災厄と英雄と最強と氷姫 【 依頼 3 】
原始種は扉が開く前から存在しその場所を守っていた、しかし、扉が開かれてからは姿を見せなくなり、守ってもらうことが出来なくなった動物達は姿を変えて、自らを守るようになった。
「封印はもう、長くは持たない。」
「後どのくらいで封印は解かれる。」
「分からない、だが、後数年だろう。」
(数年!?数十年単位じゃないのか!)
私は驚愕した
「あの災厄を、受け継ぐ少年をが成長するにつれ、封印は朽ち果て、災厄の力が強くなり、月の魔がこちらの世界に現れる。」
「災厄の力が強くなる前に、あいつを殺すのか…」
「そうだ。これ以上、月の魔をこちらに来させない為に」
「…。」
私は反論できない。
「森は荒れ果て、私の力も、弱くなった。まだ成長しきっていない災厄なら、私の最後の力を使えば、消せる。」
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森の中を、駆け抜けるレイナルド。
「離せ!レイナルド!」
レイナルドはレオンに耳を貸さない。
「…。」
ブリジットは黙っている。
森を抜けた所で、レイナルドは2人を離す。
「レイナルド!!」
レオンはレイナルドに掴みかかる
「…なんだ。」
レイナルドは落ち着いた声で返事をする。
「ソフィアを置き去りにして、俺たちだけ逃げるのかよ!」
「俺たちに何ができる。」
レイナルドは冷たく言い放つ。
「レオ。俺たちがあの場にいたら、ソフィアの足手まといになる。」
レイナルドは続けて話す。
「わからないのか、野生種との戦闘に慣れていない俺たちが居るだけで、ソフィアは倒すだけじゃなく俺たちを守りながら戦うことになる。」
「守られなくても、自分の身は自分で守れる!俺たちにだって出来ることがあっただろ!」
「無理よ…」
ブリジットはレオンに言う
「アレは野生種じゃない。本で読んだ事がある…タテガミをなびかせ、闊歩する。かつて獣の王と呼ばれた 原始種 百獣の王ライオン。世界を守る代償に、自らの種、全てを扉の封印として世界に捧げた生物で扉の鍵の一つよ。生半可な攻撃なんか、封印の魔力に弾かれるわ。」
「それでも!何かできる事が」
「自惚れるなレオン!」
レイナルドはレオンに強く言い放つ。
「今の俺たち出来ることはない!」
「そんな事ねぇよ!もしそうだとしても、俺はあいつ1人残して助かるなんて、そんな事認めねぇ!」
レオンはレイナルドから手を離し、先程きた道を戻る。
「レオン!死ぬぞ!」
レオンはレイナルドに向かって言う
「…誰かを犠牲にして、誰かが救われることなんかない。それを教えてくれたのはソフィアだ。」
レオンは走り去る。
「…。」
レイナルドは憑依を連続して使ったせいで、体に負担が掛かり、膝をつく。
「…どうしますの…?」
ブリジットはレイナルドに告げる。
「…連れ戻す。」
「…。」
ブリジットは下を向く
「無理して着いて来なくてもいいんだぞ」
「…いえ、わたくしも行きますわ。あの2人を連れ戻しに。確かに、助かるなら4人で助かった方がいいですし。」
ブリジットは仕方ないですわね。とつぶやきレイナルドに微笑む
「…そうか。世話がやけるな。」
レイナルドはブリジットに優しく微笑んで、立ち上がり、2人でレオンの後を追った。




