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プニプニ勇者140字小説  作者: 屑屋 浪
6/294

2019年11月分 「狼國編」他

【人物紹介】

プニプニ勇者:二頭身でオムツ姿のプニプニな幼児な勇者。

従者    :勇者のお世話係。


千里眼と主 :勇者の動向を探る二人。

射手    :凍撃の矢と恐れられている冒険者。勇者大好き。


「狼國編」

王     :皆に慕われている狼國の国王。子煩悩。

王子    :文武両道の狼國の王子。ある目的の為に姿を消した。

風狼団長  :口は悪いが部下の面倒見は良い戦士。

獣使者   :勇者を迎えに来た真面目な狼族。

【兎の村1】

 兎ばかりがいる無人の村があった。兎は魔法で姿を変えられた村人であり、冒険者たちに訴えるものの言葉が通じない。だがプニプニ勇者は特殊能力で言葉が理解できた。

「この村をお救い下さい!」

「うっしゃ」

「兎さん、フワフワですね」

 但し、その先に繋がらないのが問題だ。



【兎の村2】

 兎村にいたプニプニ勇者と冒険者たちの前に怪しい呪師が現れた。

「何だ、お前らは!まさか人を獣化して操る計画を嗅ぎつけたのか?実験で村人を兎にした事や、呪術石で戻る事も知っているのか!」

(全部バラしちゃったよ)

 その後、冒険者たちの活躍で村人は元の姿に戻った。



【千里眼 休憩終了】

「千里眼、勇者はどうしてる?」

「またイヤイヤが始まりました」

「何?視覚共有しろ」

「はッ」

 そこに主事がやってきた。

「休憩は終わりです」

「しかし勇者の動向を…」

「貴方はプニプニが見たいだけでしょう。さあ、仕事して下さい」

 ささやかな休憩は終わりを告げた。


■裏話

千里眼の人たちは勇者の敵対勢力のつもりでしたが、今は立ち位置不明です。

それなりに力を持った人だとは思うんですけどね。



【水占師】

 水盤に浮ぶ模様を見てプニプニ勇者は目をキラキラさせていたが、水占師は顔を曇らせる。

「勇者様に暗雲が立ち込めております。このままでは…」

「ぱっしゃ!」

 水占師が未来を読もうとした時、はしゃいだ勇者が水盤をバシャバシャしてしまったので、未来はまた変わるのだった。



■狼國 まえがき

この後は続き物になります。全二十話、お楽しみ下さい。



【狼國01】

「狼族は誇り高き種族、犬扱いは厳禁です」

 獣人の使者から明言されて従者は反論する。

「そんな難しい事、勇者様が分かるわけないじゃないですか!」

 プニプニ勇者はワンワンと言いながら獣使者の尻尾で遊んでいた。

「無理を承知でお願いしてるんです!」

 獣使者も必死だ。



【狼國02】

 プニプニ勇者が、誇り高き狼族をワンワンと言わないように、狼國への船中、従者と獣使者は勇者がワンワンと言う度にモフモフと言い直した。

「もっふ?」

「そう!モフモフ」

 なんとか勇者はモフモフと言うようになり、歓喜する二人だが、本来の依頼の方は忘れていたのだった。



【狼國03】

 謁見の間で狼族の王と重鎮たちがプニプニ勇者を見つめている。従者と獣使者は緊張していた。何故なら王が調髪してモフモフでは無かったからだ。冬毛で毛量が多い事に賭けるしかない。

 王に呼ばれた勇者は嬉しそうにトコトコと近付き、そして言った。


「ワンワン」


(終わったー)



【狼國04】

 王様ワンワン事件で捕えられたプニプニ勇者たちは牢に容れられていた。しかし退屈になった勇者はプニプニと扉を押し始める。それを見守りながら獣使者が従者に尋ねた。

「開くんですか?」

「押して遊んでるだけです」

 牢の中にまったりとした時間が流れていた。



【狼國05】

 プニプニ勇者たちの向かいの牢に先客がいた。風狼団長である。数日前から王子の行方が知れず、その犯人にされたのだという。

「ところで、そのプニプニは何だ?」

 格子に顔をくっつけている勇者を指差す。

「勇者様です」

「そのプニプニは何だ?」

 大事な事なので二度言った。



【狼國06】

 狼國はプニプニ勇者の力が必要な為、王をワンワンと呼ばない約束で牢から出る事を許した。そんな訳で、従者は王を表す言葉をモフモフから王様に変え、勇者に「おうさま」と言えるか尋ねると、勇者は元気いっぱいに言った。

「おうちゃん!」

 もうワンワンじゃなければ良い事にした。



【狼國07】

 プニプニ勇者は狼國王から王子の探索を依頼された。嫌疑の晴れた風狼団長も一緒である。従者は直ぐに探しに行こうとしたが団長が止めた。

「何故です?」

「王子は俺と同じ屈強な戦士だ。自身は守れる」

「え?仔狼じゃないんですか!」

 子煩悩な王の説明のせいで誤解が生じていた。



【狼國08】

 風狼団長が獣使者に、プニプニ勇者が本物の勇者なのかと聞くと、当然ですと返された。

「それに勇者の魂印だって出てるでしょう?」

 魂印は特別な人間の持つ徴で、高レベルの者には識別できる。勇者ももちろん魂印を出していた。


 ゆうちゃ ゆうちゃよ


「平仮名じゃないか!」



【狼國09】

 狼國の王子は封印の神殿へ向かったらしい。神殿へ行く為、プニプニ勇者一行は装備を整える事にした。

「おやちゅ!」

「冒険用の買い物ですよ、勇者様」

 市場ではしゃぐ勇者を窘めるが、従者も初めて来た国の市場に興味津々で、遠足前のおやつを買うような雰囲気になっていた。



【狼國10】

 風狼団長は口は悪いが部下の面倒見は良い。今、数人の団員と共に雪の山中にある封印の神殿へ向かっていたが、その中の一人が叫んだ。

「勇者がチョロチョロして前に進めません!」

 団長は黙ってプニプニ勇者を肩車した。

「みっみ」

「あ、耳は掴むな」

 子供の面倒見も良かった。



【狼國11】

 封印の神殿は世界を凍結させる魔物を封じている。

「王子は目的があって自ら赴いた。なら危険性は低い。まずはプニプニを探すぞ!」

 風狼団は謝る従者と共に、着いた途端に迷子になったプニプニ勇者を探し始めたが、勇者は何故か王子の所にいた。

「このプニプニどこから来た!?」



【狼國12】

 風狼団長と王子は封印の間で邂逅した。

「奇遇だな。いや、私を追ってきたか」

「怪我が無いなら帰れ」

「相変わらず無礼な奴だ。まあいい。聞きたい事がある。こいつを知っているか?」

 足元からプニプニ勇者が顔を出す。

「いた!無事だ!」

 王子の発見より喜ぶ団員たちだった。



【狼國13】

 祭壇の最上段で、狼國の王子は叫んだ。

「このプニプニを返して欲しくば勇者を連れてこい!」

 それを聞いた風狼団に緊張が走る。


 その重ね着しすぎて丸いプニプニが勇者です


 皆言いたかったが気まずくなるのを恐れて黙り、結局、気まずくなっていた。

「何故目を逸らす!」



【狼國14】

 狼國の王子は語り始めた。

「封印など一時凌ぎ。あ!そっちは危ないぞ」

 端に行こうとするプニプニ勇者を王子は引き戻す。

「もっと根本的な解決が…祭壇に頬をくっ付けたら凍傷になるだろ」

 王子は彷徨く勇者を抱っこする。

「だから凍結の…あ!」

 誰も話に集中できなかった。



【狼國15】

「つまりお前は凍結の魔物の封印を解いて操ろうってのか?」

 王子の企みを風狼団長が簡潔に纏める。

「理解が早くて助かるよ。さて大事な儀式を邪魔されないように片付けておく事がある」

 そう言って王子は風狼団を見た。

「プニプニの保護者が居たら迎えに来てもらえると助かる!」



【狼國16】

 低級な魔物の群れを潜り抜け、風狼団長は王子と対峙した。

「やはりお前の相手は私がしなければならないか」

「余裕だな、王子様」

「万全の備えがあるのでね」

 王子はフッと笑う。

「プニプニが空腹で騒いだ時も、栄養補給用の甘味を食べさせてすぐに解決したよ」

「余裕だな…」



【狼國17】

 王子が真狼化し凍結の魔力まで取り込んだ為、風狼団長は劣勢に転じた。それを見て従者は奥の手を提案する。

「勇者様を装備するんです」

 当惑する団長の背中にプニプニ勇者がくっ付き、おんぶ紐で固定された途端、全能力値が上昇した!

「何だ、これ!?」

 勇者装備の効果である。



【狼國18】

 激闘を制したのは風狼団長だった。

 王子に何故と問われた団長は、従者に労われているプニプニ勇者の方を見た。王子が保護したプニプニに助けられたとは言えず、言葉を選ぶ。

「あんたの敗因は優しかった事だよ」

「何を言っているんだ?」

 王子に意図は伝わらず逆に心配された。



【狼國19】

 狼國王や重鎮により封印の儀が行われた。プニプニ勇者と風狼団長、そして謹慎中の王子も一緒だ。

「何故プニプニがいる?」

「こいつが勇者だから」

 風狼団長の答えに王子は態度を改める。

「プニプニがいる理由をご教示願います」

「答えは変わらねえよ」

 封印は無事に終了した。



【狼國20】

 プニプニ勇者が帰る日、風狼団長と獣使者が話していた。

「また国外に行くんだな」

「はい。結婚後は行けなくなるので」

「行けば?結婚しても」

 獣使者は頭を振る。

「風狼団は問題が山積です。団長の妻になったら腰を据えて取り組むつもりですから」

 団長は嬉しい溜息を吐いた。



■狼國 あとがき

狼國編、完結しました!

書く前に考えていたエピソードは3、4個だったので、全体で20回も使うとは思いませんでした。なんとか最後まで書く事ができて良かったです。

ここまで読んで頂いた皆様、ありがとうございました。

次回から通常に戻りますので、またよろしくお願い致します。



【ゴロンゴロン】

 腕を上に伸ばし、床に横になって転がっているプニプニ勇者に、何をしているのか従者は尋ねた。

「ゴリョンゴリョン!」

 得意気に答える勇者を見て、床でゴロンゴロンする遊びなのだと悟った従者は、何が面白いのかは不明だが本人が楽しそうなので、暫く足元に気を付けようと思った。



【妖精の羽】

「一時だけ妖精の羽を与えよう」

 森の主がそう言うと冒険者たちの背中に羽が生えて浮かび上がり、森の中を自由に移動できるようになった。

 プニプニ勇者にも小さな羽が生え、パタパタして微笑ましかったが、冒険者に突進したり、あらぬ方向に飛んで行くので、結局いつもと同じように従者に抱っこされての移動に変更された。



【勇者装備】

 プニプニ勇者を装備すると全能力値が上昇する。だが普段、冒険者が抱っこやおんぶをしてもそんな効果はない。何故なら従者が既に装備しているからだ。離れていても装備状態は続く為、他者は装備できない。

 そして従者が勇者装備を解除すると能力が下がりクエストが困難になるのだ。



【射手 休暇】

 射手は少々骨の折れるクエストを終えて街に戻った。久しぶりに長い休暇を取るつもりで宿屋に入ると、宿屋の主と冒険者の会話が耳に入ってきた。

「勇者ちゃん、いないの?」

「クエストで遠出してるんだ」

 射手は思った。プニプニ勇者がいないのなら休暇はまた今度にしようと。



【石盤】

 仄かに輝く石盤を前に島の保守者は言う。

「石盤に島の魔力が投影され、上に置いた石の反応で状態を把握するのです。ですが今は分りません」

 保守者は目を伏せた。

「勇者ちゃんが片っ端から石を払うので…」

 プニプニ勇者はそういう遊びだと思って一生懸命に石をどかしていた。



【お約束】

「勇者様、剣がぶつかるとイタイイタイです。だから伝説の剣をブンブンしないってお約束できますか?」

「できる」

 伝説の剣は小さくて軽るく、人へのダメージは無いのだが、ぶつかると迷惑なので、人が大勢いる場所では振り回さないように、従者はプニプニ勇者といつも約束するのだ。



読んで頂き、ありがとうございます。


こちらはツイッターでほぼ毎日更新しております。ご興味がありましたら、ツイッターで #プニプニ勇者 と検索すれば出てきますので、ご覧頂けると幸いです。


まだ続きますので、次回もよろしくお願いします。

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