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第6話:発端


1つ目の山場です!

ここまで来るのが思ったより早かった・・・。

エレナたちの店に住み込んで働き始めて早くも1か月がたとうとしていた。

仕事にもすっかり慣れ、近所の人たちとも仲良くなることができた。

中には、俺が外から来た、記憶喪失者という情報をどこからか仕入れて、

変な噂も流れてしまったこともあったが、そんなことがある度にエレナとジョゼフが

何度も助けてくれたのだ。

毎日がとても充実している。


ティアナ姫とはあれから全く接触は、ない。

新聞なのでティアナ姫のことが稀に取り上げられているが、それだけだ。

俺が一時期感じていた、懐かしさも気のせいだったのかもしれない。

そう思い始めていたとき、事件は起こった。


「あ、アッシュ!ちょっと!」


アッシュが仕入れた品をきれいに商品棚に並べているとエレナの焦ったような声が呼んだ。


「何ー、どうしたんだよ。おばちゃん」


真っ青な顔になってアッシュを見るエレナの片手には新聞が握りしめられている。


「これ・・・あんたの顔じゃないのかい?」


声が震えている。


「え、どれ?」


エレナが指をさしたのは探し人の欄。

このコーナーでは遭難して行方が分からなくなった人やなんらかの理由で

行方不明になった人の発見を訴えるところだ。

下へ視線を落としていくと、そこに確かにアッシュの顔写真があった。


白黒でわかりにくいが、目ではっきりと確認できる。

写真の下には15歳くらいの少年、捜しています。

と大きく書かれている。


「う、嘘だ。これ、俺じゃないっ」


頭を左右に振って動揺を隠そうとする。


「アッシュ・・・」


「違うっ!人違いだ」


「なんだ、どうした?」


騒ぎを聞きつけて、配達から戻ってきたジョゼフが家に顔を出す。

エレナから新聞を受け取るとみるみると顔が険しくなっていく。


「アッシュ、これはお前だな?」


「違うっ!絶対に!」


ジョゼフの優しい問いかけにも反論する。


「アッシュ、よく聞け」


ジョゼフはアッシュと視線を合わせた。


「これは、アッシュにとっていいことだと思うんだ。この写真を載せた人がお前の母さん

だったら、アッシュは俺らのそばで暮すより、母さんのそばで暮したほうがお前は幸せに

なれる。アッシュだって、記憶を取り戻したかったんだろ?そう聞くといつもお前は否定

していたけど、きっとそう思ってたはずだ。だから・・・」


「俺・・・、ずっとここにいたいよ・・・。ここから離れたくない。絶対いやだ!

絶対、ここから離れないからな!」


そう言って、アッシュは店を飛び出した。

目指しているのはヨハンナたちの家。いやなことがある度にあの家に行っていた。


ヨハンナに助けを求め、一直線に走りぬけていく。

まさか、その奥に絶望が待っているのだということも知らずに・・・。


最後までよんでくださってありがとうございます。

今までは何となく明るい雰囲気だったのですが、

この先からは、シリアスな雰囲気に変っていきます。

まあ、最後に「絶望」なんて予告してあったら

誰でもわかるでしょうけど;


アッシュくんの物語、応援してあげてくださいね

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