1.prologue
―中世ヨーロッパ。ルイ14世が太陽王と呼ばれ、全盛期を築いていた頃。
聖職者の天敵とされるサキュバスやインキュバスは、長期に渡りエクソシストといたるところで戦闘を繰り広げていた。
トニオ・アルカイオスもそのエクソシストの1人だった。彼はエクソシスト協会長からの任務で1人のサキュバスの討伐を命じられていた。
彼女の名はアリアドネ。強大な魔力を兼ね備えた、サキュバスの姫だった。
トニオは激闘の末、アリアドネを追い詰めた。
その時だった。
『貴方たちエクソシストを未来永劫呪ってやる!私たちに捧げなければ、生きられない身体にね…!』
アリアドネは自分の命と引き換えに、トニオとその子孫にかかる呪いをかけた。
~*~*~*~*~*~*~*~*~*~
それから現代まで、アリアドネのかけた呪いはトニオの子孫誰一人発動しなかった。
いくら強大な魔力を持つサキュバスでも、人間を呪うことはできないだろう、そう思われていた。しかし、呪いは発動した。
日本に住むトニオの血が流れる者に、その呪いは発動した。彼は定期的に大量出血を起こすようになったのだ。
繰り返す大量出血と、それによる貧血。それがアリアドネのかけた呪いによる症状だった。
彼はまだ知らない。自分にかけられてしまった呪いの症状を無くしてくれる少女の存在を―――。