理想の食生活
大規模な星間戦争が終わった時、もう二度と国民を飢えさせてはいけないと誓った。
食料が豊富にあるわけではないけど、食品ロスを極力排し、効率的に流通させれば飢餓で苦しむ人をなくすことが出来るはずだ。
そこで誰もが「食べたい時に食べられる」システムを構築することに成功した。ただし、「食べたい時」とは血糖値などの客観的な数値を測定して、本当に空腹にならなければ食べてはいけないこととなったのだ。空腹でもないのに食べるのは犯罪である。
効率を考えれば完全栄養食のエネルギーバーを支給するのが良いのだが、政府だって、人間が食事を楽しむということを知っているので、中央キッチンの指示で毎日日替わりで5種類のメニューから選べるようになっている。
もちろん、一度にたくさん食べたいだけ食べるのは自由だ。ただし、次の空腹までの間隔が長くなるというだけである。むしろ一度に食べる量を少なくして、食事の回数を増やしたいという人も多い。
昔、人類が地球で暮らしていた時代の資料を読むと、ダイエットという奇妙な流行があったようだ。痩せることが好ましく思われていたようである。とても正気とは思えない。大切なことは必要な栄養を適切な量、摂取することで、そうすれば不適切に太ったり痩せたりすることはないはずだからだ。
我々は理想の食生活を手に入れたと言えよう。




