2019年07月分 警戒のプニプニ
ツイッターで投稿しているプニプニ勇者の不連続なお話です。
※2023年修正版です。
【登場人物】
プニプニ勇者:二頭身でオムツ姿のプニプニな幼児な勇者。
従者 :勇者のお世話係。
戦士 :勇者のクエストのメンバー。戦闘が得意。
レンジャー :探索を得意とする冒険者。
剣士 :剣を主武器とする冒険者。
冒険者たち :冒険を生業とする人々。勇者と共にクエストをする事が多い。
定宿兼食堂 :勇者や冒険者たちが冒険の拠点にしている宿屋。裏庭には勇者の遊び場がある。
宿屋の夫妻 :勇者の定宿を営んでいる夫婦。
猫姿の精霊 :宿屋の裏庭で勇者を守護してる。
ダンジョン迷子センター:ダンジョンで迷った冒険者を救助する組織。ダンジョン内の探索もしている。
エルフ :森林と共に生き魔法に優れる長命の種族。
大地の神殿の守護者:大地の神殿を守護する者。神殿に入る者に試練を与える。
【勇者の剣】
「ビクともしないな」
勇者しか抜けない剣があり、従者が試したが微かにも動かない。
「ゆうちゃも」
プニプニ勇者もやってみたいと言うので、従者が抱えると小さな両手で剣を掴み、スッと抜いてしまった。
「勇者様、お手手離しましょうね」
とりあえず元に戻しておく事にした。
【踊る】
「戻りました」
「じゅー!」
出掛けていた従者は、その間のプニプニ勇者の様子を宿のおかみに尋ねた。
「泣きませんでした?」
「大丈夫よ」
「ご飯は?」
「食べたわ」
「トイレは?」
「安心して」
「踊ってました?」
「ええ」
「良かった」
勇者は機嫌が良いと踊るのである。
【プニプニ具合】
「勇者様、いつもと違いませんか?」
プニプニ勇者について従者は宿の主夫妻に相談した。
「普通よ」
「こんなもんだろ」
しかし夫妻には何が違うのか分らない。
「だっていつもよりプニプニが多いんですよ!」
従者は勇者のプニプニの量まで気になるようになっていた。
「お?」
【床ごっこ】
従者が気付くとプニプニ勇者が床にうつ伏せになっていた。慌てて駆け寄ると勇者は言った。
「ゆうちゃ、ゆかよ!」
「は?」
戸惑っていると重ねて言う。
「ゆかなの!」
どうやら床になりきる遊びらしいと分かりホッとしたが、踏みそうなので早く飽きて欲しいと願う従者だった。
【出番なし】
ダンジョン攻略中、狭い通路の前で悩んでいると戦士が言った。
「勇者なら通れるんじゃないか?」
「そうだ、勇者なら!」
見るとプニプニ勇者はお菓子をアグアグしていた。
「おいちー」
最初から危険な事をさせるつもりはないので、その様子をのどかに眺める冒険者たちだった。
【転ぶ】
従者の目の前でプニプニ勇者が転んだ。
(あ!)
従者が助けようとしたが勇者は泣かずに立ち上がったので胸を撫で下ろす。
(良かった)
しかしその後、従者と目が合った勇者は首を振って否定した。
「ちじゃうの」
「何が!?」
どうやら転んだ件を無かった事にしたいらしい。
【ダンジョン迷子センター 放送】
“ピンポンパンポン♪”
ダンジョンでプニプニ勇者と逸れた従者に放送が聞こえた。
”二頭身でオムツ姿のお子様をお預かりしております。お連れ様はダンジョン迷子センターまでお越し下さい”
”くらしゃい”
ダンジョン迷子センターは迷子の冒険者を保護してくれるありがたい組織である。
【ダンジョン迷子センター 帰る】
ダンジョン迷子センターは大人ばかりなので、プニプニ勇者が保護されると、スタッフはもちろん冒険者もちやほやしてくれるので勇者はご機嫌だ。
「ぴゃー!」
「迎えに来ましたよ、勇者様!」
「じゅー!」
「さあ帰りましょう」
「やーなの」
だから帰りは駄々をこねる勇者だった。
【水遊び】
プニプニ勇者と従者が歩いていると子供たちが噴水で遊んでいた。暑さが厳しいので涼しそうである。
「勇者様も水遊びしますか?」
そう声を掛けたが勇者はいない。まさかと思って見ると既に噴水の中だった。
「ぴゃー!」
こんな時の勇者は素早い。
「せめて靴を脱いで下さい…」
【ふわふわパン】
プニプニ勇者を抱っこして歩いていた従者は、自分の服を掴むためにギュッと握っている勇者の手を見て思った。
「勇者様の手はふわふわパンみたいですね」
するとパンという単語に反応した勇者はキョロキョロする。
「パンどこー?」
「どこでしょうね?」
従者は思わず微笑んだ。
【沈黙】
「勇者様、これから行くところは口を閉じてないといけません。できますか?」
従者が聞くとプニプニ勇者は頷いた。
「できる」
そして小さな両手で口を押さえた。
「その調子ですよ、勇者様」
喜んだ従者は更に言った。
「次はプニプニを抑えてみましょう!」
注)できません。
【警戒のプニプニ】
「待って下さい!」
探索中に宝箱が現れ、レンジャーが手を伸ばした時、従者が止めた。
「勇者様が警戒のプニプニを出しています!それは罠です」
(警戒のプニプニって何?)
全員がそう思ったが、プニプニ勇者を見るとピーマンを前にした時と同じ顔をしていたので信じる事にした。
【伝説の剣】
戦士の鍛練を見ていたプニプニ勇者が従者に駆け寄ってきた。
「ゆうちゃ、ぶんぶんする!」
従者は小型の剣を取り出す。勇者の小さな手でも持てる小振りで軽るく丸味のある剣だ。
「人や物にぶつけないで下さいね」
それは世界を救った伝説の剣なのだが、今のところ出番はない。
【見えない猫】
「にゃー、いた」
「猫さんと遊んだんですか?良かったですね」
この頃プニプニ勇者は猫の話をする。しかし従者はまだ見た事がない。
(余程の人見知りなんだろうな)
と思う事にしている。
≪怖いから≫
「勇者様、本物の猫なんですよね?」
確認せずにはいられない従者だった。
【アミュレット】
「一族に伝わるアミュレットです。貴方を守ってくれるでしょう」
エルフが聖木で作った飾りを渡すと、プニプニ勇者は不思議そうな顔で受け取った。
「お?」
暫く見つめた後、それをアグアグしだす。
「食べ物じゃないですよ!」
口に入るようなものを勇者へ渡してはいけない。
【眠くない】
プニプニ勇者が欠伸をして目を擦っているので従者が声を掛けた。
「勇者様、布団に入りましょうね」
「(眠く)ない」
そう言って勇者はトタトタと逃げ回るのだが、最後は床の上で眠ってしまうのである。
(素直に寝ればいいのに)
勇者を運びながら従者はいつもそう思うのだった。
【身長制限】
「身長100cm以下だとご利用できないんですよ」
ダンジョンの入り口でそう言われ、プニプニ勇者と従者はまさかの留守番になってしまった。
「勇者様、いってらっしゃいしましょうね」
「やーなの!ゆうちゃもー!」
戦闘力に影響は無いのだが、勇者が駄々をこねて大変だったという。
【肩車】
「抱っこですよ」
川を歩いて渡るため、従者がプニプニ勇者を抱き上げようとした。
「ゆうちゃ、あるく」
しかし歩くと言って聞かない。こうなると頑固だ。
(仕方ない)
従者は奥の手を使う。
「勇者様、肩車しますか?」
「かったくんまー!」
勇者は肩車が大好きなのである。
【試練 保護者同伴】
「大地の神殿に入るなら、勇者は試練を受ける必要があります」
神殿の守護者が告げると、プニプニ勇者を抱っこした従者は不安気に質問した。
「保護者同伴でも良いですか?」
「か?」
「不許可です」
「じゃあ止めます」
「ましゅ」
従者の決断は早かった。
「諦めないで下さい」
【試練 難易度低め】
「あの地点に勇者が到着できれば合格です」
大地の神殿の守護者に従者は説得され、プニプニ勇者は試練を受ける事になった。
「50歩ほどですが、途中、お菓子やオモチャが置いてあるので惑わされないようにして下さい」
「おかしゅ!」
勇者のために試練の難易度は下がっていた。
【お腹の音】
ダンジョンの出口が見つからず、焦りと苛立ちが募る中、従者が皆を集めた。
「聞いて下さい」
何事かと思うと、従者はプニプニ勇者を持ち上げる。
「勇者様のお腹が鳴っています!」
その途端、グググーッという音が響いた。
「ごっはん!」
冒険者たちは食事にしようと思った。
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