表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Chimera Park On-line  作者: カカセオ
第1章 クローズドβ
9/20

01-09 閑話 PK

「キャーーッ!!」


「へっへっへっ、悪いな。美味しく頂かせてもらうよ」


「おれ脚食いてぇな」


「……腹……」


 ライオンやトラ、オオカミなどが、それより小さな生き物たちを取り囲んでいる。

 PKが解禁になって襲われるものが多発したため、自衛のためにと大群が発生したのだが、それでは実入りが悪いと群れから離れるものもいた。

 囲まれているものたちも、そうして離れた中の1つだろう。

 PK連中は成体2で5体、囲まれている方は成体1で3体で完全に分が悪い。

 まだ取り囲んでいるだけで、襲い掛かってきてはいないが時間の問題だ。


「待て!!」


 囲まれているものたちは喜びに沸き立ち、すぐに落胆した。

 助けに来たのはネコ2体、しかも成体1の大きさだ。


「もふもふをいじめる悪もふどもめ。もっふもふにしてくれる!」


 手前の白いネコがそう言い放つ。

 後ろの黒い方は溜息をついていた。

 PKたちは止められて一瞬緊張が走ったが、その姿に安堵の表情を浮かべた。


「奴じゃねぇのか…ちっ、脅かせやがって!

 うせな、がきんちょ。そうすりゃ見逃してやるよ」


「黙れ悪もふ!」


 そのまま駆けて来る白ネコ。

 それに、最も近いのはライオン。


「命がいらねぇみたいだな。

 じゃあ殺してやるよ!」


 ブンッと前足が振るわれる。

 誰もが吹き飛ばされる、そう思ったがそうはならなかった。

 白ネコはそれを難なく回避し、ライオンの顔を肉球でビシバシ叩く。

 内何発かは眼球に直撃した。


「うわっ!!」


 堪らず前足を無茶苦茶に振り回しながら後ずさるライオン。

 白ネコはそれを掻い潜って、更にネコパンチを重ねる。

 囲まれているものたちは呆気にとられていた。


「くそっ! くそっ!」


「おいおい、そんな雑魚にいつまで掛かってんだ。

 仕方ねぇ、手を貸してやるよ!」


 オオカミも加わったが回避され、挙句にその攻撃が仲間へと命中した。


「ぐわっ!」


「すっ、すまん!」


「てめぇなにやってんだ!」


 黒いのも加わり明確に押され始める。

 その様子を見たPK組の1体が人質を取ろうと囲んでいた奴らに駆け寄った。

 白ネコがそれをみて追いかけ邪魔をした。


「くそっ!」


 背にかばい立ち塞がる白ネコ。


「無事か?」


「はい、ありがとうございます」


 と、庇われている1体が動いた。


「がはっ!!」


「お、おまえ何を?!」


 爪が長く伸び、白ネコのわき腹にぐっさりと刺さっていた。

 爪を抜き、それに付いた血を舐める囲まれていたはずのトラ。


「折角準備したのにこんなのに邪魔されるなんてムカつ、ガハッ!!」


「「おかしら!!」」


 と、突然血を吐き苦しみだした。

 その隙に黒ネコが白いのを回収して去っていく。


「お、追え!!」


「おかしら、大丈夫ですかい!!」


 混乱するPK連中。

 追おうとしたものたちの前に現れる影。


「邪魔だ、どけっ!!」


 叩き除けようと前足を振るおうとした。

 影はその場を動かず、ずざーっとバランスを崩して転げるPK連中。

 立ち上がろうとするが上手くいかない。


「えっ、あれ?」


「なっ、何で?」


 疑問符と嫌な予感が頭の中を駆け巡る。


「……出遅れたでござるな」


 静かに残りのPKに駆け寄る影、その姿は灰色のオオカミ。

 1体を宙返りしながら飛び越え、もう1体の前に降り立つ。


「て、てめぇ!! はへっ?」


 飛び越えられた1体は振り返ると崩れた。

 それに驚き後ずさりしたもう1体も同じく崩れた。

 輪切りになったそれらを見て逃げ出す最後の無事なPK。

 だが、回り込まれてしまった。


「ひいっ?!?! た、たす、けひ?!」


「…狩られる覚悟無く狩っているのでござるか」


 シュッと斬り裂いて、そんな感想を漏らす。

 肢を斬り落とされ芋虫のようになっている最初の2体に駆け寄り止めを刺す。


「あっ、ありがとうございます」


「礼を言われる筋合いはござらんよ。

 拙者、こやつ等を狩りに来ただけ故」


「ですが助かりました」


「結果論に過ぎぬよ。然らばご免」


 音も立てず瞬く間に灰色オオカミは駆け去っていく。

 その姿を見つめる2体。


「ところでこれどうしよう…」


「…食べてみる?」


 散らばる死屍累々。

 そんな中、苦しんでいたトラがようやく毒で絶命した。



―――



 PKスレ13狩り目


 ・

 ・

 ・

 ・


225:最近やりにくいね


226:だな、邪魔する奴らいるし


227:たっくチュートリアルでわざわざ言ってるんだから推奨だろうに正義の味方面する奴らとかなんなんだよ


228:それ以外にも毒持ちとか出てきてるしな


229:毒持ち?!


230:毒食って溜め込んでんのか?


231:そうなんじゃねぇ?倒しても喰えねぇんならPKの旨み全然ねぇよな・・・


232:それいうなら小さいの喰っても上がり悪いぜ。成体2で普通のと同じくらいだな


233:調べたのか?


234:おう。成体3倒すのはきつかった・・・


235:乙


236:乙


237:・・・実は結構効率悪い?


238:PS(プレイヤースキル)あれば良いんじゃねぇ?


239:同じだけのPSあれば普通に狩った方がもっと効率よくねぇ?


240:成体3で通常の倍ぐらいだから頑張る価値はあるんじゃねぇ?


241:小さいうちはほっといて大きくなってから収穫するのがベターか


242:その為には成長あわせた方がいいな。自分たちが2で相手が3とかだと難易度跳ね上がるし


243:群れ作ってる奴らに合流するか。効率悪いのか2ぐらいまでしか見かけないけど


244:その辺りは知恵出して頑張るしかねぇな


245:頭使うの苦手なんだが・・・


246:俺もだ(笑)


247:おれも(笑)


248:おれも(笑)


249:馬鹿しかいないのか(笑)


 ・

 ・

 ・

 ・



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ