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I=BLADE  作者: くろのす
パーティ
26/35

パーティ 【 記憶 6 】

昔の夢を見た、遠い昔の夢を。

知らない世界、知らない場所。


私は1人だった。



「ほら、出来たぞー。」



「…。」



料理が机に料理が並べられるが、私がそれを口にする事はない。



「飯食わないと、大きくなれねーぞ?」



「…いらない。」



「まったく、ほら、食えっ」



「むぐっ!」



無理やり口の中に料理を詰め込まれる。



「どうだー?うまいだろ!」



「…おいしくない。」



「なんだとー!」



彼女の名前は リア 。

事情はわからないが、私を地球で育ててくれてる人だ。

少々怒りっぽく、強引な性格だ。


私がここに来て一年が経った。


飯を無理やり全部食べさせたリアは食器を片付ける。

ご飯を食べた後、私はいつも一冊の本と母がくれた巻物を持ち外へ出掛ける。



「あんまり遠くにいくなよー。」



リアが私に声をかける。



「うん。」



私はそれに小さく返事をする。

家の周りは森で、木が生い茂っている。



(今日は月、出るかな。)



まだ明るい空を見上げ私は思った。


ここに来て、いろいろな事を知った。

ガルティエは空に浮かぶ月にある国の事。

姿を変える人間や、魔法や魔術を使う人間がいる事など。


私は持って来た本を広げ、文字の勉強をする



「あい、あむ…そーど…」



一年かけてやっと母の巻物を読めるようになったが、文字は途中で終わっていて、読んでも何も起こらない。



「はぁ…」と私は溜息をつく。



何度も読み返し、本で文字の意味、発音を調べ、また読む。

それを毎日繰り返している。

何も起こらないのはわかっていても私は繰り返した。


ガサガサ!と後ろの方から音が聞こえ、私は音のする方へ振り返る。



「…誰か居るの?」



私は声をかけてみた。返事はなかったが、音の主が姿を現した



「ひっ…!!」



私はその姿を見て恐怖した。

黒いローブのような服を着てはいるが、普通の人間の姿ではなかった。

鼻先は長く、口からは鋭い牙が生えていて、体中黒い毛で覆われていた。

私は月での出来事を思い出した。



「り…りあ…」



私は無意識に助けを求めた。



「シー…」



その異形の姿の獣は口の前に指を立て、静かに、とジェスチャーで合図する。

私は、黙ってしまった



(今度は誰も助けてくれない…死ぬんじゃう…)



私はそう思ったが、そんな心配は要らなかった。



「『火の精霊よ』」



獣が低い声でそう言うと赤い光がゆらりゆらりと現れた。

私は驚いた、母以外に魔法や魔術を使う物を知らなかったから。



「魔術師…?」



私はそう獣に聞いた。



「これは魔術ではなく、魔法だ。」



獣はそう答えた。



「ねえ…怪獣の魔術師さん…この魔術、使える?」



私は獣にそう聞いた



「その巻物な書かれているのは特殊な魔術だ…。」



獣はそう言い、続けて言った。



「この魔術を使えるようになりたいか…?」



私は獣を見つめた



「なれるの?」



「それは、お前次第だ…」



「なりたい…お母さんが私にくれた魔術を使えるように。」



「…ならば、明日もここにこい。」



「わかった。また明日くるね、怪獣の魔術師さん。」



「…。」



私は獣に手振り、家に帰る。



「おかえりー、今日は早かったんだな。」



「うん。」



「なんかあったか?」



「なにもないよ。」



リアに言うと怒られるような気がして、私は嘘をついた。




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