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プニプニ勇者140字小説  作者: 屑屋 浪
206/300

傑作選「勇者と従者(03)

X(旧:Twitter)で投稿しているプニプニ勇者の140字の物語です。

今回は「勇者と従者」中心の話をまとめた第三弾になります。


【登場人物】

プニプニ勇者:二頭身でオムツ姿のプニプニで幼児な勇者。

従者    :勇者のお世話係。


戦士    :勇者のクエストのメンバー。戦闘が得意。

狩人    :勇者のクエストのメンバー。探索が得意。

射手    :凍撃の矢と恐れられている冒険者。勇者大好き。

忍     :大陸にやってきた忍術を使う冒険者。

冒険者たち :冒険を生業とする人々。勇者と共にクエストをする事が多い。


定宿兼食堂 :勇者や冒険者たちが冒険の拠点にしている宿屋。裏庭がある。

裏庭    :宿屋の裏にある勇者の遊び場。冒険者たちの鍛錬場もある。

市場    :食物、日用品、冒険用アイテムまで、何でも揃っている便利な場所。

【朝の日課】

「おはようございます、勇者様」

「おぱよーごじゃます」

 起きてきたプニプニ勇者に従者が挨拶する。

「元気ですか?」

「げんきー」

「痛い所はないですか?」

「ない」

「プニプニしてますか?」

「してゆ」

「じゃあ、ごはんにしましょう」

「ごっはん」

 これが朝の日課(にっか)である。



【洗顔】

「勇者様、(かお)を洗いましょう」

 従者に(うなが)され、プニプニ勇者は小さな手で水を(すく)い、(かお)にパシャパシャと水を掛け、()っぺたをこする。

「てきた」

 終わったので勇者はその場を離れようとした。

「勇者様、(かお)()きましょう」

「お?」

 (かお)を洗うの中に「()く」が入っていなかった。



【壁】

「やー!」

 プニプニ勇者は何度もジャンプしては(かべ)にくっついていた。

「何してるんですか、勇者様?」

「そっと」

「窓から外が見たいんですか?」

「おー!」

 従者が持ち上げて外を見せたが、その後も度々(かべ)にペタリとくっつく勇者が目撃されるようになったのだった。

「やー!」



【名前の確認】

「よお、プニプニ」

「ちゃちゅだー」


「遊びに来たよ、プニリン」

「あちょぼー」


「プニプニ殿、修行する也」

「ちゅぎょう」


「勇者様の名前は“プニプニ”じゃなくて“勇者”ですよ」

「ゆうちゃ」


 プニプニ勇者が名前を間違って(おぼ)えないように、時々確認する従者である。



【右】

「勇者様、スプーンを持つ手が(みぎ)…」

 従者はプニプニ勇者に「(みぎ)」を教えていた。

「みぎゅ」

 しかし勇者は気分でスプーンを持つ手を変えるので、これでは混乱してしまう。

「こっちゅ?」

 考えた後に従者は言った。

「伝説の剣をブンブンする方が(みぎ)です」

 勇者っぽくしてみた。



【確認】

「勇者様、食べ終わりました?」

「たぺた」

 ご飯の後のプニプニ勇者に従者は質問する。

「お(くち)の中に残ってませんか?」

「ない」

「本当に残ってないですか?」

「なーい」

 勇者の頬っぺたは(から)っぽでも何かが入ってるみたいにプニプニしているので、何度も確認されてしまうのだ。



【立ち上がる】

「びゃ!」

 クエストに向かう途中、プニプニ勇者は(ころ)んでしまった。

「あ!」

 いつもならビックリして泣いてしまうが、冒険で(あたま)がいっぱいの勇者は違う。

「ぼーけん!」

 すぐに立ち上がり再び歩き出す。従者はその姿に驚き、思うのだった。

(何でそんなに冒険好きなんですか?)



【後ろ】

「じゅー、どこー?」

 プニプニ勇者が前を歩いていると、時々従者がいなくなったと思い、探し始める事がある。

(すぐ後ろにいるのに)

 不思議である。

「勇者様、ここですよ」

 しかし声を掛けると嬉しそうに()け寄ってくる勇者を見て、そんな事はどうでも良くなる従者だった。



【タイミング】

「勇者様ー」

 従者が呼ぶと、少し(はな)れた場所にいたプニプニ勇者はトコトコと走ってきた。

「じゅー」

 従者は身構(みがま)える。何故なら勇者はスピードを(ゆる)めることなく突進(とっしん)してくるのだ。タイミングを見計(みはか)い、素早く抱っこするしかない。

「ごっちゅん!」

 見誤(みあやま)った場合は(はな)が痛くなる。



【楽しい】

「えーい!」

 買い物中、従者に抱っこされたプニプニ勇者は、突然(とつぜん)大きな声を出した。

「どうしました、勇者様?」

 驚いて従者が尋ねる。

「おー!」

 勇者は笑顔(えがお)でキョロキョロしていた。

「ぴゃー!」

「ああ、楽しいんですね」

「やー!」

 楽しいと一人で(しゃべ)り出す勇者だった。



【ループ】

「じゅー、こえ」

 プニプニ勇者がお菓子を指差(ゆびさ)した。

「これは部屋のお菓子入れにありますよ」

 勇者を抱っこした従者が応える。

「こえは?」

「これもありますよ」

「お?」

 勇者は不思議そうに従者の(かお)を見ると、またお菓子を指差(ゆびさ)した。

「じゅー、こえ」

(元に戻った!)



【甲冑】

「勇者様」

「じゅ-?」

 従者の声がしたが、どこにも見つからなくてプニプニ勇者はキョロキョロした。

「ここですよ」

「どこー?」

 勇者はトコトコと探し回るが、実は近くにいたのである。

「じゅー?」

()の前ですよ」

 しかし従者が試着した甲冑(かっちゅう)のせいで分らない勇者だった。



【変身】

「かえりー」

 クエストを終え、プニプニ勇者と従者は宿に戻った。

「勇者様、着替(きが)えましょう」

「やー」

 勇者がトコトコ逃げだすので言い方を変える。

「勇者様、変身しましょう」

「へんちゅん」

「はい、バンザイ」

「ばんじゃーい」

 内容は同じなのに着替(きが)えてくれるのだった。



【おでかけ】

「勇者様、食堂に行きましょう」

 料理方に用事があった従者はプニプニ勇者を呼んだ。

「いくー」

 勇者はトコトコ走ってきて尋ねた。

「おでかっけ?おでかっけ?」

「食堂に行くだけですよ?」

 しかし(すで)に出かける気になっている勇者の為に、少しだけ散歩する事にした従者だった。



【スキップ】

「ぴゃー!ぴゃー!」

 散歩してると、プニプニ勇者がピョンピョンとジャンプしだした。しかも何となくリズムが付いているように思える。

「勇者様、ジャンプ楽しいですか?」

 従者が不思議に思って聞くと、勇者は得意気(とくいげ)に答えた。

「ちゅきぷ!」

(もしかしてスキップだった!?)



【従者の食事】

「いただきます」

 用事で遅くなった従者が一人で夕食を()り始めるとプニプニ勇者が寄ってきた。

「じゅー、ごっはん?」

 勇者は隣に座らせてもらい、従者を(なが)める。

「ゆっくよ(ゆっくりよ)」

「よーかんれ(良く()んで)」

 そしていつも従者に言われる言葉を真似(まね)するのだった。



【冒険の前日】

 プニプニ勇者が従者に尋ねる。

「あちた、ぼーけん?」

「そうですよ。だから早く寝ましょうね」

 勇者は頷いたが、布団に入らずに「ぼーけん!ぼーけん!」と元気に()け回り始めた。

「寝ないと明日になりませんよ、勇者様」

 勇者あるある「冒険の前日は嬉しくて寝ない」である。



【呪文の対応】

「あちょらっぱー」

 勇者が従者にくっついて呪文を(とな)えた。しかし従者は冷静に対応する。

「勇者様、眠いなら寝て下さい」

「じゃっぱにゃー」

「勇者様、その状態はお気に入りの毛布をギュッとして、布団に(ころ)がったら解決しますから」

「あじゃらー」

 今日も眠気と戦う勇者だった。



【冒険の朝】

(持ち物の点検(てんけん)をしてから寝よう)

 クエストの前夜、従者は冒険のアイテムを確認しようとしたが考え直した。

(あ、でも早く寝ないと!)


「じゅー、おっき!」

「…おはようございます、勇者様」

 何故なら、当日は冒険ではしゃぐプニプニ勇者により、朝早く起きる事になるからだ。


※この話は書き下ろしになります。冒険の日は特に朝が早いのです。



【古木のメダル】

「勇者様、古木(こぼく)のメダルです」

 従者は掃除中に見つけた物を渡す。

「戦士さんや狩人さんと初めて一緒に冒険した時に獲得(かくとく)したアイテムです」

「ぼーけん」

「来年もいっぱい冒険しましょうね」

 そしてアグアグするプニプニ勇者からメダルを返してもらい、大事に保管する従者だった。



※お読み頂き、ありがとうございます!

楽しみにしてくださっている皆様も、初めての方も、お読み頂き、ありがとうございます!

気に入ったものがございましたら、ブックマーク、評価、いいね、感想など、少しでも反応を頂けると励みになります。


まとめて欲しいキャラがございましたら、小説家になろう、X(旧:Twitter)、マシュマロでリクエスト受け付けておりますので、ご利用ください。


こちらはX(旧:Twitter)でほぼ毎日更新しております。ご興味がありましたら、#プニプニ勇者 と検索してくださると嬉しいです。


2024年も毎週更新できるように頑張りますので、よろしくお願い致します!

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