1/14
『0』
真っ暗な闇の中。注入される日常。
それは多分、『記憶』と呼ばれる。
「…カー。」
聞こえてくる『神』の声。
絶対的で、逆らえない音色。
「リカー。」
「は…い…。」
答えようとしたが、妙に力が入らない。
「僕がわかるか。」
「…。」
知っている。でも何故か思い出せない。
ぼうっとした頭、合わない焦点。
まるで空っぽになったような、変な感じ。
いくら手探っても、辿り着けない。
「また失敗か…。まあ、いい。少なくとも、素直にはなれたから。」
意味のわからない言葉が頭の中を漂う。
慣れた単語だが、意味が全く繋がらない。
「今日はここまで。お休み、僕のリカー。」