2023年10月参分 新技くるくる
X(旧:Twitter)で投稿しているプニプニ勇者の140字の物語です。
【登場人物】
プニプニ勇者:二頭身でオムツ姿のプニプニで幼児な勇者。
従者 :勇者のお世話係。
戦士 :勇者のクエストのメンバー。戦闘が得意。
新米剣士 :空回り気味だが頑張っている冒険者。
冒険者たち :冒険を生業とする人々。勇者と共にクエストをする事が多い。
定宿兼食堂 :勇者や冒険者たちが冒険の拠点にしている宿屋。裏庭がある。
裏庭 :宿屋の裏にある勇者の遊び場。冒険者たちの鍛錬場もある。
主人とおかみ:勇者の定宿を営んでいる宿屋の夫妻。
料理方 :勇者の定宿兼食堂の料理担当。
猫姿の精霊 :宿屋の裏庭で勇者を守護してる精霊。
猫 :猫姿の精霊の眷属。近所に住んでいる。
王 :ある国の王。偶に勇者が遊びにくる。
家臣 :王の家来。
新人伝令 :王からの書簡を勇者に伝える任に新しく着いた者。
封印師 :封印する事を生業にしている者。
【リンゴの謎】
「たーいま」
凍える日、プニプニ勇者と従者が食堂へ帰ってきた。
「勇者ちゃん、寒かった?」
「ちゃむ、ない」
そんな勇者を見ていた冒険者たちの心にある事が浮んだ。
「リンゴが食べたいな」
「何でだろう?」
寒くて赤くなった勇者の頬っぺたがリンゴを連想させたのだった。
【新人伝令】
「勇者とはどんな方ですか?」
初めて王の書簡を届ける新人伝令は家臣に尋ねた。
「会えば分かる」
「ですが…」
「楽しく走り回り」
「え?」
「食事を美味しく食べ」
「はあ」
「お昼寝もする」
「?」
プニプニ勇者を見て、その言葉の意味を理解する新人伝令だった。
「ぴゃー」
【新技くるくる】
「勇者様の新しい技を見て下さい」
従者がプニプニ勇者を連れてきた。
「勇者様、クルクルです」
「くゆくゆー」
勇者がそう言ってクルリと回転するのを見た冒険者たちは思った。
(一回転までちょっと足りないー!)
「くゆくゆー」
しかし勇者のクルクルはこれで完成形なのだ。
【伝言】
「勇者からの伝言だ!」
裏庭から飛び込んできた新米剣士は従者へ言った。
「伝言?」
「おやつが食べたいと言っている」
「おやちゅ」
「うん」
「おやつはパンが良いらしい」
「ぱん」
「パンね」
新米剣士に抱っこされたプニプニ勇者も一緒に喋るので、伝言になっていなかった。
【猫を呼ぶ】
≪集合≫
<はーい>
猫姿の精霊が呼ぶと、眷属である猫たちは集まる。
「おいれー」
<ねむーい>
<こんどねー>
しかし元来、猫は自由な生き物なので、プニプニ勇者が呼んでも来ない。
<ゆうしゃ、ここでひなたぼっこしよー>
「しゅるー」
逆に勇者が猫に呼ばれる方が多い。
【暖炉の準備】
「暖炉の準備をしないとね」
宿のおかみの呟きに応えて、戦士が裏庭で薪割りをしていた。
「ゆうちゃもー」
柵から覗くプニプニ勇者がせがむ。
「ほら」
戦士が薪を一本渡すと、勇者は小さくて軽い丸みのある剣をブンブンし始めた。
「ちゃー!」
当たらなくても薪割りである。
【スープの具材】
「勇者、夕食は温かいスープにしようか?」
「しゅーぷ」
料理方の問い掛けにプニプニ勇者が応える。
「具材は何がいい?」
「たまこ」
「卵」
「にょこ」
「キノコ」
「ろんきゅり」
「ドングリ」
(本当にその具材にしないよね…?)
ドキドキしながら話を聞く冒険者たちだった。
【勇者の封印】
「これで魔物を封印できます」
封印師は村人に特殊な紙を渡した。
「勇者の封印です」
「でも線がグニャグニャですよ?」
不安な村人に封印師は言う。
『らーるーりゃー♪』
「勇者が楽しく描いたので大丈夫です!」
プニプニ勇者に描いてもらった封印紙を持ち歩く封印師だった。
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