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I=BLADE  作者: くろのす
無形の剣
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無形の剣【 模擬戦闘 4 】

黒グループの試合場から離れ、歩いているがレイナルドは何も語らなかった。



「…自販機、寄っていいか?」



「ん、いーぞ」



「ジュース、おごってあげるよ、レオが襟掴んだお詫びも兼ねて」



「ほんとに?じゃあコーヒー、ブラックで」



「お、大人だなw」



「大人ですから!」



「大人な割に育つ所育ってないよなw」



「それは身長か?それとも乳か?返答によって貴様の股ぐらの息子が神隠しにあうぞ」



「冗談です。姫さま。」チチて…



私は身長もそんなに高くなく胸も小さい

割と気にしているので、言われたくないのだ。


少しの沈黙の後、レイナルドが口を開いた。



「さっきはレオがすまなかったな…」



「いや、だからレイナルドが謝ることじゃねーって。でもなんであいつあんなに怒ってたんだ?」



「…レオは、ソフィアを傷つけるつもりはなかったと思うんだ。」



レイナルドは続ける。



「レオは昔から、災厄の魔術師の末裔って肩書きを背負わされて生きている…迫害も凄かった。

大人たちから避けられ、子供から恐れられ、あいつが頼れるのは自分の育て親である祖父母だったんだよ。

俺の親はレオと一緒にいる事を何も怒らなかった、むしろ味方をしてやれとずっと言われていた。」



「…。」



私はコーヒーを飲みながらレイナルドの話を聞いていた。

その際、時計を見たがまだ試合には時間があったから、レイナルドの話を真剣に聞いた。



「レオは小さい頃ずっと泣き虫で、俺がずっと守ってやってたんだ。そんな俺を「レイナルドって言いにくいし長いし《 レイ 》って呼ぶね!」とか言って、ずっと頼りにしてくれていた。

でもある日、レオを守る俺が気にくわない奴らが俺を潰しにきた。

多勢に無勢、俺はあっけなく倒された。だが、そこにレオが現れたんだ。


「やめろー!」て言いながらそいつらと、俺の間に割って入った。「これ以上レイナルドを殴るならお前らを魔術でころしてやる!」て叫んでな。

レオはそこで謎の言葉を発し始めた、それを見た奴らが本当に魔術を使われるとおもったんだろうな、次々に逃げ出した。

本当はただ適当にそんな風な言葉をしゃべってただけらしいがな。」



レイナルドは懐かしそうな顔で話し続ける



「レオはその時俺に言ったんだ、「もう俺は逃げない。レイが俺にしてくれたように、今度は俺が誰かを助け、傷つけられてる人を守る側に絶対になる」ってな。」



(…なるほど。…そうゆう事だったのか。)



「だからレオはソフィアを傷つけるつもりもなかっただろうし、悪気はなかったと思うんだ、ただ少し…」



「レイナルド。もういいよ、言いたいことはわかったから。大丈夫、ちゃんと伝わった。」



私はレイナルドの言葉を遮った。レイナルドは少し不安そうな顔をしていたが、いつものように明るい表情にもどった。



「レイナルド、お前いい奴だな。そんなお前に朗報だ」



「え、なんだ?」



レイナルドは聞き返す



「試合開始まであと10分もないぞ」



レイナルドへ私から地獄の宣告



「本当だ!急がないと!」



「ほら、急ぐぞレイ。」



私はレオンが呼ばなくなったレイナルドの愛称で名前を呼ぶ



「…おう!」



一瞬また懐かしいという顔をしてレイナルドは笑った。



(レオ、レイ。2人ともいい奴じゃねーか。)



私はそう思いながらレイナルドと白グループの試合場へ急いだ






試合場前にて。



「ほら、荷物は私が観戦席まで持ってってやるから、急がねーと不戦敗になるぞ」



「おう!」



レイナルドは私に荷物を預け試合場入り口に急ぐ



「レイ!負けんなよー!」



「おう、任せろ!」



親指をぐっと立ててグッジョブのサイン

私もそれに答えるようにグッジョブを返す



(どうにか間に合ったみたいだな…)



私は適当に空いている席に座り、試合開始を待った。



(ん…?)



レイナルドと対戦相手が何かをしゃべっているが小さすぎて観戦用マイクにも音が入っていないが、表情から読み取れた。



(…。怒ってる…?)



レイナルドからいつもの優しい笑顔は消え、その顔は怒りに歪んでいた。



試合開始まで残り3



(…言葉で揺さぶりをかけられたか。)



1…



0…



試合開始と共にレイナルドは剣を手にし、精霊を宿した、いつもと少し違う。



(精霊を宿したのではなく、精霊を自身の体、魂に憑依させもっと精霊の力を引き出したのか…)



対戦相手は何もアクションを起こさない。

レイナルドは剣を構え斬りかかる。



(レイナルドの剣は両刃剣。長さは1メートル以上か…重さのある両手剣。それを雷の精霊の力で振る。あの大きさの剣を構え雷の早さで移動し、振り下ろす…重い剣のデメリットを完全に消せる相性のいいスタイルだな…)



レイナルド、相手めがけ剣振る、振る、振る、だが相手も軽々と避ける。

怒りに任せたレイナルドの攻撃は大振りで相手はその剣を完全に見切っている。

レイナルドが一度体勢を整えるため距離を取った、その隙を狙っていたのか相手は魔法詠唱を始める

レイナルドはそれに気づいて攻撃させまいと、急いで距離を詰める。



「バカか!! レ…!!」



私は名前を呼ぶ前にその光景が目に入ってしまい、最後まで言えなかった。

相手の思惑通り罠にはまったレイナルド。

詠唱により出現した鋭く尖った無数の氷塊。

それがレイナルドの体を貫く、何本も体に刺さる



レイナルドの精霊の憑依は完全に解かれ血を流しながら崩れ、倒れた。



「レイナルド!!」



届かない声、代わりに私に届く相手の笑い声。

観戦者達はあいも変わらず





勝者に向けて賞賛の声を上げ、讃える










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