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スズラン  作者: 百瀬ユキ
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おわりと、はじまり

初めて書いて投稿します。

とてもドキドキしておりますが最後まで書き切れるように、がんばります!

某年1月下旬、私は会社を解雇された。

何かやらかしたわけじゃない。至ってまじめに、一生懸命、自分なりに努力してきたはずだったが、どうやらそれがいけなかったらしい。


「糸碕さんみたいなタイプは、ちょっとうちの会社には合わなかったみたいだね」


社長に呼び出しを喰らって約30分ほど聞き続けた遠回しな言葉の数々からは、ただシンプルに「辞めてくれ」というメッセージだけが私にきちんと伝わっており、早く帰りたいなあ、ひとりになりたいなあ、と思いながら、ぼんやりと話を聞き流したのち、私は制服をそのまま社長に返し、その場を去った。


外は雪が降っている。雪が降るだなんて、天気予報では聞いていない。マフラーに口元をうずめ、寒さに凍えながら都会の隅を歩く。どうして、今日に限って雪なんだろう。どうして、私は解雇されたんだろう――。

恋人のいないホワイトクリスマスより、ずっとずっとむなしくて、さみしい。


このまま家に帰っても、ひとりぼっちの家で正気を保てる気がしなかったので、私は公園に立ち寄ることに決めた。少しふらふらとした足取りでふと思い浮かんだ近くの公園へと向かう。自販機で温かい飲み物でも買って、ベンチに座って、少しゆっくりしてから帰ろう。夜空の星々はビルに隠れて姿を見せてはくれないけれど、冷たいコンクリートを眺めることしか今の私には出来ないだろう。


公園に入ると土のしゃくしゃくとした音が心地よく響いた。温かいというより熱いくらいの飲み物を自販機で仕入れた私は、ベンチをめがけてひたすら歩く。

すると、か弱い鳴き声が聞こえてくる。それはだんだんと私の耳に近づいてきている。一体なんなんだ。と、考えるまでもなかった。数メートル先に見えるベンチの上にはダンボールの箱。みゃあみゃあという鳴き声は私が歩くたびに力強さを増す。

ああ、捨てられたんだね。私も同じだよ。

会社から、社会から、捨てられてしまったよ。

ダンボールの中には、ボロボロの毛布の上に2匹の子猫。私の目を見て、うるさいほどに鳴いているのに、私はちっともうるさいとは思わなかった。むしろ、なんだか2匹の子猫の鳴く姿が輝いているようにすら見えた。

無心でダンボールごと2匹の子猫を抱え、熱々の飲み物を猫のかわりにベンチに置き、私は自宅アパートへと歩き出す。

これから自分がどうなるか、とか、子猫2匹をどうするか、なんて考える余裕もなく、ただ私は同じ穴の狢を見つけられて、単純にうれしかったんだろう。


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