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【完結】アカシックレコード  作者: 白黒羊
第参章 怒濤狂瀾篇

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EP19 死を運ぶ流星

「いつまでそうしているつもりだ。起きろ、タケル」

声が聞こえる。何度か、聞いたことのある声。

俺は目を開く。いつの間にか、眠ってしまっていたのか…?そんなことより、一体何が…。

「はッ…」

横たわる二人。俺は全て思い出した。

「ああぁ…ああ…あああぁぁああ…」

「何驚いているんだ?何も出来なかった癖に」

「俺の…せいか…?」

「ああ、全てお前のせいだ。ビオロも、ドラゴイードルも、お前のせいで死んだんだ。タケル」

「俺が…俺が…ああああぁぁぁああああッッッ!!!!」

「その様子なら、もう動けるな」

「もう…嫌だ…」

「立て」

「無理だ…。どうせ、何も出来ないんだ…」

「そうだお前は何も出来ない」

「…ほらな」

「何もしなければな」

「確かに、そうだな…。なら、もう何も出来なくていい」

「ビオロを生き返らせることもか?」

「…え?」

「俺の言う通りにすれば、ビオロを生き返らせることが出来る」

「本当に?」

「ああ。本当だ。約束する」

「あんた、誰だ?前にも声を聞いたことがある気がするが」

「覚えてないか?俺は、ドミナードだ」

「ドミナード…まさか」

「ああ、スラーヴォの地下牢以来だな、タケル。まぁ、窮地を救ってやったことはあったが」


『怒りだ』

『怒りは、パワーの源だ。思い出せ。木に潰された母親や、身代わりとなって死んだボルケーノ、自分の無力さ故に惨殺されたサイトウ達のことを』


あの声も、ドミナードだったのか。

俺は立ち上がる。

「おい、どこだ、ドミナード」

辺りは暗いが、見えないのはそのせいじゃない。

「事情があって俺には実体が無い。お前と話すことが出来ても、触れ合うことは出来ない」

「なんで?」

「それは知らなくていい事だ」

「…分かった。それで、どうすればビオロを?」

「まぁ、待て。そう先を急ぐな。他にもやりたいことはあるだろ?」

「他に?」

「そうだ。例えば、クロウリー・オーガストの事とか」

「クロウリー…」

「殺さないのか?」

「…殺せるのか?」

「もちろん。だが、それだけでいいのか?」

「…いや、良くない」

「そうだよな。何をしたい?」

「…殺したい。モナードヴェン共を、全て」

「それは何故?」

「あいつらが、あいつらが来なかったら、俺は何も失ってなかった。みんな、今も生きていた。だから、殺す。死をもって、罪を償わせる」

「ビオロが死んだのは、モナードヴェンのせいか?」

「いや…俺のせいだ」

「何故?」

「俺が…動けなかったから。俺に…力がなかったから」

「そうだ!その通りだ!お前に必要なのは力だ!さぁ、タケル!そこに転がっているドラゴイードルを喰らえ!そうすればお前はさらなる力を…未だかつて無い程の力を手に入れることが出来る!!」

俺は振り返る。そしてドラゴイードルの元へ近づき、しゃがみ込む。

ドラゴイードルの目が、タケルを見つめる。

「さぁ早く、奴を喰らえ!胸の中央にあるドラゴイードルの魂を喰らうんだ!」

「いただきます」

俺は奴の首と腹をおさえ、胸にかぶりつく。顎に力を入れると、肉に歯が食い込む。俺はそのまま頭を引く。

「ガアアァァアアアッッ!」


ブチブチブチブチッ!


肉が千切れる。俺は落ちないよう手でおさえながら、それを食う。手が、青く染まる。

「はは、ははは、ははは!いいぞタケル!」

俺は何度も繰り返した。肉を引き千切り、骨を噛み砕いた。


ガッ


肉でも骨でもない感触がする。それは丸く、固い。

「ガアアァァアアアッ!」


バキッ


俺はドラゴイードルの魂を噛み砕いた。

ドラゴイードルの瞳孔が開いた。

「ガアアァッ!」

体が痺れる。

「ハァ、ハァ、ハァ…」

体中が、冷たい。俺は無意識のままに立ち上がる。

「…ガァァアアアアッッ!!!」

胸を張り手を広げる。そして尾と翼と角が生えだし、大きくなった体が赤と青に染まる。

「よし、それでは行こうか」

「どこ…へ?」

「それはもちろん、モナードヴェンの母星、惑星カアスへ」

――――――――――――――――――――

それは突然起こった。カアスに、星が降ったのだ。

墜落地点は、王宮近くの賑やかな市場。"星"の衝突の衝撃により、半径1km以内が一瞬にして壊滅した。

現場付近は大混乱に陥った。さっきまであったあの高層ビルも、今や跡形もなく崩れ落ちている。その事実が生存者を恐怖させた。

逃げ惑う人々をかき分け、調査隊が現場に到着。

その直後、轟音を響かせながら、地面から数多の氷の柱が出現した。氷の柱は調査隊を全滅させた。

土煙が収まり、様子を伺っていた、逃げ遅れた市民か、逃走の援護をしていた軍人かの誰かが、声を上げた。

「み、見ろッッ!!あ、あそこに、だ、誰かが!…誰かが浮いてるぞッ!!!」

その声を聞いた者たちは、現実に対処しきれず、皆動きを止めた。

宙に浮かぶ"誰か"が、左腕を突き上げる。そして、親指と中指を先を合わせ、続いて中指を親指の付け根に打ちつける。


パチン


鋭い破裂音が辺りに響き渡る。

すると、氷の柱が炎に包まれる。そして氷が、一瞬で融解する。

空中で発生した高波が、全てを飲み込む。


俺はその様子を、ただ呆然と見下ろしていた。

「奴らはモナードヴェンだ。地球を滅ぼそうとしていた奴らだ。お前は正しいことをしている。何も迷わなくていい。極悪人への、当然の報いだ」

「そう…だな」

悪いのは、全部こいつらだ。

「クロウリー・オーガストはおそらくあの豪勢な建物の中だろう。今は歓迎会でもやってるんじゃないか?」

「…行くぞ」

「もちろんだ」

俺は飛び立つ。

――――――――――――――――――――

「そちがクロウリーか」

「左様でございます」

玉座に座るプエル2世の前で私は平伏しながら答える。

「長旅ご苦労であったな」

「なんともございませぬ。ついに、ここまで来たのですから」

「そちの契約条件は確か…死んだ妻の復活だったかの?」

「そうでございます」

「ふむ。そのような類はメディオクリスが第一人者なのだがな。ドラゴイードルの回収に失敗しさらには本人が殺されたとは…。済まないな。とんだ失態だ。何と言えばいいのやら。まぁしかし、契約は契約だ。そこのパーミキュルスもなかなかの者だ。彼を附けるから、十分にこき使ってくれ」

「ありがとうございます」

「では行け」

「はい」

私は立ち上がり頭を深々と下げ、その場から立ち去ろうとする。


バリィィィーーンッッ


突如、左側の窓が物凄い音を響かせながら割れる。"誰か"が、窓を突き破って侵入してきた。

「早急に王と来賓をお護りせよ!」

騎士長が叫ぶ。

「そんな…あの窓が…割れるなんて」

「パーミキュルスさん何してるんですか!我々が御護り致しますので、来賓の方と逃げてください!」

「あ、ああ。クロウリーさん、こちらです」

「分かった」

私は駆け足でパーミキュルスに近づく。嫌な予感がした。早くここから逃げ出したかった。

「待てよ…クロウリーッッッ!!」

…ッ!!!そんな…この声は…まさか…。

「動くな!誰だお前は!」

騎士長が問いかける。

「…タケル」

そう言ってその"誰か"が、ゆっくりと立ち上がる。

私は絶望した。

「あ…あぁ…あいつが…ドラゴプロクスだ…」

パーミキュルスがそう言って崩れ落ちる。

「な…なんだと」

室内は騒然としていた。

「ドラゴプロクス!目的は何だ!」

騎士長が問う。

「…うるさい」


パチン


タケルが指を鳴らす。

どこからともなく立ち昇った炎が、私以外の全員を包み込む。

「「「ぎゃぁぁあぁぁ」」」

今はもう、誰が誰なのか分別もつけられなくなった。

「…タケル。私が憎いか?」

「殺す」

「そうか」

私はもう逃げようとは思わなかった。死に際に人は変わると聞いたことがあるが、こういうことなのだろう。それとも、圧倒的絶望に陥った末か…。

「ガハッッッ」

ふと気がつくと、首を掴まれていた。物凄い力で。私の足先は宙に浮いていた。

「レーナ…」

これが私の運命。やはりレーナに会うには、この道が一番早かった…。


ゴシャッッ!


クロウリー・オーガストの首の骨は砕けた。タケルの手が、赤く染まった。

――――――――――――――――――――

「ここは?」

僕は真っ暗な空間に立っていた。辺りを見渡しても闇以外の何も無い。そうだ。僕は何度かここに来ている。


パァン!


響き渡る銃声。胸に広がる痛み。……死ぬ――いや、そうか。やっと、叶ったのか。そうか…長かったなぁ。


「ありがとう」

――――――――――――――――――――

その後タケルは、カアスにいるモナードヴェンを一人残らず殺した。男も女も年寄りも子供も。ある者は凍らされ、ある者は火で炙られ、ある者は波に飲まれた。


カアスでは雨が吹き荒れていた。

タケルは疲れ果て、辺り一面芝の生い茂る広場に座り込んでいた。

「どうだ、スッキリしたか?」

「いいや。まだビオロと会えて無い」

「まぁまぁ、そう先を急ぐなよ。今から会わせてやるから」

「どこにいるんだ?」

「そうだな…。境界線の先とでも言おうか?」

「境界線の先…」

「そうだ。だがその境界線を越えるのは誰にでも出来ることではない。第一、俺でも出来ないからな。だがお前は違う。お前はドラゴプロクスでありドラゴイードルでもあるんだからな。さて、そろそろ行こうか」

「ああ」

――――――――――――――――――――

「ここは?」

タケルの目の前には暗黒の空間が広がっていた。

「名前ぐらいは聞いたことがあるだろう。ブラックホールだよ」

「あのなんでも吸い込むやつか」

「そうだ」

「なんで俺は吸い込まれないんだ?」

「ブラックホールにも限界がある。目の前のものを手当たりしだいに吸い尽くしていたら、今頃宇宙は吸い込まれて無くなっているだろう?」

「確かにそうだな。それで、ここで何をするんだ?」

「このブラックホールのおかげで、俺達は銀河の中に閉じ込められている。だからこの大穴を突破しなくてはならない」

「どういうことだ?」

「まぁつまり、このブラックホールの先にビオロがいる訳だ」

「そうか」

「ブラックホールを突破するには、中心にある核を破壊する必要がある。それを成し遂げられるのはタケル、お前だけだ」

「なるほどな」

「ブラックホール内に入ると、方向感覚が失われる。右は左となり、上は下となる。だが心配することはない。お前の心が導いてくれる」

「…分かった」

「俺が伝えられるのはここまでだ。後は行った者にしか分からない」

「じゃあ、行ってくる」

「ああ、気をつけてな」

タケルがブラックホールに近づく。すると、落ちるようにして吸い込まれていった。

――――――――――――――――――――

…暗い。何も見えない。

俺は真っ暗な場所にいた。

「ドミナード!聞こえるか!」

返事はない。くそ、これじゃあどこに進めばいいか分からないじゃないか。早く会いたいよ、ビオロ。

「エスペーロ」

俺は目を見開く。背後で懐かしい声がする。俺はすぐさま振り向く。

「お母さん!!」

途端に、辺りが光に包まれる。闇は消え去り、気がつくと辺りに木々が生い茂っている。

ここは何なんだ。いや、もうそんな事どうだっていい。

「お母さん!!」

俺はもう一度叫び、走り出す。

だが、いくら走ったところで、お母さんとの間には一定の距離が開いていた。

「お母さん、どうして?」

「あなたには、やることがあるんでしょう?」

そうだ。俺には、やるべきことが。

「うん」

「付いて来なさい」

お母さんが歩き出す。俺は急いでその背中を追う。

「お母さん!俺、色んな人の力を借りて、色んな事があったけど、一人で頑張ったよ!」

「……」

相変わらず、お母さんは黙々と歩き続けている。なんで、何も言ってくれないんだよ。

…もしかして、あの時の事を、怒ってる…?

「…お母さん、ごめんなさい。俺、あの時、何も出来なくて、ごめんなさい」

あの時の俺は…幼くて、非力だった。でも、今は違う。

「……」

まだ何も言ってくれない。

「ねぇ!お母さん…。何か言ってよ。俺のこと、嫌いになったの…?」

何故だか、お母さんがぼやけて見える。

ふと、お母さんが止まる。少し背中が震えている気がする。

「…そんなことないわ!」

お母さんが振り返る。その両目には涙があった。

「謝るのは私の方よ。ごめんなさい、エスペーロ。一人で辛かったよね。ここまでよく頑張ったね」

そう言ってお母さんが腕を広げる。

「おいで、エスペーロ」

俺の目からも、涙がボロボロこぼれ落ちていた。

「…うん!」

俺は急いでお母さんの元へと駆け出す。

さっきまで縮めることの出来なかった距離が、どんどん短くなっていく。

俺も手を広げる。


だが、タケルは母親を抱きしめられなかった。

タケルの腕は闇を抱きしめ、辺りは黒く静まり返っていた。


「お母さん…」

抱きしめたかった。でも、今はやらなくちゃいけない事がある。こんなところで止まってなんかいられない。とにかく、前に進もう。俺は足を踏み出した。

――――――――――――――――――――

どれくらい歩いただろうか。景色は全く変わらない。こっちであっているのだろうか。俺は不安になってきた。すると、右手に違和感を覚えた。これは…手?一体誰の…。俺は真横を向いて固まった。

「サイトウ…さん?」

「久しぶりね、タケル」

辺りが、真っ白い世界になる。

「な…なんで…」

「ここは特別な場所なのよ。さぁ、行きましょう」

サイトウさんが歩き出す。俺は手を引かれたまま付いて行く。特別な場所…?だから、お母さんやサイトウさんと会えたのか?

「……」

サイトウさんも、何も言わない。怒っているのか?

俺は思い出した。サイトウさんとの最後を。何も出来なかった、あの時を。

「サイトウさん、俺、何も出来なくて、助けられなくて、ごめんなさい」

「…確かに、心のどこかでは、タケルがどうにかしてくれるんじゃないかって、思ったの。でも、私は、あれでいいと思っているから、だから、気にしないで、いいのよ」

「お母さんも、サイトウさんも、なんでこんな俺なんかを、許してくれるの?」

「あなたのお母様の事は、私にはよく分からないけれど、私は、タケルが、最期まで頑張ってくれたから、かな」

「え?」

「あの時、私の為だって叫びながら、何度も自分の体に槍を突き刺していたじゃない。私…こんな事言っておかしい奴だとか思われるかもしれないけど、ちょっと嬉しかったのよ。誰かにあんなに必死に必要とされるのが。私はずっと一人だった。でも、それをタケル、あなたが変えてくれた。だから…」

サイトウさんが立ち止まって、俺を見つめる。

「私は、いつでもタケルの味方よ」

「サイトウさん…」

「でも…私はここまでだから…だから最期に一つだけ、私の我がままに付き合って。真ん中は、我慢してあげるから」

サイトウさんの顔が近づく。


サイトウの唇が、タケルの頬に触れる直前、闇は世界を塗りつぶした。

――――――――――――――――――――

ダメだ…。俺は、ビオロを生き返らせるためにここまで来たんだ。こんな事、してる場合じゃない。

俺は目を擦りながら気づいた。

…待てよ、ビオロを生き返らせられるなら、他の人もできるんじゃないか?だって、ビオロも、お母さんやサイトウさんと同じく…死んだんだから。そうだ。きっとそうだ。出来るぞ。ちょっと待っててね、お母さん、サイトウさん。今、迎えに行くから。

「…あれは」


タケルの目の前には、一本の木が生えていた。そしてその木の枝に、一つの輝く林檎が実っていた。


『私、あのリンゴが食べたいな』

「ビオロ…」

俺はビオロと食べたリンゴの事を思い出した。

そして俺は木に近づき、その果実に手を伸ばした。優しく掴んで、木から引き抜く。

――――――――――――――――――――

「私、なんだかお腹空いちゃったわ」

「言われてみれば俺もだ。朝から何も食べてないからね」

「まぁしょうがないわよ。あんな荒野に食べ物がある方が不思議だわ。でも良かった。この森の中なら何かあるはずだわ」

「そうだね。…あ!見て!リンゴがあるよ」

「…?リンゴ?」

「あ、リンゴって知らない?ほら、あの赤いの」

「食べれるの?」

「うん。甘くて美味しいんだよ」

「そうなのね。じゃあ私、あのリンゴが食べたいな」

「分かった。今採ってくるからそこにいて」

「でも、少し高さがあるわよ?」

「大丈夫。小さい頃はよく木登りしてたから」

タケルはそう言って木にしがみつき、登り始めた。

「気をつけてね!」

「うん!」

タケルは無事リンゴを手にして降りて来た。

「はい、どうぞ」

「ありがとう」

「じゃあ、休憩しながら食べようか」

「そうね」

二人は池のほとりに腰をかけ、リンゴをかじった。

「ん!美味しい!」

「でしょ」

「ほら、タケルも食べて?」

「うん。そうだね」


『「いただきます」』

――――――――――――――――――――

「タケル!タケル!オイ、聞コエルカ、タケル!…クソ、何故俺ノ声ガ届カナインダ。ドウナッテイル。何故奴ハタケルヲブラックホールナンカニ?…マサカ。待テ!待ツンダ!タケル!」

「なんだ、まだこんなところにいたとは」

ボルケーノが振り返る。

「ドミナード!?ココハタケルノ心ノ中ダゾ!ドウシテオ前ガココニ!?」

「俺は最初からいましたよ」

「ソレハ…出会ッタ時カラトイウ事カ?」

「ええ、もちろん。肉体が無いんですから」

「…ダカラタケルニコンナ事ヲ!?」

「ふふふ、それはどうでしょう」

「ソンナ事サセルカ。タケル!聞イテクレ!オ前ハ騙サレテイル!ドミナードニ!!」

ドミナードがボルケーノの両眼に手を当てる。

「邪魔しちゃダメですよ。早くあっちの世界へ行っちゃって下さいよ。お前に出来ることはもう無いんだから。…タケルは俺の物だ」

――――――――――――――――――――

「いただきます」


パキン


タケルは輝く林檎をかじる。

「え?」

林檎は、小さな黒い球体へと変貌していた。


核を損傷したブラックホールは、急激に膨張し、長い時間をかけて、しかし一瞬で、銀河の全てを飲み込んだ。だが最後には、ブラックホール自身が、核に吸い込まれた。


「さぁ!タケル!それを噛み砕け!そうすれば!境界線の!先に行けるぞォォ!」


これを喰えば、ビオロに会える!


バキン!

――――――――――――――――――――

――――――――――――――――――――

光も闇もない無の空間の中で、少年は目を覚ます。

「目が覚めたか?」

「…あぁ。…あんたは…誰だ?…いや…俺は…誰だ…?」

「俺はドミナード。そしてお前は、デトルートだ。おいおい、忘れちまったか?俺たちは共に野望を抱いた仲じゃないか」

「野望?」

「あぁ。この宇宙を、支配するってな」

「…そう…だったな」

ドミナードがニヤリと笑う。

「さぁ、始めようか」

第参章 怒濤狂瀾篇 完


この話はフィクションです。実在する個人、団体、出来事などとは一切関係ありません。

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