変態ダイエット
子供の頃、確か小学校高学年くらいだったと思う、トイレに入る前に体重を量り、トイレから出た後、体重を量ると三キロ減っていたような気がして
「トイレから出たら三キロ減った」と騒いだら、それを聞きつけた家族が
「そんなわけないでしょ」と本気にしなかったが、私も今から思えばそんなわけはないと思う、何かの勘違いだったのだろう。
しかし、その後家族から
「ユミちゃんは三キロも出るんだよ。すごいねぇ」と何年にもわたりさんざんからかわれることになってしまった。
大学生になって就職活動の時期が近づく今も、かなり太ってしまった私を見て
「そんなに太っていると就職先見つからないよ、いっそ三キロずつ出してどんどん痩せたら」
と言われる始末だ。
しかし、本当にヤバいよ。こんなに太っていたら就職に不利だ。
でも、痩せるのって今いちモチベーション上がらないんだよね。
食べることが好きなこともある。あと、痩せたらモテるとか言うけど、イケメンなカッコイイ人が振り向くとは限らないし、むしろ振り向いてもらいたくない人達を引き寄せる結果にもなりかねない。
それに私みたいな平凡な容姿の女の子が痩せたって、普通っぽくなるだけの話だ。メリット少なそう。
まあ、今は就職のためにも太ってないほうがいいだろう。
とりあえず、三キロ出るわけはないけど、毒素を貯め込まないという健康法もあるし、トイレは我慢しないで、なるべく出すように心掛けた。
便意尿意を感じると、心の中で「チャーンス!」と叫んでトイレに駆け込んだ。「チャーンス!」と実際口に出して叫んでしまったこともある。
ノートにトイレの回数や排泄物の状態の感想、もちろん体重など詳細に記録した。
あと、老廃物を出すために、お風呂ではよく垢をすり、新陳代謝をよくしている。
しかし、出すだけではたいして痩せるわけではない、やっぱり食べるのを減らさなくては。しかし食べることが好きな私には空腹はつらい。
そこでひらめいた。発想の転換というやつだ。空腹をつらいとは思わないで快感だと感じればいいのだ。マゾの世界だ。いっそ自分を追い込むサドもやって、一人SMを完成させよう。
M「お腹空きました。何か食べてもいいお許しを」
S「この口の卑しいメスブタめ! いっそ空腹で気絶しておしまい!」
M「ああ! 何か空腹で気絶しそうで気持ち良くなってきました」
こんな感じだ。
この一人SMは減量のための運動の時にも応用できた。
私はみるみる痩せていった。
こうして私のダイエットは成功したが、アブナイ傾向も身についてしまった。