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透明バリア
雨の日には昔から進歩のない「傘」という雨具にうんざりさせられていた。
完全に雨を防ぐことは出来ないし、特に足元は無防備だ。外では手を塞ぐし、買い物にスーパーなど店舗に入れば荷物になる。折り畳みの傘にしても、濡れた傘をビニールに入れてカバンに入れるのは気持ち悪かった。
しかし、遂に傘から解放される日が来た。肌や身に付けている服や荷物から5センチほどの所に発生させる透明バリアの技術が開発された。
防弾ガラスほどの強度はないけど雨を防ぐには充分で、通気性もあり、ブレスレット型やネックレス型などが開発された。
狂喜した人々は雨の日に喜んで外出するようになった。特に土砂降りの日など、透明バリアに水が弾かれ流れていく様は美しかった。興奮して踊り出す人もいた。
私も今日は土砂降りの雨だけど散歩に出かけた。遠くにある紫陽花の群生地まで出かけ雨に降られる紫陽花を観賞して楽しんだ。晴れの日でもこんなに遠出したことはない。




