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ゴミ供養

 買い物する時は楽しいのに、その後、ゴミ出ししなければならないのは人生の憂鬱な時間の一つだと彼女は思っていた。「使われて捨てられる残骸・・・まるで私のよう」だと。彼女にはある種の弱さがあったのでゴミ出し一つで辛く感じた。しかもゴミ出しをしなければならない機会は多かった。ゴミ出しなどの雑用を使用人にしてもらえる金持ちに生まれ変わらないかと妄想したりもした。


 そんな彼女を神様は派手に転生させたりはしなかった。神様は地味な仕事をした。

 あるゴミ出しの日に彼女はゴミ置き場のゴミを見て何故か感謝の気持ちで一杯になった。これらのゴミ達は私達の生活を支え、そして舞台裏へと静かに去って行くのだ。ゴミを出すのを面倒くさい後始末だと思い人生の幻滅の瞬間にするのではなくて、ゴミに感謝し供養しなければならないと思った。

 それからというもの、彼女にとってゴミ出しは敬虔な気持ちになれる神聖で至福な時となった。その喜びを多くの人に伝えたくて、ゴミ供養を教義とする、宗教団体の教祖となり、ゴミの分別の徹底は勿論、リサイクル、リユース運動を展開し、それでもただのゴミとなってゆくものを感謝し祝福した。

 と言っても特別な儀式をするわけではなく、単なる普通のゴミ出しであった。

 しかし、「普通に真面目なゴミ出しをすることが大切なのである」と教典に記されていたということである。


「ゴミ供養教徒のようにゴミ出しする」とは模範的なゴミ出しを表す言葉となった。


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