表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/11

お兄ちゃんとケンさん 3 sideケン

収録が終わると、すぐに俺と社長(親父)と桜ちゃんの三人で出演者達や番組関係者に挨拶しに向かった。人気のアーティストは、別の音楽番組の出演や翌日にライヴがあったりする為収録後にすぐテレビ局を後にすることも多い。だから、実力・人気とも頂点にいるロックバンドを先に挨拶しに行こうとした矢先…なぜか彼らが桜ちゃんの楽屋の前で待っていた。


「こちらから伺わなくてはならないのに、申し訳ありません。」


俺と社長(親父)は、すぐさま彼らの前に向かうと頭を下げた。


「いや、こっちが何の連絡もなしに勝手に来て待ってたんだから謝るのはこっちの方です。申し訳ない。」


そう言って、俺達に頭を下げたのはバンドのヴォーカルでありリーダーの(かなで)さんだった。

長い金髪を片側だけ編み込みをし後ろで束ね、ヴィジュアル系っぽい服を着た彼が意外と礼儀正しい対応をすることに内心驚いた。人は、見かけで判断するなってことだ。眉上に安全ピン型のピアスと耳にある輪っかのピアスがチェーンでくっついていようとも、だ。


歌手デビューしたばっかりのヤツが、大物アーティストに挨拶されていたなんて外聞が悪いので彼らの楽屋まで移動することにした。


楽屋の中で待機していた彼らのマネージャー(男)に促されるまま、三人掛けのソファーに俺達は腰を下ろした。さすが、大物アーティストもなると楽屋は広い。他のメンバーは、少し離れた椅子に腰かけ楽器の手入れを始めた。


暫くすると、ケーキとコーヒーをトレイに乗せて心なしか嬉しそうな奏さんがやってきた。


っ!!!!いやいやいや、それマネージャーの仕事だから!!


思わず、彼らのマネージャーを見ると「お気になさらず。彼が好きでやっていることなので。」と笑顔で言われた。


気になるわ!!奏さんの体裁が!!そこは、マネージャーがするべきところだろ!!


「私が手を出すと、彼の機嫌を損ねるもので。」と、俺は何も言っていないのにこれまたとびきりの笑顔で答えてきやがった。エスパーか!!お前は!!


「決して、私はエスパーではありませんので。貴方が、わかりやすい表情をしているだけですよ。」


あぁ、言われてしまった。

確かに、俺は表情がでやすい。腹芸なんか、不得意中の不得意だ。社長(親父)に、もっと腹芸を身につけろと言われるが…


「お腹真っ黒なケンなんて嫌ですよ。僕は、そのままのケンが一番好きです。腹芸なんて得意な人にやらせればいいんですよ。例えば、おじさん(社長)とか。生きているウチに、どんどん使うべきですよ。」


そう言って、笑顔で俺の頭をポンポンっと軽く撫でた。俺の父親に対して酷い言い草だが、その言葉に気分が上がった。桜ちゃんがそう言うならそれでいいか。甘えてるって言われればそうだけど。


ふと顔を上げて辺りを見渡すと、奏さん達が悶えていた。あぁ、桜ちゃんの笑顔にヤられたのか。天使の微笑みは、初対面にはダメージが大きいからなぁ。

まだまだケンさん視点続きます。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ