表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Chimera Park On-line  作者: カカセオ
第1章 クローズドβ
4/20

01-04 戦闘

 太陽が地平線から昇り、辺りを照らし出す。

 そんな中むくりと動き出す影が一つ。


(…なんでこいつここに居んだ?)


 そばで馬面さらして寝ているトールを見つけ、とりあえず蹴っておく。


「な、何だ?!」


「ハオー」


「ハオハオ……じゃなくって、いきなり人を蹴るなよ!」


「ついかっとなってやった、こうかいしていない」


「……はぁ。で、何か用があるんだろう?」


「飯行くけど、どうする?」


「…付いていくよ、態々起こすという事は人手が欲しいという事だろう」


「まあ、使えるもんは使わねぇとな」


「はいはい。…今気付いたんだけど、何か変わってないか?」


 ヤサイの鼻に角が出来、皮膚もがっちりとしている感じに見える。


「何言ってんだ? 成体になったんだ、当たり前だろうが」


 言われてステータスを確認すると状態が成体1になっていた。

 周りに僅かばかりいる幼生と見比べ、大型犬くらいだろうと見当付ける。

 成体1ということは2もあるのだろうか?


「結構大きくなるんだな、でどんな感じに見える?」


「角付きの馬」


「いや、そうだけどもさ。他に何か…いや、いいや」


「うん?」


「とりあえず場所移ろう。食事に行くんだろう?」


「…ああ」


 なんとなく釈然としないながらもトループ登録して、セーフエリアから出る。

 成体になった者が増えたからか草を食べている者の他に、グラスラットを狩る物やグラスウルフ狩りを呼びかける者などが現れていた。

 そんな中、今だ手付かずの場所が残っていた。

 グラスラビットの縄張りだ。

 予想通りなので、計画を実行に移すことにした。


「つうわけだ」


「いや、あのね。ちゃんと説明しないと相手には伝わらないんだよ?」


「一々説教すんなよ、わかってんだろ」


「…グラスラビットを狩るって事だろう」


「そういうこと。じゃ、行くぜっ!」


 そう言うや否や、ヤサイは縄張りに突っ込む。

 グラスラビットが顔をだして来たので、トールは慌ててその後を追う。


「侵入者発見、排除!」

「「はいじょー!」」


 ヤサイは大きい内の1体に狙いを定める。

 距離が近づきグラスラビットの蹴りが届く範囲になると蹴ってきたが、勢いの乗っているヤサイの攻撃が届くほうが早い。


「うらぁああーー!」


「ぐぎゃぁあ!」


 ドスッと角を突き刺し、そのまま駆け抜ける。


「あ、あんたーーー!」

「「とうちゃーーん!!」」


「えっ?」


 残った奴らを撹乱しようとしていたトールが一瞬呆気に取られる。

 追いかけ始めるグラスラビット達、慌てて襲い掛かった。

 無防備なその背中へ角を突き刺そうとしたが、迷いに鈍ったのか回避された。

 ヤサイはある程度走ると首を振って刺さっていたグラスラビットを投げ飛ばした。

 まだ立ち上がろうとしたので頭を踏み抜く。


「ぐっ、まだま―ごぎゃっ!」


 動かなくなると途端に草が生え、死体に生い茂っていく。


「邪魔すんなー!」

「「すんなー!」」


 四足での戦い方に慣れていないためか苦戦するトール。

 蹴りを放ったり、角で薙いだりするがちょこまかとして当たらず、逆に隙を蹴られる。

 そうこうしているとヤサイが突進してきた、トール直撃ルートで。

 慌てて避けるトール。

 グラスラビット(小)も避難したが、グラスラビット(大)は先ほどのを見ていた為か、先に当てようと待ち構えている。


「仇ー!」

「「かたきー!」」


 先ほどよりも早い段階で蹴りモーションに入る。

 このままならば届くよりも先に頭に蹴りが入るだろう。

 だが、その目論見は脆くも崩れ去った。


「くらえ―へぶっ!」


 当たると思った瞬間、物凄い衝撃に吹き飛ばされた。


「「かあちゃーーん!!」」


「急ブレーキで回転してヒップアタックとか、相変わらずでたらめだな。

 それで後片付けはこちらの仕事か」


 トールは自分の方に吹き飛ばされて来たグラスラビット(大)に駆け寄り、頭をげしげしと踏み潰す。


「おにー!」

「あくまー!」

「ひとでなしー!」


 死体に草が生い茂ると、グラスラビット(小)は捨て台詞を残し去っていった。

 トールは動かないヤサイに近づいていく。


「足挫いたんだろう」


「…ちっ」


 SASを切っていると無茶な挙動が出来るが、ステータスが足りない場合ダメージが発生する。

 今回の場合、急ブレーキに加え回転する軸足にしたのにダメージが発生し捻挫状態になった。


「…そういや、薬草とか見かけてねぇか?」


「いや、見かけてないよ」


「そうか…まあいいや、とりあえず喰うか」


 ヒョコヒョコと3本足で動きながらグラスラビットの死体へ近づく。


「という訳で食え」


「あのね…」


「草に用はねぇんだ」


「…そういう事か。相変わらず斜め上を行く」


「ほら、さっさとしろ」


「はいはい」


 トールがもしゃもしゃと食べつくすと、グラスラビットの死体が現れる。

 ヤサイはその死体に噛り付いた。

 もさぬちゃとした食感と血生臭い感じで味は全くしないが、構わず食べ進める。

 ある程度食い尽くされると、死体は消失した。


「ついたか?」


「ねぇな、次行くぞ」


 もう1体の死体の方を見るとがさがさと何かが去っていったが、草は全部残っていた。


「ルート権はあるようだね」


「ぶつくさ言う前に…」


「はいはい」


 またトールが草を食べ、ヤサイが肉を喰う。

 そして、トールの質問にヤサイは首を横に振る。


「これで終わらす気はないんだろう?」


「あぁ。だが、その前に…」


 ヤサイは辺りの草を嗅ぎ始めた。

 ピンと来たトールもそれに習う。

 そうすると感じの違う草が4種類見つかった。


「という訳で喰え」


「いや、それ危険信号出てるから!」


「…ちっ」


「はぁ、もう…」


 何だかぶつくさ言ってる感じがしたが、ヤサイは気にせずに危険な感じのしない草の1つを食べる。

 途端に足の痛みが消えた。


「当たりだな。ほら喰え」


「はいはい、ありがとな」


 もう1つの危険信号の無い草を食べさせられたが、体に変化は無い。

 最初の方を食べると先ほどグラスラビットに蹴られた痛みが引いていった。

 トールが一息ついていると、ヤサイが危険信号のあった草を食べようとしているところだった。


「ちょ、待てって」


「…何だよ?」


「それが何かわかってるよな?」


「おう。耐性つけるにはどうせ通らなきゃいけねぇ道だ」


「……仕方が無い、付き合うよ」


 その後2人して存分に痺れ、血を吐いた。

 怪我が回復しなかった草は解毒草のようだった。


「さてと、次行っか」


「…グラスウルフに行かないのか?」


 グラスウルフは5~6体で1グループ。

 素早く動く上、1、2体倒したぐらいでは引かず、グラスラビットに比べ攻撃手段が多く強力だ。

 大きさが変わらないトールでは捌ききれない可能性が高く、ヤサイでは硬い皮の分なんとか凌げるかも知れないが、攻撃手段に決め手がかける。


「流石に無理じゃねぇ?」


「…だよな。はぁ…」



―――



 草食獣スレ7喰われ目


 ・

 ・

 ・

 ・


542:おのれ、運営!!


543:何があった(笑)


544:ウサギ


545:ああ、この運営の始めて組か


546:?


547:行けば判る。行けば判るさ、ああそうさ!!


548:落ち着け(笑)


549:気持ちがわかるが、話すのを知ってるのに向かった時点で自業自得


550:Lost Edenの頃からこうだしな


551:Lost Edenってあのバグで終わった奴か。同じとこだったのか?


552:生き残りが立ち上げた会社だから。あの頃からもうあんな感じだったから業は深い


553:うわ・・・これにも大バグ無いといいが


554:HANT大丈夫だったから大丈夫じゃねぇ?


555:話変わるがサイとウマ見た奴いるか?


556:ガクブル


557:見たんだな(笑)


558:そいつらがどうかしたのか?


559:白っぽいサイと黒いウマのコンビなんだがウサギ狩りしてるんだよ


560:おにだね


561:あくまだね


562:ひとでなしだね


563:お前らやったな(笑)。で何がガクブル?


564:サイが突っ込んで、ウマが援護してるんだが生えた草はウマが全部食べてるんだよ


565:・・・ウマ寄生?


566:そうかも知れない、そうじゃないかも知れない。サイはな、食ってんだよ、肉を


567:はあ?


568:食えるの?


569:食ってるんだから食えるんだろう、補正もらえるか知らんが。顔血塗れにしたサイとそれに従う血の塊みたいな眼した黒馬。両方とも動き半端無くて容赦もねぇし


570:いや、でもそれだけだろう?


571:・・・狙ってるのか?


572:たぶん


573:狙う?


574:ああ。HANT準拠の考えだが耐性というものがある。判りやすく言うと毒を喰らっていると毒に慣れるんだよ


575:で?


576:判らないか?喰らってると、慣れるんだよ


577:え、まさか?!


578:狙ってるんだろうね、《肉食》を


579:いやいやいや


580:で、でもそれだけだろ。それだけだろ!


581:PK解禁になったらどうなるんだろうな・・・


582:・・・み、みんなで徒党を組めば


583:いや、何か無理くせぇ気が。見てて思ったんだ、サイって空飛べるんだって


584:うわー(笑)


585:・・・早く新しいセーフエリア探そう。散らばればきっと逃げ切れる


586:そうだな、早く攻略進めよう


587:賛成


588;賛成


 ・

 ・

 ・

 ・



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ