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I=BLADE  作者: くろのす
無形の剣
10/35

無形の剣【 模擬戦闘 本番 4 】


「ルールは私が決めるぞ」



「どうぞ、お好きになさってくださいませ。」



「勝敗 相手が戦闘続行不可になる、若しくは降参宣言。他全部有り有りで。いいか?」



「ええ、構いませんわ。」



私達の意見同意すると、ホログラムが現れアナウンスが流れる。


” 模擬戦闘 ”

”Cクラス ソフィア = シュミット”

”Aクラス ブリジット = チュリア”

” 賞金 100.000 $ ”

”防護幕展開完了”

”試合開始まで残り10” …




人が周りにかなり集まっていた



「ソフィア。」



レオンが心配そうに私に声をかけた。



「心配いらねーよ。私はCクラスだけど、あんな奴になんか負けねーから。」



レオンは、少し落ち着いてきたようで

私に頑張れとだけ小さく告げた。


私と女は一定の距離を保ち向かい合う。



「わたくしが、戦闘を行うというのに…だったの10万$なんて安すぎると思わなくて?」



「さーな、あいにく私はお金に興味がねーからさ」



「あらまぁ、わたくしに対しての(ひが)みかしら。」



試合開始まで 3…



「僻み言うくらいなら直接言う。言って欲しいなら言ってやるよ、「死ねクソアマ」 」



2…



「ぶっ殺してあげますわ!」



1…



「やってみろよ!この腐れビッチが!」



0 !


カウントが終わると周りに居た連中が うおおおお! と声を張り上げた?

それと同時に女は詠唱を始める。



「『氷よ、我に力を、汝の冷たき盾を我が身に。冷たき槍を我が身に 氷の兵装』!」



(純粋な信仰魔術特化型(しんこうまじゅつとっかがた)…氷を使役して物理、魔法防御の自己強化…そして氷の盾と、氷の槍…レイを貫いたあの技か。)



私は模擬戦闘で使ったダガーを空間から取り出す。



「あらまぁ、なんと情けない武器…そんなものじゃ私の氷は防ぐ事は出来ませんわ!」



氷の槍が飛んで来る



「…。」



私は氷を横にかわす。

だが女の攻撃は追撃を仕掛けて来るが、私は何本もの飛んで来る槍を避ける。



「…芸がねーな、同じ事繰り返してるだけじゃねーか」



女の攻撃が止まった



「うふふふ、じゃあこんな攻撃はいかがかしら…」



女の周りに浮遊していた氷の槍が1箇所に集まり、大きい氷の槍と変化し、私めがけて飛んでくる。

だが私は先ほどと同じように横に避け、槍は地面に突き刺さる。



(あの刺さった氷…)



「おいおい、威力とスピード上げたって単発じゃ当たるわけねーだろー」



「あら、そうかしら」



うふふと、不敵に笑う。



「あん?」



カタカタ、という音を聞いた。

地面に刺さった氷の槍が小刻みに震えていた



「!!」



(やっぱり、仕掛けてたか…!)



私は氷から距離を取る



「もう遅いですわ!」



氷が爆散する

砕けた氷は小さな氷の槍として私に飛んで来る。

小さいとはいえ、大きさは20センチ以上。

当たればタダではすまない。



「くっ…!」



私は氷の槍を捌く。

だが、想像以上に数が多くダガーでは捌ききれず、掠めた氷の槍が私の体を削る。



「ソフィア!」



小さい氷の槍を捌ききった所でレオンが私の名前を叫んだ。

女の方に目をやると氷の槍が既に発射されていた。



(クソ!…こっちが本命か!)



私はダガーで捌こうとしたが、氷の槍は固く鋭く、私のダガーを砕いた。



(!!)



私は必死に身をよじり、氷の槍をギリギリで避ける。



「あらまぁ、氷の追撃も全部避けられてしまいましたわ。あなた、なかなかやりますわね。」



近接特化型ではなければ勝機があったかも、と女は付け足し、更に続ける。



「しかし、武器を壊された以上あなたはもう戦えなくてよ?」



女は余裕の表情を浮かべる



「…そうだな」



「では、とどめを刺させていただきますわ」



氷の槍が飛んで来る。

だがその槍は私に当たる事はなく、砕ける。



「!?」



女は驚いた、剣も魔法も無しに自分の氷の槍を防がれたからだ。



「あなた…なにをしましたの?」



「私は 何も していないよ」



よいしょ、と言いながら私は空間から剣を取り出す。

ダガーでは無く片手直剣。それを2本。



「!?」



周りの人間全員が驚いた顔をする。

女は問う



「物体、剣を空間に収め固定するのは高位の魔術師でも一本以上は不安定…自分が作った空間が壊れ、剣もろとも消滅する可能性があるから、一本以上を所持するのは不可能とされているのに…」



女は驚きながらそう言った


「ふーん、そうなのか、ソリャスゴイネ」



私は軽く流し、斬りかかる。

だが氷の盾が攻撃を拒む。女は私の攻撃に驚き距離を取る



(自動再生の氷か…)



「あなたは魔術、魔法の限界を超えたものを使っているとでもいうの?」



女の問いには答えない。

私は距離を詰め、両手の剣を使い早く何度も切る



「あなたの物理攻撃では私の盾を超える事は出来ませんわ!」



私にそう告げる女だったが

ビキ!と、氷の盾にヒビが入る。

女は驚き再び距離を取る。

その顔は怒りと戸惑いで溢れている



「何を、しましたの…」



「さっきから質問が多いやつだなー。黙れねーのかよ…氷の盾は傷つけられても大気の水分を凍らせて修復するんだろ」



「だからなんだというの…?」



「最初その盾に拒まれた時気付いた。だったら簡単な話だろ。修復出来ない早さで切り続ければ、お前のその盾の修復は間に合わないだろ?」



ブリジットは、驚き、焦り、恐れている

先程まで自分が優位に立ち、自信に満ち溢れていた。

今の今まで追い詰められた事など一度もなかったのに、だった2本の剣で自分の最強だと思っていた魔術が破られたという事を認められないのだ。



「終わりしよーぜ、クソアマ。」



私は距離を詰め切る、目にも止まらない早さで切る。



「ま、まって!お願い!」



ビキビキ…

盾にヒビが入る。

私は言葉を無視して切り続ける。



「お願い!助けて!何でもするわ!」



女は懇願する。



「じゃあ病院で頭の中もついでに見てもらってきてくれ。」



「いやああああ!」



バリン!とガラスが割れたような音に近い音が聞こえ盾は崩れる。



「終わりだ。」



私は剣を振りかざす。


しかし女は不敵に笑みを浮かべた。



「死ね、ソフィア」



至近距離からの氷の槍。

避けられない。

私の体は後ろに吹き飛ばされ、地面に落ちる。




「うふ、うふふ!わたくしの!勝…ち…」






ごぼっと女の、口から溢れる血

そして身体中から溢れる血


女の身体はバラバラになり、崩れた



私は起き上がり、剣を空間に収める。



「お前の負けだ。ブリジット = チュリア。」



私の体に槍は刺さっておらず。ブリジットだけが倒れた。




”勝者 Cクラス ソフィア = シュミット”

”賞金 100万$ Cクラス特性の 一定期間所持金の減額を ブリジット = チュリアが1ヶ月間 肩代わりします”



勝敗がついた、だがそこには賞賛の声をかけるものはいなかった。



「おい、そこでくたばってる女の為に医療隊をよんでやってくれ」



「あ、ああ…」



1人の男子学生に頼み、私らレオンのところへ向かう。



「ソフィア。お前のさっきの…」



「ん、お疲れ、レオ。」



私はレオンの問いを遮り、いつも通りの私を演じる。



「…おう、お疲れ。」



レオンは不満そうな顔をしたが、すぐに労いの言葉をかけてくれた。



「おー、ありがとう」



(ごめんなレオ。いつかちゃんと話すから)




私とレオは集まっていた人混みの中をかき分け、その場を離れようとしたが、途中で奇妙な言葉を聞いた






Intangible(インタンジブル) = blade(ブレイド)…」





(!?)



私は咄嗟に振りかえったが、人混みに紛れ声の主は誰かわからない…



「どうした、ソフィア」



「いや…なんでもねー。」



私達はその場を離れた。




何故ここで、その言葉を聞くことになったのか。

誰が声の主なのか。

今はまだわからない。



でも、私を知っている誰かがいる。

外の世界に居た頃の私を知っている誰かが…





Intangible(インタンジブル) = Blade(ブレイド)



通称《 I()=B()



外で呼ばれていた、私の通り名であり、私の魔術の正体。



意味は『 無形の剣 』






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