災厄と英雄と最強と氷姫 【 依頼 2 】
私達はシカに気づかれないように近づく。
「いくぞ…」
私は3人に小さく囁き、指でカウントを取る。
3、2、1…
私とレイナルドが勢いよく飛び出し、斬りかかる
だが、野生のシカが危険を察知する能力の方が早い
「くそ!」
私とレイナルドの剣は空振る
「レオ!左だ!」
「『 雷よ』」
シカはレオンの魔術によって進路方向を変える。
「レイ憑依!ブリジット!バフ掛け!」
それを伝えて私はシカを追いかける。
(流石に早い…)
私はシカの左後ろを走る
後ろから雷を憑依したレイナルドが追いかけてきて、シカの右側を走る
「レイ!最初の場所までシカを誘導するぞ!」
私とレイナルドはシカを2人の場所まで誘導する。
「レオ!いつでも雷打てるよーにしとけ!ブリジット!進路方向前!氷の槍!」
「『我が身に槍を』!」
左右から挟んでいる。シカに逃げ場はない。
更に正面に氷の槍の壁ができたことにより、シカは驚いてもたつき、減速する。
「レイ!足だ!」
「おおおお!」
レイナルドの剣はシカの足に直撃、自身の早さもありシカは前に勢いよく転がる。
「レオ!今!打て!」
「『雷よ』!」
ズガガガ!と雷が空から降り、シカに直撃。
シカは失神し、倒れる。
無事、依頼の種の捕獲に成功した
「よし!3人共、お疲れさん!」
と声をかけるが、初めてで緊張したのか既に息が切れている3人。
私は続けて告げる。
「初依頼、完了だ!」
すると3人は安堵の笑みを浮かべる。
「レイナルド、流石の精霊憑依だった。状況判断も的確ですげーと思うよ、お疲れさん!」
「サンキュー、お疲れ。」
レイナルドにそう告げる
「ブリジット、予定には無かった氷の槍、よく反応してくれた、助かったよ。お疲れさま!」
「ありがとう、お疲れさま」
ブリジットにも同じように声をかける。
「レオン、素晴らしい魔術の詠唱速度、威力、精度、申し分ねーな!流石だな、お疲れ!」
「おう、お疲れ。」
3人を労って、私はシカを持ち帰る為、足を拘束しに
シカに近寄った。
すると森の奥から声がした。
「グルル…」
「「「「 !!! 」」」」
木々の先から聞こえる、低い、獣の声。
「みんな、走れ、依頼は中止だ!逃げろ!」
私はいち早く危険を察知し叫ぶ
「ソフィア、お前は!?」
レイナルドが声をかける
「私も逃げる!だが先行け!逃げろ!」
「でも!」
「いいから行け、死ぬぞ!」
「グルルル!…」
声の主が姿を現す。
その姿は全長20メートルはあろうかと言うほどの巨体。鋭く長い牙、長い爪、顔の周りのタテガミ。
かつて王と呼ばれた生物、ライオン。
(野生の草食種が少ないのはこいつが原因か…この辺一帯を荒らしまわっているのか?さっきの戦闘の音を聞いてこっちに呼んでしまったのか!…)
「走れ!!」
私達は学校のある方角へ走り出す。
それを見たライオンはグオオオオ!と雄叫びを上げ私達を追いかける。
「なんですの!あれは!」
「わからねぇ!でも今はとにかく走れ!」
「レオの言う通りだ!とにかく逃げろ!」
3人の後ろを私が走る。
だがライオンの巨体、走るスピードも早い。
追いつかれるのも時間の問題だ。
「レイ!私があいつを引きつける!その間に憑依して2人を連れて学校まで戻れ!」
私はその場で立ち止まり、剣を構える
「!!何言ってんだ!ソフィアを1人には出来ない!」
「私は大丈夫だからとにかく出来るだけ遠くまで逃げろ!」
「ソフィア!」
「そうですわ!1人でなんて無謀すぎますわ!」
レオンと、ブリジットはそう言う
私ら2人を見た後レイに告げる
「レイ!頼んだぞ!」
レイナルドは納得していない表情だったが、頷いてこう言った。
「後で、追いついてこいよ!」
私は親指を立ててレイナルドに言う
「おー!任せとけ!」
レイナルドは、精霊憑依をして騒ぐ2人を無理やり連れて行った。
私は足を止めライオンの方を振り返った
「グルル…」
「…。」
ライオンも走るのをやめ、こちらを見つめてくる。
そしてしっかりと私を見据え飛びかかる。
「…っ。」
私もライオンの攻撃を避ける。
続けて攻撃を仕掛けて来る。
大きいが故、攻撃範囲、威力が大きい。
「…!!」
ライオンの爪を避けたが、その後の尻尾による追撃に気付かなかった。
「ぐうぅっ!」
尻尾とはいえあの巨体の尻尾、衝撃は無視できないほどに強い。
その尻尾に弾かれ私は岩に叩きつけられる。
「…うぅ…いてーな…」
私は立ち上がり、再び構える。
すると、
「…女、なぜ、《 災厄 》を逃がす…」
ライオンが喋った。
「…やっぱお前、話せるんだな。」
「質問に答えろ…アレを助ける、理由を」
ライオンは続けて、私に言う
「アレは、世界を滅ぼす、世界に仇成す存在。お前も分かっているはずだ。」
「分かってるよ。」
「ならば、なぜだ。」
「…友達だからだ。」
ライオンに私は言った
「お前、原始種だろ。」
私はライオンにそう問いかけた。
「…そうだ、我は、太古からこの森を守ってきた。」
「なのに、なぜ森を荒らす。」
「荒らしたのは、我ではない。《 月の魔 》だ。」
(!!…月の魔!)
「災厄の扉が、再び開こうとしている…」
災厄の扉。大昔、シャムロックという偉大な魔術士が魔術を暴走させ開いた扉。開いた後、人と月の魔との間で幾度となる戦争で多大な死者を出したが、今は封印により今は固く閉ざされている。
だが、その扉消えることなく、今も空にあり続けている。




