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有料トイレ
僕はただトイレに行きたかっただけなんだ。
土地勘のない外出先で手近にあるトイレにやっと辿り着くと、とても高額な有料トイレだったが、差し迫っていたので仕方がない。
やっと用を足すと「しばらくお待ちください」という音声ガイドが流れ、目の前のディスプレイに砂時計の映像が現れる。
映像の砂時計の砂が全て落ちた後、プリントアウトされた紙が出てきた。
紙には排泄した物を元に分析した、健康診断の結果が印字されていた。
健康診断の結果は良好で、これも良い土産話になるなと思ってトイレを出ようとするが、扉が開かない、ディスプレイを見ると会員登録の画面になっていて、問診に答えた後、会員カードが発行され、やっとトイレを出ることができた。ちなみにこのカードがあれば料金は前払いではなく、排泄した量による従量制の料金で後払い出来るらしい。
ちょっとした災難だったと思っていたけど、僕の住んでいる街にも、その有料トイレが設置されて、気が向いた時に再び利用したら、病気を早期発見できた。
妊娠していることがわかった女の人もいて、まあまあ利用者はいるようだ。




