傑作選「勇者と従者(03)
X(旧:Twitter)で投稿しているプニプニ勇者の140字の物語です。
今回は「勇者と従者」中心の話をまとめた第三弾になります。
【登場人物】
プニプニ勇者:二頭身でオムツ姿のプニプニで幼児な勇者。
従者 :勇者のお世話係。
戦士 :勇者のクエストのメンバー。戦闘が得意。
狩人 :勇者のクエストのメンバー。探索が得意。
射手 :凍撃の矢と恐れられている冒険者。勇者大好き。
忍 :大陸にやってきた忍術を使う冒険者。
冒険者たち :冒険を生業とする人々。勇者と共にクエストをする事が多い。
定宿兼食堂 :勇者や冒険者たちが冒険の拠点にしている宿屋。裏庭がある。
裏庭 :宿屋の裏にある勇者の遊び場。冒険者たちの鍛錬場もある。
市場 :食物、日用品、冒険用アイテムまで、何でも揃っている便利な場所。
【朝の日課】
「おはようございます、勇者様」
「おぱよーごじゃます」
起きてきたプニプニ勇者に従者が挨拶する。
「元気ですか?」
「げんきー」
「痛い所はないですか?」
「ない」
「プニプニしてますか?」
「してゆ」
「じゃあ、ごはんにしましょう」
「ごっはん」
これが朝の日課である。
【洗顔】
「勇者様、顔を洗いましょう」
従者に促され、プニプニ勇者は小さな手で水を掬い、顔にパシャパシャと水を掛け、頬っぺたをこする。
「てきた」
終わったので勇者はその場を離れようとした。
「勇者様、顔を拭きましょう」
「お?」
顔を洗うの中に「拭く」が入っていなかった。
【壁】
「やー!」
プニプニ勇者は何度もジャンプしては壁にくっついていた。
「何してるんですか、勇者様?」
「そっと」
「窓から外が見たいんですか?」
「おー!」
従者が持ち上げて外を見せたが、その後も度々壁にペタリとくっつく勇者が目撃されるようになったのだった。
「やー!」
【名前の確認】
「よお、プニプニ」
「ちゃちゅだー」
「遊びに来たよ、プニリン」
「あちょぼー」
「プニプニ殿、修行する也」
「ちゅぎょう」
「勇者様の名前は“プニプニ”じゃなくて“勇者”ですよ」
「ゆうちゃ」
プニプニ勇者が名前を間違って憶えないように、時々確認する従者である。
【右】
「勇者様、スプーンを持つ手が右…」
従者はプニプニ勇者に「右」を教えていた。
「みぎゅ」
しかし勇者は気分でスプーンを持つ手を変えるので、これでは混乱してしまう。
「こっちゅ?」
考えた後に従者は言った。
「伝説の剣をブンブンする方が右です」
勇者っぽくしてみた。
【確認】
「勇者様、食べ終わりました?」
「たぺた」
ご飯の後のプニプニ勇者に従者は質問する。
「お口の中に残ってませんか?」
「ない」
「本当に残ってないですか?」
「なーい」
勇者の頬っぺたは空っぽでも何かが入ってるみたいにプニプニしているので、何度も確認されてしまうのだ。
【立ち上がる】
「びゃ!」
クエストに向かう途中、プニプニ勇者は転んでしまった。
「あ!」
いつもならビックリして泣いてしまうが、冒険で頭がいっぱいの勇者は違う。
「ぼーけん!」
すぐに立ち上がり再び歩き出す。従者はその姿に驚き、思うのだった。
(何でそんなに冒険好きなんですか?)
【後ろ】
「じゅー、どこー?」
プニプニ勇者が前を歩いていると、時々従者がいなくなったと思い、探し始める事がある。
(すぐ後ろにいるのに)
不思議である。
「勇者様、ここですよ」
しかし声を掛けると嬉しそうに駆け寄ってくる勇者を見て、そんな事はどうでも良くなる従者だった。
【タイミング】
「勇者様ー」
従者が呼ぶと、少し離れた場所にいたプニプニ勇者はトコトコと走ってきた。
「じゅー」
従者は身構える。何故なら勇者はスピードを緩めることなく突進してくるのだ。タイミングを見計い、素早く抱っこするしかない。
「ごっちゅん!」
見誤った場合は鼻が痛くなる。
【楽しい】
「えーい!」
買い物中、従者に抱っこされたプニプニ勇者は、突然大きな声を出した。
「どうしました、勇者様?」
驚いて従者が尋ねる。
「おー!」
勇者は笑顔でキョロキョロしていた。
「ぴゃー!」
「ああ、楽しいんですね」
「やー!」
楽しいと一人で喋り出す勇者だった。
【ループ】
「じゅー、こえ」
プニプニ勇者がお菓子を指差した。
「これは部屋のお菓子入れにありますよ」
勇者を抱っこした従者が応える。
「こえは?」
「これもありますよ」
「お?」
勇者は不思議そうに従者の顔を見ると、またお菓子を指差した。
「じゅー、こえ」
(元に戻った!)
【甲冑】
「勇者様」
「じゅ-?」
従者の声がしたが、どこにも見つからなくてプニプニ勇者はキョロキョロした。
「ここですよ」
「どこー?」
勇者はトコトコと探し回るが、実は近くにいたのである。
「じゅー?」
「目の前ですよ」
しかし従者が試着した甲冑のせいで分らない勇者だった。
【変身】
「かえりー」
クエストを終え、プニプニ勇者と従者は宿に戻った。
「勇者様、着替えましょう」
「やー」
勇者がトコトコ逃げだすので言い方を変える。
「勇者様、変身しましょう」
「へんちゅん」
「はい、バンザイ」
「ばんじゃーい」
内容は同じなのに着替えてくれるのだった。
【おでかけ】
「勇者様、食堂に行きましょう」
料理方に用事があった従者はプニプニ勇者を呼んだ。
「いくー」
勇者はトコトコ走ってきて尋ねた。
「おでかっけ?おでかっけ?」
「食堂に行くだけですよ?」
しかし既に出かける気になっている勇者の為に、少しだけ散歩する事にした従者だった。
【スキップ】
「ぴゃー!ぴゃー!」
散歩してると、プニプニ勇者がピョンピョンとジャンプしだした。しかも何となくリズムが付いているように思える。
「勇者様、ジャンプ楽しいですか?」
従者が不思議に思って聞くと、勇者は得意気に答えた。
「ちゅきぷ!」
(もしかしてスキップだった!?)
【従者の食事】
「いただきます」
用事で遅くなった従者が一人で夕食を摂り始めるとプニプニ勇者が寄ってきた。
「じゅー、ごっはん?」
勇者は隣に座らせてもらい、従者を眺める。
「ゆっくよ(ゆっくりよ)」
「よーかんれ(良く噛んで)」
そしていつも従者に言われる言葉を真似するのだった。
【冒険の前日】
プニプニ勇者が従者に尋ねる。
「あちた、ぼーけん?」
「そうですよ。だから早く寝ましょうね」
勇者は頷いたが、布団に入らずに「ぼーけん!ぼーけん!」と元気に駆け回り始めた。
「寝ないと明日になりませんよ、勇者様」
勇者あるある「冒険の前日は嬉しくて寝ない」である。
【呪文の対応】
「あちょらっぱー」
勇者が従者にくっついて呪文を唱えた。しかし従者は冷静に対応する。
「勇者様、眠いなら寝て下さい」
「じゃっぱにゃー」
「勇者様、その状態はお気に入りの毛布をギュッとして、布団に転がったら解決しますから」
「あじゃらー」
今日も眠気と戦う勇者だった。
【冒険の朝】
(持ち物の点検をしてから寝よう)
クエストの前夜、従者は冒険のアイテムを確認しようとしたが考え直した。
(あ、でも早く寝ないと!)
「じゅー、おっき!」
「…おはようございます、勇者様」
何故なら、当日は冒険ではしゃぐプニプニ勇者により、朝早く起きる事になるからだ。
※この話は書き下ろしになります。冒険の日は特に朝が早いのです。
【古木のメダル】
「勇者様、古木のメダルです」
従者は掃除中に見つけた物を渡す。
「戦士さんや狩人さんと初めて一緒に冒険した時に獲得したアイテムです」
「ぼーけん」
「来年もいっぱい冒険しましょうね」
そしてアグアグするプニプニ勇者からメダルを返してもらい、大事に保管する従者だった。
※お読み頂き、ありがとうございます!
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