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プニプニ勇者140字小説  作者: 屑屋 浪
5/300

2019年10月分

【登場人物】

プニプニ勇者:二頭身でオムツ姿のプニプニな幼児な勇者。

従者    :勇者のお世話係。


射手    :凍撃の矢と恐れられている冒険者。勇者大好き。

千里眼と主 :勇者の動向を探る二人。今回初登場。

緋鮫と碧鯨の王子:次期国王を争う二人。

パンダ王国 :パンダが王様の唯一無二の国。パンダ至上主義。

見習い僧兵 :自信の無い若者。

【射手 士気】

「おいッ、このプニプニを何とかしろ!狙いが定まらねェ!」

 射手にくっつくのを従者が離しても、プニプニ勇者はジタバタと戻ろうとする。

「そんなに射手さんが好きなんですか?」

 従者が訊くと勇者ははっきり答えた。

「ちゅき」

「すぐに片付ける!」

 射手の士気が上がった。



【親鳥の気持ち】

「勇者様、ブドウ食べますか?」

「たぺゆ」

 皮と種を取ったブドウの粒を渡すとプニプニ勇者はアグアグと食べ、もっとと言うので従者はまた食べやすくして勇者に渡した。

 従者は思った。雛にせっせと餌を運ぶ親鳥は、このアグアグ食べる姿を見るために運んでいるのかもしれないと。



【千里眼 登場】

「千里眼、勇者を探せ」

「はっ」

 千里眼と呼ばれた者は集中し、離れた場所にいるプニプニ勇者の姿を確認した。

「何をしている?」

「ピョンピョンとジャンプしています」

「…他には?」

「コロンコロン転がっております。あッ!」

「どうした!?」

「駆け回り始めました」



【緋鮫と碧鯨の王子 お告げ】

 ある小国の王家から使いが来た。二人の候補から次期国王をどちらにするのか、勇者に選択してもらうようにお告げがあったからだという。

 しかし王家の使いは、従者の膝の上で不思議そうな顔をしているプニプニ勇者を前に、お告げに従うべきか否か難しい判断を迫られていた。



【緋鮫と碧鯨の王子 選択】

「次期国王候補の緋鮫の王子と碧鯨の王子です」

 プニプニ勇者の前に現れた二人の若者は膝を折り頭を垂れた。

「では、赤いサメさんと青いクジラさんとどっちが良いですか?」

 ふわふわな聞き方だった。

「ワンワン!」

「犬さんはいませんよ、勇者様」

 しかも決まらなかった。



【緋鮫と碧鯨の王子 裏工作】

「勇者をこちら側に付けろ」

 次期国王候補の一人である緋鮫の王子が命令する。

「汚い手段でもよろしいですか?」

 腹心が口を開く。

「構わん。言ってみろ」

「うん〇です」

「な…」

「うん〇は幼児に大人気!あのプニプニな勇者も必ずや反応するでしょう」

(そっちの汚いか!)



【緋鮫と碧鯨の王子 次期国王】

「君が航海に出たい事は知っていたよ。国を守る為に王になろうとしてくれた事も」

 青鯨が緋鮫の王子に話しかける。

「でも勇者様のおかげで海獣神の加護が戻った今、君は自由になってくれ」

「分かった。次の王はお前だ」

 その頃、プニプニ勇者は話が長いので外で遊んでいた。



【ジッと見る】

 プニプニ勇者がジッと何かを見ていたので、勇者様には世界の色んな物が珍しく感じるんだろうと従者は思った。

「あれ、なあに?」

 しかし勇者に質問された従者は言葉が出なかった。何故なら何も見えないからだ。

「…どんな形ですか?」

 それでも努力はしてみる従者だった。



【千里眼 好き嫌い】

「千里眼、勇者の様子はどうだ?」

「食事中です」

 千里眼と呼ばれた者は離れた場所にいるプニプニ勇者の姿を捉えていた。

「あッ、ピーマンを残しています」

「好き嫌いはいかん!野菜は健康な体を作るのに必要だ。だが細かく刻んだり好物と合わせたりして楽しく食べる事も大切だ」



【悪夢 勇者】

 夜中にプニプニ勇者が泣き出した。どうやら夢の中で従者が大変な目に遭ったらしい。

「じゅー、ジャーンってなった」

 何度もそう言って泣き出すので従者は大丈夫だと声をかける。自分の事を心配して泣いてくれる勇者に嬉しくなるものの、ジャーンが何なのか気になる従者だった。



【悪夢 従者】

 怪しげな者たちが祭壇上のプニプニ勇者を崇めていた。プニプニ様と呼び、大勢の人々が祈りを捧げる度に勇者は巨大化しプニプニを放出する。そのプニプニの量は膨大で世界は埋め尽くされようとしていた…

「という夢を見ました」

 定宿の宿屋夫妻に従者はそう言った。

 平和である。



【パンダ王国 パンダが王様】

 王に謁見後、侍従長に対して従者は思わず吐露した。

「パンダが王様って何ですか!?ファンタジー通り越してメルヘンじゃないですか!」

 しかし侍従長は穏やかに応える。

「他の国では少々珍しいかもしれませんね」

 パンダ王国の侍従長は、自分の所が普通だと思っている人だった。



【パンダ王国 服は着ない】

 パンダ王国のパンダは動物のパンダとは違う。王族は強い魔力が有り、プニプニ勇者への依頼である王子(仔パンダ)の遊び相手も普通の人間には務まらない。

「服は着ないんですか?」

 従者の質問に侍従長が答える。

「転がる時に邪魔ですから」

(やっぱり普通のパンダじゃないか!)



【パンダ王国 食事】

 食事の時間になり、王子(仔パンダ)には王族専用の竹が、プニプニ勇者には人間の幼児用の料理が並べられた。しかし食事を始めようとした時、侍従の一人が侍従長に耳打ちすると状況が変わった。

「王子が勇者様にも竹を振る舞いたいとこの事です」

 従者は全力で遠慮したいと思った。



【パンダ王国 竹】

 プニプニ勇者はワクワクしながらパンダ王国の王族専用の竹を口に入れたものの、只の竹なので固くて噛めず泣き出した。

「じゅー、たぺて!(従者が食べて)」

 しかし無茶振りされた従者がバリバリと竹を食べると機嫌を直したのである。

 従者には硬い物を食べられる特技があった。



【パンダ王国 パンダ化】

 パンダ王国からプニプニ勇者と従者が帰ってくると、周囲から羨ましく思われた。確かに王子(仔パンダ)と勇者がコロコロする様は微笑ましかったと従者も認めるが、そのせいで問題もあった。

「勇者様、寝転がりながらおやつを食べるのは行儀が悪いですよ」

 勇者のパンダ化である。



【食いしん坊】

 おやつがもっと食べたいというプニプニ勇者に対して従者が意見する。

「勇者様、そんなに食べると食いしん坊キャラだと思われますよ」

 その一言に対して冒険者たちは思った。

(違うの!?)

 従者は気付いていなかったが、冒険者たちの間で勇者は既に食いしん坊キャラなのである。



【トイレ】

「勇者様、トイレ行きましょうか?」

「ない」

「そんなこと言って、この前も第二形態になった後に騒ぎ出したでしょう?」

「ぷー!」

「行ってみて出なかったら、すぐ戻りましょうね」

 長時間掛かるボス戦の前に、プニプニ勇者をトイレに連れて行くことは従者の大事な仕事である。



【人違い】

「じゅー、だっこ」

 そう言ってプニプニ勇者が足にしがみ付いたのは別人だった。

「どうしたんだい?」

「お?」

「勇者様、俺はこっちですよ」

 すぐ傍で買い物をしていた従者は苦笑して勇者を抱っこした。

 従者の偽物はすぐに分かったのに、一般人とはよく間違える勇者だった。



【プニプニ当てゲーム】

 プニプニ勇者は全身がプニプニしているので、それに着目したプニプニ当てゲームが作られた。

 目隠しした回答者は人差し指の感触だけで体の部位を当てるのである。

「どこのプニプニだ?」

「この柔らかさは頬!と見せかけてお腹!」

「残念。腕でした」

 難易度は高い。



【見習い僧兵 驚愕】

「お前の実力なら楽勝だって」

 ダンジョンの前で尻込みする見習い僧兵を、別の僧兵が説得していた。

「見ろよ、あんな小さい子もいるぞ」

「どうせエルフだろ」

 しかし従者に手を引かれた二頭身でオムツ姿のプニプニ勇者を見た瞬間、見習い僧兵は驚愕の余り自信の無い事を忘れた。



【見習い僧兵 色んな役割】

 プニプニ勇者のクエストに飛び入り参加した見習い僧兵だが、魔物のレベルが高くて何もできずにいた。そんな中、勇者の手を引いた従者に仕事を頼まれる。

「冒険者さんたちに勇者様が飛びつこうとしたら止める仕事です」

 人には色んな役割があるのだなと見習い僧兵は思った。



【射手 迷子】

 射手は一匹狼の癖で誰にも告げずに斥候に出た。しかしそれが間違いだった。プニプニ勇者が気付き騒ぎ出したのだ。

「ちゃちゅ、ない、まいご!」

「射手さんが迷子!?」

「ダンジョン迷子センターに連絡して!」

「盗賊とレンジャーは捜索に出るぞ!」

 迷子扱いになっていた。



【風呂】

 水遊びをしたプニプニ勇者は帰ってからもご機嫌だったので、従者は勇者の苦手な事を提案してみた。

「この後はお風呂にしましょうか?」

「やー」

 どちらもパシャパシャするのに水遊びと風呂と何がそんなに違うのかと思いながら、従者はトタトタ逃げ回る勇者を追いかけるのだった。



【ハロウィン カボチャの魔物】

 カボチャの魔物が現れた!

 プニプニ勇者は小さな手に収まる小ぶりで軽くて可愛い剣をブンブンした!

 ダメージ0だ!

「お?」

「勇者様、魔物じゃないから大丈夫ですよ。収穫祭の飾り物です」

 説明されても分からない勇者だったが、頑張ったので従者に抱っこしてもらう事にした。



【ハロウィン 収穫祭の菓子】

 甘い物に興味のない二人の冒険者が菓子の話をしているので、別の冒険者が理由を尋ねると、その場に衝撃が走った。

“収穫祭の日にプニプニ勇者が仮装をして菓子を貰いに来るらしい”

 回復薬は潤沢にあっても菓子は持っていない冒険者たちは、急いで市場へ菓子を買いに行くのだった。



【ドングリ】

 プニプニ勇者はドングリを拾っていた。小さな手でドングリを掴み、従者に渡す。

「いっぱい拾ってもドングリは余り美味しくないですよ」

 従者は勇者がドングリを食べる為に拾っているのだと思っているがそれは違う。ドングリを拾うのに意味なんかない。落ちてるから拾うのである。



【生命の水】

 プニプニ勇者は生命の水を運ぶ事になった。

「できる。たーちょぷ」

 水の入った器を揺らさないように気を付けてはいるが、ヨチヨチ歩くと安定せずに零れてしまい、聖なる樹に辿り着いた時には、水は全て無くなっていた。

「次は距離を半分にしましょう」

 守長の英断が下された。



【落ち葉】

「勇者様ー」

 従者がプニプニ勇者に声を掛けたが反応が無かった。勇者は何かに夢中になると、従者の声も聞こえなくなる。今回は色とりどりの落ち葉を勇者なりに種類分けしているようだ。

「そろそろ、ご飯にしましょう」

「ごっはん!」

 しかし食べ物関係の言葉は聞こえるようだ。



【ハロウィン プニプニの魔物】

 収穫祭の日、射手の所に仮装したプニプニ勇者がやってきた。縦長のカボチャに小さな頭と手足がチョコチョコと出ている。

「変わった魔物だな」

 そう言って射手が菓子を渡すと、プニプニカボチャは嬉しくてムギュッとしがみ付き、余りのプニプニさに射手の魂は昇天したのだった。


読んで頂き、ありがとうございます。


こちらはツイッターでほぼ毎日更新しております。ご興味がありましたら、ツイッターで #プニプニ勇者 と検索すれば出てきますので、ご覧頂けると幸いです。


まだ続きますので、次回もよろしくお願いします。

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