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【完結】アカシックレコード  作者: 白黒羊
第肆章 運命超動篇

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36/83

EP23 入団

「…勝った…のか…?」

声のした方を向くと、そこには足を引きずったリデルがいた。

「ああ、勝った。やったぞ。あいつを倒したんだ」

「「「「うわぁぁぁぁあああ!!」」」」

四人はその場で、膝立ちで身を寄せ合った。

『お疲れ様でした。これにて採用試験を終了します。係員の誘導に従って下さい』


ガシャン


扉が開く。

「こっちだ。ついて来い」

係員らしき男が一声掛けると、そそくさと歩き出してしまった。

「リデル、立てるか?」

「まぁ、何とかな。うわっ」

リデルが立ち上がろうとして崩れ落ちる。

「全然ダメじゃねえかよ。ほら、肩貸すから、いくぞ」

「ああ、ありがとう」

「ティナは大丈夫なのか?さっき動けなさそうだったけど」

「ちょっと、挫いちゃってね」

「私が肩貸すよ」

「ありがとう、シオン」

四人は歩き出した。

「アブドこそ大丈夫なの?」

ティナが話しかけてきた。

「確かに体のあちこちが痛いけど、とりあえずは平気だ」

「すまんな」

「気にすんなって」

「そう…。じゃあ、さっきの()()は何だったの?」

「あれ?」

「拳を消滅させて、私達を守ってくれたあの攻撃。あれは何だったの?」

「ああ、あれか」

「え?消滅?何々、どういうこと?」

「実は、俺もあの時何が起こったのか、さっぱり分かんないんだ」

そう、俺はあの拳を受け止めようとした。本当は両手の方が良かったけど、今みたく左腕が完全に動かなかった。だから右腕を突き出したんだ。

そしたら手が拳に触れる瞬間、その拳は消えていた。

「さぁ着いたぞ。そこの列の最後尾に並べ」

俺達は始めの場所に戻ってきた。だがさっきと違うのは、二つの列が出来ていることと、妙に俺達が注目されていることだった。確かに俺達以外に体中ボロボロの奴はいないが、どうなってるんだ?

「なぁ、これって俺達が弱すぎるってことでいいのか?」

リデルがボソボソと話しかけてくる。

「分かんないけど、だとしたら…」

「ああ、俺達はあまりにも劣っている」


「これより、第38689期ガルディオ入団式を始める。まずは団長の挨拶である」

号令とともに辺りが静まり、団長と呼ばれた男が二つの列の中心にある台の上に登る。

「まずは、採用試験お疲れ様。私はガルディオ団長のイポテスダ・ドゥクスだ。君達には明日から訓練兵として頑張ってもらいたい。訓令兵とて立派なガルディオの一員だ。くれぐれもその自覚を忘れないように。そして、それに関してもう一つ、言う事がある。中にはこの並び順に、18班の様子に疑問を持った者もいるだろう。実は、この列の違いは、受けた訓練の違いである」

そう言った後、団長は俺たちの事を見た。

「この列の諸君には、高難易度の試験を受けてもらった。特に最後尾の18班の彼らには、最高難易度、ガルディオの騎士達が鍛錬で使用するようなものであった」

団長は微笑んだ後、元の向きに直った。

「つまり、この列の分け方は、今後配属されるクラス別というわけである。ここまでで何か質問のある者は?」

俺達とは別の列の奴が手を挙げる。

「班によって受ける試験が違うなんて、納得いきません!俺だってそっちの奴らの試験を受けられれば、隣の列にいたはずです!」

「まぁ、その気持ちも分かる。確かに納得はいかないかもしれない。ただ、難易度を決めるのは君たちが戦ったロボット自身だ。君達を認識した瞬間に、スキャンを始めて難易度を設定する。辛い話だろうが、君はまだそのレベルの者だということだ。悔しいのなら、より一層鍛錬するしかない」

「そんな…」

「他に質問のある者は?」

場の空気は、完全に冷め切っていた。

「いないな。ではこれより宿舎へと案内する。誘導員の指示に従うように」

そう言い残し団長は台を後にした。

「ビーシュの諸君はこちらに」

誘導員の号令が聞こえた。列の先頭が動き出す。

「なあ、俺達、なんか凄いことになったな」

またリデルが話しかけてきた。

「ああ。そうだな」

「18班の君達」

俺達は呼ばれて振り返る。

「その怪我じゃあまともに動けないだろう。着いて来なさい。まずは医務室にいかないと」

そうして言われるがままに医務室へと誘導された。

――――――――――――――――――――

「はぁ、全員全治1ヶ月か」

ガルディオ訓練兵養成施設、それになんと言っても王都のある、全宇宙の中心惑星レグーノに向かう船内で、リデルがそうこぼした。

「長いわねぇ」

「俺が背骨と両足骨折、アブドが脳内出血と全身打撲、全身の擦り傷切り傷、ティナが足首骨折で、シオンが肉離れか…」

「散々よね…」

「てかアブド、脳内出血って大丈夫なの?」

「そんな訳ないだろティナ。そうだろアブド?」

「いや、別にこれと言って変な感じもないんだよな」

「マジかよ」

「身体スキャンの時にもそう言われた」

「そうでしょうね…」

「お、見えたぞ!王都レグーノだ!」

「そろそろね。シオン、起きて。着くわよ」

「んー、あれ、私…」

「ぐっすり眠ってたよ」

シオンが両手で顔を隠す。

「恥ずかしい…」

「ていうかさ、凄いよな。俺達、レグーノまで来ちまったんだぜ」

「そうね」

「そんなに凄い事なのか?」

「え?お前知らないのか?レグーノっつったら一生に一度でも行けたら死ぬまで誇れる話だぜ」

「そう、なのか…」

明らかに不審な目で見られている。どうにか、誤魔化さないと。

「い、いやぁ、俺の育ったところが田舎すぎて、よく知らなかったよ」

「そういえば、詳しい自己紹介はまだでしたね」

「確かにそうだな」

「でも今はそんなに時間も無いし、向こうに着いたらにしましょ」

「だな」

あっぶねぇ…。

――――――――――――――――――――

「なんだよ、これ…」

「デカいな」

「ええ」

「ですね」

目の前には、巨大な門がそびえ立っていた。

「ようこそ、期待の新人諸君」

背後から声がして振り返ると、一人の男が立っていた。

「私は今期の教官長を務めるグーウェンだ。よろしく」

そこには、体格の良い初老の男が立っていた。

「「「「宜しくお願いします」」」」

「うむ、良い返事だ。ここでは規律も重要視されているからな。心がけるように」

「「「「はい」」」」

「門をくぐって右手側が女子寮、左手側が男子寮。中央が訓練施設だ。寮に行けば部屋が割り振られているから確認してくれ。この後は28時から歓迎会を行う。それまでは各々休息を取ってくれたまえ。私からは以上だ」

「「「「了解しました。失礼します」」」」

グーウェンさんに一礼し、俺達は門をくぐった。

「それじゃあ後で」

「「ああ」」

俺とリデルは左へ、シオンとティナは右へと向かった。


「ここか」

「俺はこの先だ」

「じゃあな」

「おう」

リデルは部屋へと入っていった。部屋は二人で一部屋。俺のペアはラーノという奴だった。

ここか。俺も自室の前まで来た。

戸を二度ノックする。

「ラーノ?同じ部屋のアブドだ。入るぞ?」

「どうぞ」

俺は部屋のドアを開けた。

俺は部屋を見渡した。入って左側に洗面所。正面に壁向きに設置された机が隔たりを挟んで二つ。その壁の反対側に二段ベッドが一つ。案外狭い部屋だった。

「お前がアブド・デ・へルートか」

上段のベッドの縁からラーノが顔を覗かせた。緑色の肌に細長い目をした顔が特徴的だった。

「ベッドの上は貰うから、奥側の机は譲るよ」

「あ、ありがとう」


「お前、強いんだね」

着替えていると、背後から声がした。

「どうだろうな。三人がいたから勝てたんじゃないか?」

「ふうん。そうか。で、お前、何か隠してるだろ」

俺はシャツを脱ぐ手を止める。

「え?」

「出身はどこよ」

「……」

出身だと?どうする、そんな事考えてもみなかった。そうだヴィリーノさんとメニコットさんは?…いや、そんな話は上がらなかった。まずいぞ。

「…俺はアシューフェの出だ。あそこはいいぞ。低所得と低能の暮らす腐った銀河さ。お前みたいな変な奴が山ほどいる」

俺は振り返ってラーノの顔を見る。

「ふっ」

思わず吹き出してしまった。

「奇遇だな。俺もそこの出だ」

「因みに、その中のバスラって星さ」

そう言って、ラーノも笑った。

――――――――――――――――――――

「新入り諸君、今宵はお楽しみ頂けたかな?」

豪勢な食事を堪能した後、グーウェン教官が登壇した。

「早速だが、明日の予定を伝える。朝9時起床後、この食堂で各自朝食を取ったら待機だ。詳しくは朝食後に伝えるが、明日は道具一式の採寸と学校案内を行う。今日の疲れは今日中に取り切ること。よろしいかな?」

「「「了解」」」


「かぁーっ、食った食った」

「すげー食べっぷりだったな」

俺はコクレアを食べているメニコットさんを思い出した。

「明日は色々大変そうね」

ティナが言った。

「ですね」

「明日朝早いし、さっきの続きはまた今度だな」

「そうしましょうか。じゃあもう帰りましょ、シオン」

「うん」

「二人ともおやすみ」

「おやすみなさい」

「「おやすみー」」

――――――――――――――――――――

翌日、朝食を終えたビーシュの生徒達は食堂にて待機していた。

グーウェンが姿を現し口を開いた。

「えー、まずはおはよう。昨日の予告通り、まずは各自の採寸から行う」

そしてアブド達は制服、訓練着、武具一式に加え、座学で用いる教科書類等を受け取り、寮に運んでを繰り返しているといつの間にか昼時になっていた。

食堂で昼食を取り、その後は施設案内となった。


俺達はいくつかのグループに分けられ、色々なところを案内されていた。数学、歴史、天文学などの各教室、武器の種類ごとに設けられた訓練場、広大なグラウンド、講堂。

「そして、ここが図書館です。専門的な書物も豊富に揃えてありますのでぜひ有効に活用して下さい」

俺は自分に課された本当の任務を思い出した。アカシックレコードの探索。

ここなら何か分かるかもしれない…なんて漠然と思いながら通り過ぎた。

――――――――――――――――――――

「今日はオリエンテーションを行う」

さらに翌日、グーウェン教官はそう宣言した。

「これより食堂の出口にて一人一人にお題の書いてある紙を配る。受け取ったならば二人一組になり、協力して紙に書かれた物を制限時間内に持って帰ってくること。制限時間内ならば自由に行動して宜しい。何かを買う場合は店員にその紙を見せること。それとガルディオ訓令兵であることを示す為に制服での行動を強制とする。タイムリミットは24時までだ。私からは以上。それでは各自行動開始」

「「「了解」」」

そして俺の受け取った紙には"オベスの角"と書かれていた。オベス?なんだそれ。

まぁとりあえずは誰かとペアを組まないと…おっ。

「おーい、リデルー」

リデルが振り返る。だが…。

「悪いな。俺はルームメイトのパイロンと行くからさ」

「そうか。頑張れよ」

「おう、お前もな」

ふむ。なら俺もラーノと組むか。ラーノはどこだー?…いた!

だがしかし、ラーノもすでに相手が決まっているようだった。人がどんどん散っていく。

やばいぞ。早く相手を見つけないと。

「アブド君?」

「はい!?」

俺は声のした方に振り返った。そこにはシオンがいた。

「シオンか。どうした?」

「その、まだペア見つかってなさそうだったから声かけたの。私もティナとかは他の人と行くっていうから」

「そっか。じゃあ一緒に行くか」

「うん!」

ふう。なんとか一件落着。

「そうだ。シオンの紙にはなんて書いてあったんだ?俺はこれ」

俺は"オベスの角"と書かれた紙を見せた。

「オベスの角か…。あ、私はこれだったよ。"アルブナの毛皮"」

「…何それ。分かる?」

「え、オベスとアルブナだよ?」

シオンの顔が信じられないと言っていた。

「いやぁ…初耳だなぁ…」

そんなにやばい事なのか?

「そっか。えっとね、オベスもアルブナも家畜として飼われていることの多い動物で、肉は食用に、毛は布とかに使われるの。角は…装飾品かな…?」

「そうなのか」

「うん。となると、市場に行けば両方揃いそうね」

「市場か」

「場所分かる?」

「うーん。あっ、図書館で調べてみるか」

「そうね。そうしましょう」

「よし、じゃあ行くか」

俺達はまず図書館へと向かった。


「広いな」

「ええ」

案内の時には一瞬しか立ち寄らなかったからあまり感じなかったが、よく見るとかなりの量の本棚が奥まで続いていた。

「どうやって調べようか」

「とりあえずレグーノで調べてみましょう。あ、検索機見つけたわ」

シオンがレグーノの本を探している間に、俺は別の端末に"アカシックレコード"と入力してみた。

うっ、検索結果、403件…。

「アブド君、棚の場所分かったよ。何調べてん…」

俺は急いで画面を消した。

「いや、別に。見つかった?よかった。どこだった?」

「あ、うん。ついて来て」

「おう」

とりあえず、全部読むしかないよな…。

「あ、ここだ。えーっと、あったあった」

シオンはレグーノ地理全集という表紙に大きな塔の記載された本を手に取った。

机に広げ、索引をめくる。

「市場市場…これだわ!バーバル街。なるほど。王都の反対側にあるのね。うん。ここなら揃いそうだわ。早速行きましょう」

「よし。行こう」

俺達は図書館を後にした。

この話はフィクションです。実在する個人、団体、出来事などとは一切関係ありません。

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