2023年11月弐分 折れた緑流刀
X(旧:Twitter)で投稿しているプニプニ勇者の140字の物語です。
【登場人物】
プニプニ勇者:二頭身でオムツ姿のプニプニで幼児な勇者。
従者 :勇者のお世話係。
新米狩人 :冒険者になったばかりの若者。しっかり者。
緑流刀 :勇者のお気に入りの枝。
定宿兼食堂 :勇者や冒険者たちが冒険の拠点にしている宿屋。裏庭がある。
裏庭 :宿屋の裏にある勇者の遊び場。冒険者たちの鍛錬場もある。
千里眼と主 :勇者の動向を探る二人。遠地にいる。
王 :ある国の王。偶に勇者が遊びにくる。
新人伝令 :王からの手紙を勇者に伝える任に新しく着いた者。
白い警備犬 :賢く性格の穏やかな警備の仕事をしている犬。モフモフ。
警備兵 :街の警備をしている者。警備犬の飼い主。
【暖かい布団】
「勇者様、お布団をギュッとして下さい」
「ぎゅー」
従者から渡された布団を勇者はギュッとする。
「フワフワでしょう?」
「ぷわぷわ」
「暖かいでしょう?」
「あっちゃか」
「じゃあ、寝ましょう」
「ねむ、ない」
布団はフワフワで暖かいが、それだけでは眠らない勇者だった。
※「暖かい」と「温かい」で迷ったのですが、今回は「暖かい」を採用しました。布団自体の温度ではなく、布団を掴んだ時に体の温度が上がるという意味合いで使用したかったからです。ご了承下さい。
【落ち葉の違い】
「この赤いのですか、勇者様?」
「ちじゃうー」
従者はプニプニ勇者が落とした落ち葉を探していた。
「これですか?」
「なーい」
落ち葉は辺り一面に落ちている。
「あ、こっちの黄色いの?」
「ちじゃうの」
(どれも同じに見える…)
勇者にしか分からない違いがあるらしい。
【千里眼 転がる理由】
「勇者に関して疑問があります」
「何だ?」
千里眼は主に記録晶の映像を見せながら説明する。
「この様に、突然転がり出す事があるのです」
「何か理由があるのかも知れないな」
「今後はその要因を探ります」
「頼んだぞ」
プニプニ勇者は今日も突然転がっていた。
『こよこよー』
【折れた緑流刀】
パキッ。
緑流刀が軽い音を立てて折れた。
「お?」
半分になった緑流刀を持ち、プニプニ勇者は従者の所へ走る。
「折れちゃったんですか?」
「りょーりゅーとー」
「代わりを持ってきますね」
緑流刀は勇者のお気に入りの枝だ。そしてお気に入りの枝は他にもいっぱいあるのだ。
【忘却】
「勇者様、見ーつけた!」
従者はかくれんぼ中のプニプニ勇者を見つけ、声を掛ける。
「みちゅけた?」
しかし勇者は不思議そうな顔をした。
「どっこー?」
そしてキョロキョロし始める。
(かくれんぼしてたの忘れてるー!?)
自分から始めたかくれんぼを勇者は忘れていた。
【竜の鱗】
「勇者、竜の鱗を王がお借りしたいとの事です」
「るー」
「鱗は手のひら位で」
「てって」
「丸く」
「まりゅ」
「キラキラと光り」
「きりゃきりゃ」
「この辺にあるはずなんだけどな?」
「急がなくても大丈夫ですよ」
従者が竜の鱗を探す間、プニプニ勇者と遊ぶ新人伝令だった。
【寒さと頬っぺた】
「寒いから気を付けないとね」
「風邪を引かないようにね」
従者と新米狩人に冷風が吹きつける。
「それもだけど、勇者様がすぐに頬っぺたをくっつけちゃうんだ」
「ちべたい」
「勇者様、頬っぺたが赤くなりますよ?」
プニプニ勇者は冷たいものに頬をくっつけるのが大好きなのだ。
【白い警備犬 勇者の靴】
「ぱぽろーりゅ」
ワン!
プニプニ勇者はモフモフの白い警備犬と街を巡回中だ。
ワン!
突然、白い警備犬が引き返して何かを持ってきた。
「え、勇者様の靴?」
「くっつ」
「普通に歩いていただけなのに何で靴が脱げるんですか、勇者様?」
「お?」
勇者にはよくある事である。
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