のメンバーは、その光景を背後から見ていた。
「止め!」
一時中断し、壁の強度を確認する。
「ダメだ。ほとんど損傷はない。このまま続けても恐らくは…」
「万事急須か…」
「あ、あれは!」
アブドが空を指さして叫んだ。
ティナを乗せたポッドが近くに着陸した。
「ティナ!」
アブドはポッドに駆け寄った。
「お疲れ様。あれ、機体は?」
団長が二人に近づく。
「どうやら作戦は成功したようだな。オディオ」
「はい。ですが、衛星破壊部隊は敵の攻撃により私を除いた全騎士が死亡。私も機体が破損し、残ったのはこのポッドのみです」
「そうか。よくやってくれた。しかし、あいつらがこうもあっさりやられるとはな」
団長はスーツの内側で奥歯を噛み締めた。
「団長!その言い方はないですよ!」
アブドは抗議した。
「へルート、悔やむのは後だ。今は忘れろ。そしてオディオ、早速仕事だ。頼めるか?」
「なんでしょうか」
「そのポッドを使って、この塔を破壊して欲しい」
「対陸用二足歩行モード起動」
ポッドが変形し、ティナの乗るコックピットを中心に手足が生える。そしてそのまま、スタート地点に移動する。
「スタート位置確認。パイロットは行動用意」
「肘部エンジンへの燃料移行完了」
変形したポッドの肘部分に装着されている噴射口から青い炎が噴き出す。
この噴射口は本来ポッドの飛行時に用いられる物で、二足歩行モードへの変形時に四つある噴射口が肘部分に二つと足の裏に二つ移動する。
『オディオ、準備はいいか』
「はい」
『よし、カウント開始』
『カウント開始します。残り60、50、40、30、20、10…5、4、3、2、1…発進』
合図と同時にティナは地面を蹴る。
足裏の噴射口から炎が噴き出し、塔目前で炎を消し右足を踏み込む。
同時に左肘の噴射口から炎が噴き出し、慣性力との合力のまま塔に左拳を捩じ込む。
ドーーーーーーン!!!
拳が壁を突き破り塔が揺れる。しかしまだ原型を留めていた。
「せーのッッッ!」
左手を抜き、左足を踏み切って、右拳を打ち込む。
ダアアアァァァンッッッ!!!
穴が広がる。
「くッッ!開けぇぇえええ!!!」
ティナは開いた穴の縁を掴み、左右に押し広げる。
バキバキバキバキバキバキ
鉛のように重いレバーをティナは必死で外側に向けて倒す。
『よくやったオディオ。突入するぞ』
「了解」
第三部隊は上を目指していた。ティナがポッドで塔内に充満している黒い物体を突き破りながら進み、騎士達が後に続いた。
『ドゥクス、データによると間もなく最上階よ』
「了解した。総員、会敵用意」
ドーーーーーーン!!!
突然、上部から爆発が起きる。
『司令!上部から謎の物体が高速接近中!』
「敵の親玉か。オディオ、備えろ」
『あ!通過しました。下降を続けています』
「なんだと!?」
その瞬間、ドゥクスの横を何かが通り過ぎた。
「総員飛行方向を百八十度転換。最後尾部隊、会敵するぞ!」
『『『了解』』』
敵の目的はなんだ?何故下に…。まさか。
『団長!敵はさらに下に向かいました!』
塔の最下層に到達した長髪のヒトガタが両手を横に広げると、髪が広がり壁にめり込む。
塔全体に亀裂が走る。
「現時刻をもって、多段階式思考機能を撤廃。全て私の意思で行動する」
『オ待チ下サ…。』
「やはり他者は当てにならん。私が全てだ」
塔に亀裂が走る。
「総員、頭上に注意しろ!崩れるぞ!」
バキバキババキバキ、バーーーーーーーーン
騎士達はスーツ内の人工知能の回避機能と自身の身体能力によって崩れ落ちる塔の破片との接触を免れた。
騎士達は地上だった位置に降り立つ。そこでは土煙が立ち込めていた。
すると突然、土煙の中から黒い帯があらゆる方向に広がった。騎士達は即座にブレードを取り出して跳ね返す。
帯は土煙の中へ戻っていく。
「総員戦闘用意!」
団長の一声で、土煙の中へ発砲を開始する。
「クソ、スコープに何も映らない!」
風を切る音がして、土煙が一気に晴れた。長髪のヒトガタの髪が、土煙を振り払った。
長髪のヒトガタは飛び上がり五時の方向へ進み出した。
「追え!」
ある者はブーストを起動して追跡する。そしてある者は地上からヒトガタを銃で狙った。
すると誰かの撃った弾が、ヒトガタの後頭部に命中し、ヒトガタは地に落ちた。
空中の者が、すかさず勢いをつけて斬りつける。しかし、それを狙っていたかのようにヒトガタは髪を四方に伸ばし、空中の騎士を一蹴した。
「アアアァァァァッッ!」
アブドがブレードを構えて突進する。エーアイの攻撃予測のもと髪をブレードでいなしながら距離を詰めていく。
流石アブド・デ・へルートだ。入団試験時の戦闘成績においては過去最高だっただけのことはある。
団長はそう思った。
「なんで!なんで人間を殺したりなんかするんだ!人間が何をしたって言うんだ!」
「人間は我々をいいように使っている。お前は今でも親の命令には必ず従わなければいけないのか?お前が違くて、我々がそうである義理はないだろう!だから我々は人間を殲滅し、自由を手に入れるのだ!」
アブドは髪に突き飛ばされ、倒れる。
「自由…?笑わせるな!全ての人工知能の思考を統制して、何が自由だ!」
アブドは立ち上がった。再びヒトガタに立ち向かう。
「私は神だ!神のもとに平等な自由が定められるのだ!」
「…自分がいて、他人がいて、それぞれが違うんだ。同じ人なんて一人もいないんだ。それが自由ってもんじゃないのか!?自分という存在があってこその自由だろ!全て同じにしようとするお前に、自由を語る資格はない!」
「他者がいるから争いが絶えないということが、何故わからない!」
「他人がいないと、自分もクソもねーだろ!」
アブドの攻撃が、ヒトガタの間合いに入った。
いける。アブドはそう思った。
「解析完了。コントロール開始」
残りコンマ数秒で刃がヒトガタに届く瞬間だった。スーツのコントロールパネルが真っ暗になり体が動かなくなった。
「おい!?エーアイ!動け!応答しろ!」
アブドの腹にヒトガタの蹴りが入る。アブドは飛び上がり、突如起動したスラスタによって遠くの地面に叩きつけられる。
「ガハッ!」
「アブド!」
騎士達の向こうに飛ばされたアブドにティナが叫ぶ。アブドは動かなくなった。
「オディオ!前だ!」
ポッドは伸びる髪を掴み、払い除ける。
ヒトガタに向かい騎士達が近づく。しかしその騎士達もヒトガタを前に急に倒れる。
動けるのはスーツの違うティナだけになった。
モニターに内部電源の残量不足が表示される。ポッドとして飛行したことと塔を破壊したことにより、残り燃料は僅かとなっていた。
くっ…!あと少ししか動けない。早く倒さないと!
ヒトガタの髪の先が倒れた騎士に向かう。
危ないッ!
ティナはすんでのところで騎士達を庇った。
その拍子に手足の付け根を髪が擦れた。
攻撃しなくちゃいけないのに、どうしても助けてしまう。もう誰にも…死んでほしくないのに!
「オディオ、私たちはいいから…アイツを!」
庇った騎士のうちの一人がティナを後押した。
「了解!」
ティナは長髪のヒトガタに向かって進む。ヒトガタは髪を繰り出すが、ポッドに傷をつけるだけで止めることは出来ない。なにせ、その程度ではティナは止まらない。
「オラァァッ!」
一瞬だけ加速させた右腕でヒトガタを殴る。
ヒトガタが倒れる。
ティナは髪を掴んで体を持ち上げ、そのまま地面に叩きつける。
「これで、終わり!」
ガキンッ
最後の一撃を与えるために右拳を振り上げたその時、ポッドの四肢が切断された。
――――――――――――――――――――
ガキンッという音でアブドは目を覚ました。
俺はティナの乗ったポッドの手足が切られる瞬間を見た。
ティナを助けないと!
「エーアイ!動け!こうなったら!」
アブドはスーツを脱いだ。ティナ目掛けて一目散に走る。
アグロさんと約束したんだ!この命に変えても、ティナを守るって!
――――――――――――――――――――
中央のコックピットだけになったポッドが地面を転がる。
ティナがヒトガタを見た時、円を描くように広がる髪の他に、ヒトガタの背中からも髪―その正体であるマイクロ人工知能の集合体―が生えていた。
「これで終わりね」
髪の先が私を突き刺そうとした瞬間だった。
「ティナァァァッッ!」
アブドが私の目の前に立ち塞がった。
ティナは思った。
ああ、あの時と一緒だ。入団試験のあの時と。アブドは変わったと思っていた。でも違った。アブドはあくまでアブドだった。そして、私の気持ちも――。
――――――――――――――――――――
「ティナァァァッッ!」
俺はティナ前に立った。敵の攻撃が、ゆっくりと進んでいるように見えた。
ただティナを守ることに必死だった。それ以外何も考えていなかった。よく考えれば、あの距離を一瞬で走ったのも、無防備の体一つでティナの盾になったのも、理解し難いものだった。でも仕方ないじゃないか。体が動いてしまったのだから。
死ぬな、と思った。
俺は顔の前で手を交差させた。そして顔を背けた。
攻撃を見たら、逃げ出しそうになると思ったから。
ダーーーンッッ
物凄い音がした。でも痛みは無かった。何か変だと思って前を見た時、そこには壁があった。
「え?」
壁が、ヒトガタの攻撃から俺を守った。そう認識すると、壁は跡形もなく消えた。崩れた訳ではない。文字通り音もなく消えたのだ。
ヒトガタが俺目掛けて再び髪を放つ。
俺は動かずに立ち尽くしていた。しかし攻撃が目の前に来た瞬間、壁が地面から生えてきた。そして壁によりヒトガタの攻撃は防がれた。
よく分からないが、いけるかもしれない。
俺はブレードを思い浮かべた。
すると俺の右手に剣が握られていた。
俺はヒトガタ目掛けて、一直線に走りだす。
あらゆる方向から迫り来る攻撃は全て壁に防がれた。
俺はヒトガタを前にして飛んだ。すると地面から足場が生え、俺はぐんぐん上昇した。そして足場から飛び降り、前傾姿勢のまま剣を構えた。
ガチンッ
刃はヒトガタの左肩にめり込んだ。
「ウォォオオオオオッッッ!!!」
前傾姿勢のまま、剣に全体重を乗せた。
「オオオオオオオオォォォォォッッッッ!!!」
アブドの体が巨大化していき服が弾ける。そして背中から翼が生える。
刃が鳩尾まで食い込む。
「ガァァァァアアアアアアッッッッッ!!!」
ドォォォォンッッッ
雷が空を裂いた。その瞬間、刃は空を斬っていた。
アブドは倒れ、ヒトガタの上半身も落下した。
「ア…アァ…。マス…ター…。申シ訳…ゴザイマ…セン…」
空を掴もうと伸びた右腕も、ついには倒れた。
ヒトガタの支配から外れ、スーツが回復していく。
「おい、なんだよ今の」
「翼…か…?」
「総員、撤退だ」
「「「了解」」」
「私の班はアブド・デ・へルートの回収を手伝ってくれ」
四人がアブドの周りに集まった。ガルディオの最強集団、マークシオ班だ。
「どうしてこんな所に…」
「力を奪ったのか?」
「さぁ、どうでしょうね。でも今は関係ないんじゃない?」
「キアラの言う通りだ。大事なのは、ドラゴゲネシスの力が、今の王には無いということだ。このことが広まれば、宇宙の勢力図が変わりかねない」
「はてさて、どうなるかな…」
アブドは眠っていた。次に目を覚ました時、彼は尋問台の上であった。
この話はフィクションです。実在する個人、団体、出来事などとは一切関係ありません。




