パーティ 【 役割 2 】
その日の夜
「ソフィア、どこ行くんだ?」
レオンが私にそう言う。
「んー、見回り。」
「そうか、気をつけろよ?」
「はいよー。」
私は外に出て
ダビデの所に向かう
「…よー。」
「どうした、ルーナ。」
「約束だろ、お前に認めさせる事が出来たら私の両親の事を教えてくれるって。」
私はダビデに言う
「兵装があれば俺に勝てると思ってるのか?」
わかっている。
勝てるわけないのだ。今の私には。
「…父さんと母さんは強かったか?」
「そうだな、両方共強いってレベルじゃなかったな。」
俺も負けては無かったけどな!わはは!とダビデは笑った。
「そーか…」
「どうする?やるか?」
「…いや、やめとく。今の私じゃお前の足元にも及んでない。兵装しても同等に立てるとは思わない。」
私はダビデに言う
「ま、そうだな。」
ダビデはそう答えた
「お前に兵装無しで一撃入れたらお前に挑む。それまで夜は自分の魔術をもっと強くする。」
「…好きにしたらいい、どうせお前は言う事を聞かないからな。馬鹿弟子。」
「うるせーよ。」
私は拠点に戻ってその日は眠りについた。
そして次の日
「今日は魔術組3人だ。レイナルドとソフィアは見回りだ。」
私達は見回りに行った。
レオン、ブリジット、コノハ
「昨日言った通り、対策は考えたか?」
ダビデは3人に問う
「俺は詠唱禁止だろ?詠唱できねぇと何も魔術使えねぇぞ。」
「わたくしは、氷の兵装禁止でしたけれども…得意の氷以外は魔術と呼ぶにはお粗末すぎます。」
「私は回復だけって言われてるけど、私の魔術じゃとてもみんなを回復させてあげられないよ。」
それぞれ考えた結果だ。
「んー、そうだな…お前達に戦闘訓練してもしょうがないからな…」
ダビデは考えた挙句こう言った
「レオンとブリジットは俺の攻撃を避けながら魔術。コノハは治癒が間に合うように常に2人を気にかけておけ。」
ダビデの攻撃は早い。それを避けながら魔術を使う余裕なんてない。到底出来る技ではない。
「無理なんて言葉は聞かないぞ。無理なら無理なりに考えて行動しろ。」
ダビデはレオン達に襲いかかる。
「ぐっ!…」
「ううう!…」
魔術師相手でもダビデは容赦ない。
「レオくん!ブリジットちゃん!」
コノハは頑張って治癒魔術をかけるが、雀の涙程度で無いも等しい。
「もっと状況を判断して、もっと早く詠唱、もっと早く避ける!」
レオン達も夕暮れまで指導をされた。
「今日はもう終わるか。レオンとブリジットはコノハの治癒魔術以外、怪我を治すなよ。」
ダビデは続けて言う。
「レオン、詠唱しなくても魔術は使えない事はないよな、高位の魔術師は詠唱しなくても魔術を使える、原理は自分で調べたり考えたりしろ。ブリジット、氷以外の魔術を弱くていいから常に使え。コノハ、魔術は考えて使うもんじゃない、レオンかブリジットに教えてもらえ。もっとも、お前の家系の魔術とこいつらが使っている魔術は別物だがな。以上だ。拠点に戻れ。俺は少し見回ってから戻る」
レオンとブリジットは怪我だらけで、まともに返事も出来ない
「俺が手を抜いててそれじゃ、弱すぎて話にならねぇなー」
ダビデはそう言って3人を煽った。
拠点ではその日誰もが元気が無かった。
ダビデ以外は。
この二日間で自分達の実力を思い知らされた。
そしてプライドと共にダビデに軽くひねり潰された。
その日の夜
私は1人外に出た。
その日特殊運動場は砂漠でとても月が輝いていた。
(魔術…体術…どれに関しても父さんと母さんには遠く及ばない。)
私はガルティエの剣を見つめながら考えた
(私の両親が強かった理由…)
ガルティエの剣は月明りを反射して輝いている。
(私が強くなれる理由…)
「ルーナ。」
「…おー、レイ。どうしたー。」
レイナルドが私の名前を呼ぶ。
「いや、お前が外に出ていくのを見てたから追いかけてきた。」
「そーか。」
「ほら、コーヒー。」
レイナルドは私にコーヒーを投げてくる。
「おー、気がきくなー。さんきゅ。」
「ははは、お前コーヒー好きだからな。」
レイナルドはそう笑った
「…なー、レイ。強くなるにはどうしたらいいんだろうな。」
私はレイナルドに軽く聞いてみた。
「俺より強いお前が聞くなよ。それに俺にもわからないぞ。」
「そうかー。」
私は軽く苦笑いした
「…でも、俺は強くなりたいって思って強くなったわけじゃないからな。」
私は分かっていた。
「俺は誰かを守りたいって思ったから強くなったんだ。」
「…そうか」
分かっていたけど自身が無かった。
こんな弱い自分に何が出来るのか。
でも私も守りたいって思ったんだ。
もう誰も傷つかないように、誰も泣くことがないようにと。
「まあ誰かを守れるほど強くないんだけどな」
ははは、とレイナルドは笑った
私はその言葉で気付いた。
出来なくてもその気持ちが大事だったんだと。
「レイ。ありがとーな。」
私はレイナルドに微笑んだ。
「…おう!」
レイナルドはしばらく私を見つめ、笑って返事をした
(父さん、母さん、あなた達が強くなれたのは、守りたいものがあったからですか。国や、国民や、仲間や、私を…)
私は月を見上げ、母と父の事を考えた。