第5話:姫
こんにちは〜
今回のは割と楽しく書きました。
皆さんも楽しんでくださいね〜
その後、マルティナを無事に家まで送り届け、店に戻ったのはいいが
あの姫のことが気になって仕方がない。
姫の名前はティアナ。
マルティナが自分の名前と似てるのよ、と言って冗談っぽく笑っていた。
誰だろう。
ずっとその疑問ばかりが頭の中を渦巻いて、仕事にも集中できなかった。
今はお昼休みで、エレナがアッシュのことを気遣って、早めにとってくれたのだ。
なんだか、申し訳ない気持ちでいっぱいになる。
顔でも洗って気分を変えようと思い、洗面所に向かうとエレナが心配そうに
アッシュの方を見ていた。
ジョゼフも同じだ。これ以上、二人に心配はかけたくない。
困ったような顔を鏡の前に映して、力強く顔を拭いた。
わしゃわしゃと髪の毛をまさぐる。
「・・・・よしっ!・・・・」
最後の仕上げに頬を両手で叩いて気合いを入れ、
エレナと入れ替えりに仕事場に戻る。
「無理はするんじゃないよ!」
一言、言われ、大丈夫だというように頷いて元気よくレジの仕事に
とりかかった。
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「はあっ、疲れた!」
やっと閉店時間になり、アッシュが安堵の溜息をつく。
外に出してある商品に丈夫な布を被せて、埃がつかないようにした。
以前、商品を外に出したままにしていて盗まれないのか、とジョゼフに聞いたことが
あるが、ジョゼフは笑って「この街には盗人のような悪者はいないんだよ」
と言っていた。
「おっちゃーん、おばちゃーん。終わったぜ!」
裏口の戸締りをしながら呼びかける。
「おう、お疲れ!今日の晩飯はシチューだ。冷めないうちに食べよう」
「シチュー!やった!」
ジョゼフお手製のイスに座りながら歓声をあげる。
「あのな、今日な、姫様を見たんだ!」
エレナがへえっ!と驚く。
「姫様が街に来てたのかい?珍しいねえ。美人な方だったろ?」
「おうっ!すっげえ美人だった!でも俺さ」
そこでアッシュが言葉を詰まらせると二人は顔を見合せて
優しく微笑んだ。
「どうした?アッシュ?俺らには何でも言うんだぞ」
ジョゼフがシチューを頬張りながら、先を促す。
「姫様に俺、会ったことがあるような気がするんだ。どこでかは分かんねえけど・・・」
「そうか。じゃあ、アッシュが失くした記憶にもしかしたら関係があるのかも
しれないな」
失くした記憶ん中にあのティアナとか言う姫様がいるのか?
もしいるとしたら何で・・・・。
俺が目を覚ましたところは砂漠の真ん中だったんだぞ?
あ─、わっかんねえ!
「今は分からなくていいんだよ。アッシュはアッシュのペースで少しずつ、思い出していけばいいのさ。そうじゃないのかい?」
エレナが空になったアッシュの皿におかわりのシチューを入れながら言った。
「そうだよな!ありがとな、おっちゃん、おばちゃん!」
何かが吹っ切れたようにそういうと元気よくシチューを再度おかわりをした。
読んでくださってありがとうございました!




